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マクドナルドを世界一大きく成長させた男の話①
〜映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」より〜

ビジネスにおける大切な要素とは何なのでしょうか?

 
Luck is dividend of sweat. The more you sweat , the luckier you get.
(幸運は汗の配当である。もっと汗をかけば、より大きな幸運を手にすることができる)

この言葉を残したのは、マクドナルドの創業者といわれるレイ・クロックです。マクドナルドの創業者(ファウンダー)と聞けば、きっとこう思うのではないでしょうか?

「なるほど。そんな立派な人物がいうなら真理なのだろう。汗と努力を積み重ねれば、いつか彼と同じように成功できるにちがいない」

しかし、この言葉はレイ・クロックの人生を知れば、また違った味わいを感じます。彼の50代になるまでの人生に照らし合わせれば、上述した言葉は皮肉にも聞こえるし、栄光につつまれた後半生もまた、ひとつの真理だけで語れるほど単純なものでもないからです。

成功に必要なのは、努力? 汗?

 
ビジネスとは不思議なものです。努力に比例して成功が訪れるわけではなく、もっと色々な要素が関係しています。幸運や絶好の機会を逃さない握力、決断力や人を説得する粘り強さと根気、ひぼう中傷にも負けないメンタルの強さ、学校では習わないことばかりです。また、口の悪い人は、成功するにはギラついた野心や、成功のためには多くのことを犠牲にしても構わないと思える自己中心的な性格が必要とも断言します。すべてを同意はできませんが、綺麗事を言うだけで成功した例はたしかに…………ありませんね。

さて、ご紹介したいのは、映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』です。この映画は、レイ・クロックがどうやって、マクドナルドの創業者として君臨していったかを描いたアメリカ映画ですが、今まで語られなかったマクドナルド創業物語として、時代背景や登場人物なども実在の人物が多く登場し、とてもリアルに描いています(商標や商品名やCMなどは実際のマクドナルドと同じものを使用して描いていますが、許可をとって撮影してるわけではないでしょう)
許可を得てないだろうというのは、映画をみれば想像に難くありません。なぜなら、これはマクドナルドの暗部……なぜ、マクドナルドというアイルランド系の店名なのにレイ・クロックという東欧系移民の息子が創業者なのか? という素朴な疑問に答える世界一有名な企業の暗部に踏み込んだ作品だからです。
この物語でマイケル・キートン演じるレイ・クロックは、上述した野心に溢れたヘコたれない男として登場します。物語中でしばしば見せる鉄のような精神力(良い意味でも悪い意味でも)は、誰にもできないことを成し遂げた男として十分な説得力があります。

https://www.youtube.com/watch?v=erU-4M1VxNc

この映画は2017年の4月からアメリカで公開されていますが、当初の予想を超える大ヒットを記録しています。(日本では2017年7月29日より角川シネマ系で公開予定)
レイ・クロックを演じるマイケル・キートンの怪演ぶりは実際に本作をご覧になって楽しんでもらいたいのですが、ここでは多くの人が疑問に思ったであろう、物語の後半にレイ・クロックがいかにして、マクドナルド帝国と言われるような大フランチャイズチェーンを作り上げていったかをわかりやすくお伝えしたいと思います。

うまくいったかに思えたフランチャイズ化だったが……

 
まずは、簡単にあらすじを振り返ると、ミルクシェーキ製造機のセールスマンであったレイ・クロックは、偶然、サンフランシスコで大繁盛しているハンバーガー屋を見つけます。名前はマクドナルドハンバーガー。マクドナルド兄弟が開発した特有のスピード製造システムはすでに完成しており、そのノウハウに強く魅力を感じたレイ・クロックは、ぜひ自分も同じシステムで店をやりたいと兄弟にフランチャイズを希望します。

最初は断られたものの、強引な説得によって契約を結ぶことに成功したレイ・クロックは、兄弟の制止も聞かずマクドナルドのチェーン店を自分の裁量でどんどん増やしていきます。兄弟が必ず守るようにと言ったミルクシェーキのレシピも経費がかかりすぎるという理由で勝手に安いパウダーに変更したり、最初は良好だった兄弟との仲も、物語が進むにつれてどんどん悪くなっていきます。
このとき、レイ・クロックがやっていたビジネスというのは、マクドナルドのフランチャイズの元締めのようなものです。お店のフランチャチャイジー(出店者)から ノウハウ提供料として売り上げの数%をもらい、その中からマクドナルド兄弟に上納金を渡すというものでした。いわゆる仲介の利ざやビジネスです。

発想の転換でマクドナルド大帝国に

 
しかし、このやり方では、わずかしかレイ・クロックの手元には残りません。一見成功者のように見られるレイ・クロックですが、キャッシュフローはいつもギリギリで、何度か資金のショートを起こしそうになります。たしかに利ざやの利益を増やすためには店舗の数を増やすしかありませんが、マクドナルドの拡大スピードを上げるあまり資金が枯渇し、すでに自宅を抵当にいれていたレイは、ついには銀行で融資を断られてしまいます。しかし、このピンチに運命の女神は彼を見放しませんでした。(これが彼のいう幸運の配当なのかはわかりませんが……)レイ・クロックはある投資アドバイザーと出会い、彼は発想の大転換をはかります。
このとき、レイ・クロックが行なったビジネスについては実は「金持ち父さん 貧乏父さん」(筑摩書房刊)でも触れられています。
少し長いですが、下に「金持ち父さん 貧乏父さん」の一節を引用します。

(前段説明)すでに成功者の仲間入りしていたレイ・クロックはある大学で講義をおこなった後、学生とランチを一緒にとることになった。そこで、レイは学生たちにある問いを投げかける。
「私のビジネスは何だと思うかい?」
みんなにビールが行き渡ったところでレイが聞いた。
「ぼくらは笑ったよ。そこにいた学生のほとんどが、レイは冗談を言っているのだと思っていた」
キースは私にそう話してくれた。
だれも答えないのを見て、レイはもういちど同じ質問をした。
「私のビジネスはなんだと思うかね?」
学生たちはまた笑った。しばらくしてから学生の一人が思いきって大声で言った。
「レイ、あなたがハンバーガーを売っていることは世界中の人が知っていますよ」
レイはにやりとした。
「そう言うだろうと思ったよ」
わずかに間をおいてからレイは続けた。
「いいかい、私のビジネスはハンバーガーを売ることじゃない。不動産業だよ」
キースの話では、そのあとレイはゆっくり時間をかけて、自分の考えを学生たちに説明したそうだ。たしかに会社の経営戦略上のビジネスの基盤はハンバーガーを売ることにあるが、レイはそれと同時に店舗の立地のことも考えていた。店舗のある建物、その立地条件こそが、その店の成功を左右する重要な要因であることを彼は知っていた。

(筑摩書房刊 ロバート・キヨサキ著『金持ち父さん 貧乏父さん』より引用)

さて、レイ・クロックの言葉はどういう意味だったのでしょうか? レイ・クロックが行なっていたビジネスの詳細は、また次回に行います。
 

<著者プロフィール>
ルウ・ハイアン。文筆家・歴史家として各メディアに寄稿。投資家としての側面も持ち、投資界隈の話題には事欠かない。また経済のトピックを誰にでもわかるように話す技術には定評がある。映画や書籍、または海外ゴシップにも精通している。日本語の他に、中国語・英語も堪能。

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