生命保険と医療保険の違いとは|仕組みや主な商品を解説

2019年12月18日

生命保険の仕組み

そもそも保険とはいったいどういう仕組みなのでしょうか。その基本は「相互に助け合う」精神にありました。

相互に助け合う精神が保険の起源

とある島では、毎年多くの台風がやってきて、必ずどこかの家が被害を受けていました。今年はAさん宅が損壊し、家を直すのに100万円ほどかかってしまいました。

Aさんには、また台風が来ても、家を直すお金はありません。何とかならないものかと考えました。そこで、数十年前からの村の記録を調べてみると、平均して1年に2軒の家が台風の損害を受けていることがわかりました。つまり、島全体の被害額は年間200万円ほど。

島には200軒の家があるので、200万円を分担すると、1軒につき1万円。台風の大きな被害を考えれば、年間1万円くらいの出費はどの家庭でも負担にならないのではないかとAさんはひらめいたのです。

Aさんのアイデアは皆に受け入れられ、各家庭から毎年1万円ずつ集められるようになり、どこかの家が被害を受けた時は、その集めたお金から修繕費が支払われるようになりました。

たくさんの人が少しずつお金を出し合い、もしものことがあった場合に、そのお金を使って助け合う、この考え方が保険の基本精神になっています。

保険と貯蓄はどう違う?

左の例は台風の被害に対するお金の支払いなので損害保険になりますが、生命保険でも基本的には同じです。生命保険も、もとは「助け合い」の精神から生まれ、発展してきました。

さて、生命保険を説明するうえでよく使われる言葉に「貯蓄は三角、保険は四角」というものがあります。どういう意味でしょうか。

下の図の「貯蓄」を見てください。ある人が毎月一定額を積み立てていたとします。その人に万が一のことがあって死亡した場合、遺された家族が受け取れるのは、その時点までに積み立てられた預金の合計のみです。

一方の「生命保険」では、生命保険に加入している人が死亡した場合、遺された家族は、契約で定められた保険金額を受け取ることができます。支払った期間は関係なく、金額は一定です。これが「貯蓄は三角、保険は四角」と言われる理由です。

つまり、預貯金などは「貯蓄機能」のみを持っていますが、生命保険は「貯蓄機能」と「保障機能」の二つを兼ね備えているというわけです。

主な生命保険商品

一口に生命保険といっても実にいろいろな種類があり、複雑にみえます。基本的な生命保険は3つに分類できることを知っておきましょう。

生命保険は大きく3つに分類される

生命保険にはいろいろな種類があり、複雑なように見えますが、保険金の支払われ方によって、大きく3つに分類することができます。

①死亡保険

被保険者が死亡(または高度障害)になった時に保険金が支払われるもの。保障期間が一生涯にわたる契約を「終身保険」、一定の期間に限定したものを「定期保険」という。

②生存保険

被保険者が、契約期間満了までに生存していた場合に限り、保険金が支払われるもの。実際には「個人年金保険」「貯蓄保険」のように、生存保険を主体として、死亡保障が付いているものが一般的。

③生死混合保険

死亡保険と生存保険を合わせたもの。被保険者が保険期間内に死亡した場合には死亡保険金が、満期まで生存していた場合には満期保険金が支払われるもの。「養老保険」「定期付養老保険」などがある。

主な生命保険の商品

生命保険の代表的な商品についていくつか見てみましょう。

まずは、死亡保険の中の「終身保険」と「定期保険」です。「終身保険」は、被保険者の一生を保険期間とし、死亡を持って期間が満了します。途中で解約しない限り、死亡した時に保険金が支払われる仕組みです。「定期保険」は、保険期間が一生ではなく一定期間内に定められています。同一の保障内容であれば、終身保険より定期保険のほうが保険料は安くなります。

終身保険の仕組み

定期保険と終身保険の違い

【用語解説】解約返戻金
保険契約を解約したり、保険契約が失効してしまった時に、保険契約者に払い戻されるお金のこと。

次に、「定期保険特約付終身保険」。これは、終身保険と定期保険を組み合わせた商品です。終身保険に定期保険特約を上乗せすることにより、定期保険の保険期間内の死亡保障を大きくしています。定期保険特約には、加入から払込満了時までを保険期間とする全期間型と、保険期間を10年や15年に区切り、そのたびに契約を更新していく更新型があります。更新型の場合、保険料は更新時の年齢で再計算され、一般的には保険料は上がっていきます。

定期保険特約付終身保険の仕組み

生命保険の保障金額は、子供の成長や貯蓄額の増減などにより見直す必要があります。また、団体信用生命保険*付きの住宅ローンによる住宅取得時や、不動産賃貸による家賃収入などの定期収入が見込める場合には、保障金額を下げることも検討するとよいでしょう。

【用語解説】団体信用生命保険(団信)
住宅ローンを組んだ人がローン返済期間中に死亡や高度障害になってしまった場合に、本人に代わって生命保険会社がローンの残りを支払う仕組みの保険。

医療保険とは?

万一の時に、残された家族のために入っておくのが生命保険でした。次は、自身が病気になったり、けがをしたときに助けてくれる医療保険をみてみましょう。

医療保険とは、入院したときに1日いくら、手術をしたらいくらというように、万が一、病気やケガになったときに備える保険のことです。

日本では、以前は「定期保険特約付終身保険」などに特約として、医療の保障をつけるというのが主流でした。

その後、法律の改正や外資系保険会社の参入などにより保険商品の多様化が進み、現在のような単独で医療保険のみ加入するというスタイルを選ぶことが出来るようになりました。

医療保険は自分のために入る保険ともいえます。独身、既婚にかかわらず、病気になったり怪我をしたときにどのくらいの費用がかかるか、どのくらいの収入ダウンになるのかを考えて必要性を検討しましょう。

医療保険を選ぶ時のポイント

死亡保険を選ぶときと同じですが、自分にとって必要な保障額を考えることが重要です。医療保険の場合、多くは健康保険でカバーできるので、足りない分を上乗せしていくというイメージで考えます。

  1. 入院日額をいくらにするか。
  2. 1入院あたり何日分保障されるか。(入院何日目から保障が出るのか。)
  3. 保障期間はいつまでか。(終身か?それとも○○歳までか?)
  4. 保険料の支払方法、支払い期間

などがポイントです。

以前の日本では、どこの保険会社を選んでも、それほど大きく内容はかわりませんでした。しかし、最近では、本当に多くの種類の保険会社、保険商品があります。

加入の際には、いろいろな会社や商品を比較検討し、内容の不明な点は質問するなど、慎重に検討していくことが大切です。

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