速報!令和5年度税制改正大綱に盛り込まれたインボイス制度の改正内容について1

BUSINESS EYE

こんにちは、中村亨です。

昨年末、与党は「令和5年(2023年)度 税制改正大綱」をリリースしました。
多岐にわたる改正内容が盛り込まれていますが、2023年10月から導入される消費税インボイス制度においても、大きく分けて4つの緩和措置となる内容が含まれています。
今回は、4つの緩和措置から「3・少額返還インボイスの免除」について解説いたします。

また、日本クレアス税理士法人では、消費税インボイス制度セミナーを隔月で実施しています。
上記の改正内容等最新情報についても詳細を説明いたしますので、是非ご視聴ください。

【インボイス制度セミナー】導入に向けた実務のポイント
2/21(火)15:00~16:45
お問い合わせフォーム:https://j-creas.com/seminar/7287/

消費税インボイス制度:4つの緩和措置(概要)

【1】2割特例

免税事業者がインボイス発行事業者になった場合に最初の3年間の経過措置期間(8割の仕入税額控除可能期間)につき、簡易課税の80%みなし仕入率と同様の納税負担軽減措置を選択できる。

【2】少額特例

基準期間の課税売上高が1億円以下の一定の小規模事業者については、一取引が1万円未満の少額取引につき、経過措置の6年間はインボイスの保存を免除できる(帳簿のみの保存でOK)。

【3】少額返還インボイスの免除

全ての事業者対象で恒久的措置として、税込1万円未満の返還インボイスの交付義務が免除となる。

【3】登録制度の見直し

インボイス制度の登録制度が柔軟に見直しされる。

上記【1】【2】については小規模事業者や免税事業者が対象となる時限的な緩和措置が主な内容となっていますが、【3】についてはすべての事業者に対する恒久的措置です。

少額返還インボイスの交付免除

消費税インボイス制度の導入に伴い、これまですべての売上返還の対象となる取引(売上値引き、返品、割戻し)について、売り手は金額の多寡を問わず、返還インボイスを交付することとされていました。
今回の税制改正大綱においては実務上、例えば買い手側から見て買掛金支払の際に、買い手側の都合で差し引かれた振込手数料相当額やその他の経費を売り手が「売上値引」として処理する場合等の事務負担を軽減する観点から、少額であれば返還インボイスの交付を不要とすることができる見直しを示しました。

◆大綱改正案

全ての事業者において、売上値引き等の額が税込1万円未満の場合は返還インボイスの交付を免除(不要)とする恒久的措置を講じる。

売主負担の振込手数料について<参考>

下請法においては事前に振込手数料を売り手<下請け会社>が負担する旨の書面での合意があり、かつ、買い手<元請け会社>が負担した実費範囲内での場合のみ、振込手数料を差し引いて取引代金を支払うことが認められていますので、留意が必要です。
つまり、下請け会社、元請け会社双方の合意がなく買い手が一方的に振込手数料を差し引いて代金を振り込む場合は下請法に反する行為となる可能性があります。
実務上、原則的には請求書発行時に「振込手数料は御社<買い手>で負担する」旨を記載することであり、例外的に下請法に抵触しない範囲内で手数料を差し引いて代金が振り込まれる場合には、上記の返還インボイスが不要である規定を適用することになることが想定されます。

リスキリングを推進する人事評価制度とは

BUSINESS EYE

こんにちは、中村亨です。

皆さんの会社ではリスキリングの取り組みは順調に進んでいますでしょうか?
今回のビジネスEYEでは、リスキリングを推進する人事評価制度についてご紹介いたします。

日本クレアス社会保険労務士法人では、企業の人事戦略実現のための人事評価制度の構築支援を行っております。評価制度にお悩みの企業様はぜひご相談ください。

日本クレアス社会保険労務士法人へのご相談はこちらから
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リスキリングの定義

経済産業省では、リスキリングを以下のように定義しています。
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

岸田首相は、2022年10月3日の臨時国会における所信表明演説の中で「個人のリスキリング」の支援に5年で1兆円を投じることを表明しました。
経済成長のためには、企業のDX化が急務であるという認識の下、デジタル庁によるDX推進や経済産業省によるDX人材の育成推進が急速に行われています。よって、企業においては、デジタル化に対応できる人材を確保するために社員の能力やスキルを再開発する組織的な仕組みづくりが求められています。

リスキリングを推進する人事評価制度の見直し

リスキリングへの取組みをスタートさせた企業の中には、必要なスキルを学ばせることで満足している企業も散見されます。
しかし、企業内でリスキリングをもっと促進させるためには、習得したスキルを活用する場を積極的に提供し、取組み姿勢や学習成果に対しても、きちんと評価を行っていくことが必要です。
まさに社員のモチベーションをかき立てながらリスキリングを継続的に支援する組織体制が求められています。

◆人事評価制度見直しのポイント

  • 挑戦したことの結果に加えて、その過程についても評価をする。
  • 横並びの公平性ではなく、新たなスキルで成果をだした社員には、その成果の大きさ、価値に対し、公平な評価を行う。

社員にスキル習得の場を提供し、学びを促すことは非常に大切ですが、せっかくスキルを身につけても、評価や処遇が変わるような戦略や施策がないと、優秀な社員が社外に流出してしまうかもしれません。

日本クレアス社会保険労務士法人の人事評価制度構築メニューでは、人事戦略実現を見据えて支援させていただきます。是非私たちをご活用ください。

外貨建て保険のメリット・デメリット!どんな人が向いている?

BUSINESS EYE

こんにちは、中村亨です。

2022年11月から12月にかけて、為替相場は1ドル=130~140円の水準を推移しています。140円台の円安になるのはなんと24年ぶりです。
円安により外貨建資産の価値が高まることから、今「外貨建て保険」が注目されています。

外貨建て保険は、払い込まれた保険料が外貨で運用される保険商品のため、受け取るお金を増やせる可能性がある一方で、為替に関するリスクやコストが高めなど、デメリットもあります。
万一に備えるための保険であることに変わりはありませんが、円建て保険に比べると投資の側面が強い商品なので加入する前にご自身に合っているかどうか、しっかりと検討が必要です。保険の専門家に相談してから選択するのがおすすめです。

結い財産サポートへのご相談はこちらから
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保険の取り扱いについてお悩みの方は、結い財産サポートのファイナンシャルプランナーに是非ご相談ください。経験豊富なプランナーが、保険のメリットを最大限活用して最適な契約内容をご提案させていただきます。

■ 外貨建て保険の特長(※1)

外貨建て保険は、保険料の支払いをはじめ、保険金や解約返戻金なども外貨で受け取ることができます。
外貨建て保険の種類は、終身保険、個人年金保険、養老保険などがあり、保険料の支払い方法は一時払いと平準払い(※2)の2パターンがあります。
※1 保険会社により取扱いの詳細は異なります。
※2 平準払いとは契約から保険料払込満了時まで一定の金額を支払う方式です。

■ 外貨建て保険2つのメリット

・高金利なため運用効果が高い
現在、日本の10年国債の0%台に対して、アメリカの10年国債は3%以上となっています。高い利回りで資産運用が可能で、この金利差があることによって、円建て保険よりも外貨建て保険で運用を行う方が、為替リスクを受けますが利益は多くなります。運用成果は保障や解約返戻金に反映されますので、保障を備えつつ資産運用が可能となります。

・資産のリスク分散ができる
外貨建て保険を契約することで外貨資産を持つことになりますので、金融資産を日本円と外貨でそれぞれ持てます。すべてを日本円で持っていると円安の場合には資産価値が目減りしますが、外貨で持つことによりそのリスクを分散できます。

■ 外貨建て保険2つのデメリット

・為替リスクを受ける
外貨建て保険の大きなリスクは、常に為替の影響を受けることです。
保険金や解約返戻金を受け取る場合、円安に転じている場合は、支払保険料を上回る、保険金や解約返戻金を受け取れますが、円高の場合にはその逆に転じます。
運用を目的として加入する際は元本割れのリスクもありますので注意が必要です。

・契約時や解約時に手数料が発生する
外貨建て保険は保険料支払い時や保険金受取り時に外貨に換える必要があります。
日本円と外貨を両替するたびに為替手数料が発生します。
これは契約者負担となるので、円建ての商品に比べてコストがかかります。
また中途解約時には解約控除(違約金)が発生したり、市場価格調整の影響を受けたりする商品もありますので注意が必要です。

■ 外貨建て保険、こんな人が向いている!

・為替リスクを受けても資産形成を行いたい
・外貨建て資産を持ってリスク分散したい
・長期的な運用を検討している

為替リスクを理解していない、元本割れを避けたい、中途解約の可能性がある場合は、外貨建て保険ではなく、別の資産形成方法を検討したほうがよいと思います。

インボイス制度導入と各種補助金の活用、そして税務上の取扱い

BUSINESS EYE

こんにちは、中村亨です。

2023年10月より消費税インボイス制度が導入されます。
導入後は、売り手が適格請求書(インボイス)を交付することにより、買い手でそのインボイスの保存をもって仕入税額控除を行う必要があります。
これまでよりも記載要件が厳格になり、請求書の入力やチェック、さらに管理に係る工数及びコスト負担が大きくなるのは必至です。

つまり、請求書発行や経費・受注に係るシステム改修や、導入などを行う必要が生じてきます。一方で、対応に係るコストについては、今回ご紹介する補助金を受けられると、その負担を軽減できます。

これまで課税事業者であり、すでに適格請求書発行事業者の登録が完了している事業者だけでなく、現在免税事業者であり、今後適格請求書発行事業者の登録を行う事業者にとっても有用な補助金が3種類あります。

今回のビジネスEYEでは、インボイス制度導入にかかわる3種類の補助金の概要を見ていきましょう。

なお、補助金に関しては、該当する自治体、行政団体等により内容が異なる場合があります。
インボイス制度や、補助金に関するお問合せは、日本クレアス税理士法人の担当者までお声がけください。
補助金の申請締め切りが2023年1月、2月と迫ってきています。専門家へ依頼ただくのが一番の近道なので、是非私たちをご活用ください。WEBサイトからもご相談可能です。

インボイス制度・補助金に関するご相談はこちらから
お問い合わせフォーム:https://j-creas.com/contact/

インボイス制度に関しては、無料セミナーを12月21日(水)に開催いたします。
導入実務について詳しい内容をお伝えします。年内最終となりますので、是非ご参加ください。

インボイス制度セミナーへのお申込みはこちらから
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インボイス制度にかかわる3つの補助金

1.IT導入補助金2022<デジタル化基盤導入類型枠>

中小企業や小規模事業者等が対象です。
「デジタル化基盤導入類型枠」という補助金枠内で、インボイス制度導入に向け必要なソフトウエア等の購入に充てるために最大350万円の補助を受けられます。
この補助金の交付申請についての最終枠の期限は2023年1月19日です。
参考:IT導入補助金2022HP

2.小規模事業者持続化補助金<インボイス枠>

持続的な経営に向けた経営計画等を行う小規模事業者を支援する補助金です。

この補助金には特別枠の一つに「インボイス枠」が設けられています。

インボイス枠の対象者は2021年9月1日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者等であり、適格請求書発行事業者の登録がされた事業者が該当します。

つまり、免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を行い、消費税の納税負担が発生してしまう場合に、その負担を経費補助の形で支援する制度です(インボイス枠の上限は100万円)。 免税事業者が適格請求書発行事業者の登録をするだけで最大100万円の補助金が受けられるため、利用しやすいのではないでしょうか。

状況に応じて、また、買い手の事業者が売り手に対して適格請求書発行事業者の登録を促す一助としていただくことも可能かと思いますのでご参考になれば幸いです。

こちらの今年度の補助金の最終受付締め切りは2023年2月中旬予定となっています。

参考:東京商工会議所HP

3.その他の補助金

上記2種類の補助金のほか、「ものづくり補助金(デジタル枠)」は小規模事業者が直面する課題のためのシステム等の設備投資を支援する補助金のため、インボイス導入に伴う設備投資も含まれますので検討の余地がありそうです。

補助金と税務上の取扱い

IT導入補助金などは法人税法上の「国庫補助金等」に該当します。
IT導入補助金を会計ソフトなどの取得に充てる場合には、国庫補助金等の圧縮記帳の損金算入の規定を受けることができるため、補助金収入部分の課税の繰り延べることができます。
また、圧縮記帳後の取得価額が30万未満であれば、その資産につき中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例の適用を受けることも可能となります。

パワハラ防止対策は万全ですか?

BUSINESS EYE

こんにちは、中村亨です。

皆さんの会社ではパワハラ防止に向けた社内対策は万全ですか?

2022年4月より、中小企業を含め全企業に義務化されたパワハラ防止法(正式名:労働施策総合推進法)。ハラスメントが多様化している昨今では、パワハラのみならず、様々なハラスメントが複合的に生じることも考えられます。
万が一、社内でハラスメントが認められた場合、当事者間の問題だけではなく、会社に対する損害賠償リスクが生じます。
日本クレアス社会保険労務士法人では、就業規則の見直しや社内研修、社外相談窓口代行などのハラスメント対策支援を行っております。自社の対策に不安のある方はぜひご相談ください。

日本クレアス社会保険労務士法人
電話:03-3593-3241
お問い合わせフォーム:https://secure-link.jp/lc/beieiadzlsslmzcw/

 

パワハラ防止法:事業主が雇用管理上で講じるべき4つの措置

以下の4つが事業主に義務付けられています。詳細は1項目ずつ見ていきましょう。

1.事業主の方針等の明確化および周知・啓発
2.相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
4.併せて講ずべき措置

1.事業主の方針等の明確化および周知・啓発

パワーハラスメントを行ってはならないことやパワハラを行った者に対する懲戒規定を就業規則等に定め、研修を行い、従業員に啓発していくことが求められています。研修を実施する場合は、管理職、一般職といった職位階層ごとの研修が効果的です。

2.相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

相談窓口を設置するだけではなく、相談しやすい体制を構築することが大切です。窓口担当者の初動対応のまずさが相談者を二重に傷つけてしまう二次ハラスメントを引き起こす要因にもなるため、相談窓口担当者に対する研修も有用です。

3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

ハラスメントの訴えがあってから対応を検討していては遅く、迅速に対応するためには、対応手順をマニュアル化しておくことが肝要です。「これはパワハラにあたるのか否か」に時間を割いてしまい調査開始が遅くなってしまうと、相談者の怒りの矛先が行為者から会社へと移り、会社に対する使用者責任を問われることもあります。部署間の連携や具体的な手順を事前に整備しておきましょう。

4.併せて講ずべき措置

調査を進める上では、相談者や行為者のプライバシーに係る情報を取り扱うことが多いため、プライバシーに関する保護措置や相談したことによる不利益な取扱いは法律上禁止されています。相談内容が漏れた場合は、相談者から二次ハラスメントとして訴えられる可能性がありますので要注意です。

会計監査のDX、企業や監査法人が加速

BUSINESS EYE

こんにちは、中村亨です。

今回のビジネスEYEでは、コロナ禍で加速した会計監査のDXに関するニュースを取り上げます。

監査業界では2010年代後半からAI活用が模索されてきましたが、監査に使う書類そのものをデジタル化する光学式文字読み取り装置(OCR)やAIの精度はあまり高くなく、現場への導入は停滞していた印象です。

しかしながら最近では、スタートアップ企業を中心に画像認識などのAI技術開発が進行し、読み取り精度が格段に向上したため、大手監査法人を中心に、現場での手続にAIを本格導入するケースが増えているようです。

AIというと、ビッグデータ分析での活用が真っ先に浮かびますが、現場の手続をAIで効率化する取り組みの背景には、監査業界の人手不足があります。

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公認会計士試験の合格者はピーク時の3分の1だが・・・

2007年には、4,000人を超えた公認会計士試験合格者ですが、2011年に2,000人を割って以来、1,000から最大でも1,500名程度となっていました。

昨年2021年の合格者は1,360名となり、なだらかな減少の真っただ中にあるのが現状です。
一方で国内の上場企業は3,800社を超え、10年前から6割以上も増えていて、監査を担う人材不足は顕著と言えるでしょう。

合格者が減少しているとはいえ、一方で若手の合格者は増えています。会計士試験の合格者の平均年齢は25.5歳ですから、AI技術を受け入れやすい年代が活躍する土壌になったとも考えられます(もちろん会計監査の知識やスキルの担保も重要ですが)。

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会計監査DXの例

これまでは、監査法人で主体となってシステムを内製化する傾向が強かったと思いますが、技術開発が進んでいるスタートアップに一部をゆだねるケースも増えているようです。

上場企業ではESG(環境・社会・企業統治)など非財務情報を開示する動きも活発化しています。財務情報の監査手続を効率化できれば、監査法人は需要が高まる非財務情報の保証業務などに人員を充てやすくなる可能性が上がります。

AIが監査に変革をもたらすことで、組織の変革も待ったなしの状況となります。監査だけでなく、会計業界全般に言えることですが、根幹はヒトによるサービス提供であることに変わりはないので、さらにスキル向上やリーダーシップ醸成、マインドセットも含めた成長を目指していかなければ、と改めて感じました。

(参考: 2022年10月16日│日本経済新聞電子版)

封じられる配当節税 上場オーナーの一部に負担増

BUSINESS EYE

こんにちは、中村亨です。今回のビジネスEYEでは、1年後にスタートを控えた税制改正のニュースを取り上げます。
日本クレアス税理士法人では、法改正における実務対応に即した税務セミナーを無料で開催します。11月22日(火)には、電子帳簿法セミナー、12月21日(水)には、インボイス制度セミナーをご用意しています。相互に関連のある内容になり、セットで参加されると、より理解が深まりますので、是非お申し込みください。

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封じられる配当節税の構図

上場企業のオーナーが資産管理会社を利用して個人の配当所得に適用される税率を抑える節税策が、2023年10月以降の配当から難しくなります。2022(令和4)年度税制改正でも発表の通り、税率が高くなりやすい総合課税を避けるための「抜け道」が封じられる、というわけです。

課税ルール改正のイメージ

上記の構図について、改正のイメージをまとめました。

■現状

  • 企業のオーナー:
    企業から受け取る配当金への税率は、20.315%(申告不要の場合)
  • 管理会社:
    企業から受け取る配当金はほぼ全額が益金不算入(非課税)

■2023年10月以降

  • 企業のオーナー:
    大口株主とみなされ、持ち分が3%未満の個人株主の場合でも、同族会社との合計が3%以上ならば、その個人が受け取る配当は総合課税のみとなる。
    税率は最大49.44%(配当控除後)

改正のきっかけとなったのは、会計検査院の2020年度報告です。
2018年と2019年分の報告で、議決権の過半数を保有して支配する法人を通じて持ち分が実質的に3%以上の株主が純計122人確認されたことから、2020年度報告で、仮に総合課税で納付した場合には、国税分の追加税額が計13億円と試算されたそうです。

かなり大きな金額ですね。放置されていた税法上の穴が是正された、との見る向きもあります。
今後は企業のオーナーからの生前贈与がすすむと見られていますので、私たち税理士も忙しくなるのではないかと少しだけ期待しています。

(参考: 2022年10月8日│日本経済新聞電子版)

年末調整の知っておきたい改正点~年末調整を始めるにあたって~

BUSINESS EYE

こんにちは、中村亨です。

今年も年末調整の季節となりました。
年末調整は、令和に入ってから実施された税制改正により内容が大幅に変更され、実務が煩雑になりました。
今回ビジネスEYEでは、令和以降の年末調整の改正点について整理します。

テレワークが広がり、事務作業のデジタル化ニーズはかつてないほど高まりました。年末調整は国が電子化を推奨する分野であり、企業においても業務効率化が期待されています。

【日本クレアス社会保険労務士法人サービス一覧
https://ca-sr.com/service-page/

日本クレアス社会保険労務士法人では、法改正に対応した給与計算・年末調整業務のアウトソーシング、及びクラウドシステムによる年末調整の電子化等、業務効率化に向けた総合的な支援を行っております。ぜひお気軽にご相談ください。

【法改正も安心!年末調整業務のご相談はこちらから(無料)
https://ca-sr.com/contact/

令和2年・令和3年の主な改正点

年間の税額算出にあたり、納税者が受けられる控除制度が改正されました。
具体的には、多様な働き方に合わせた控除制度への変更、高所得者に対する適用範囲の見直し、支援が必要な人への控除範囲の拡大の観点から次の5つが実施されました。

  1. 基礎控除の引上げ
  2. 給与所得控除の引き下げ
  3. 配偶者、扶養親族等の合計所得金額要件等の見直し
  4. 所得金額調整控除の創設
  5. ひとり親控除の創設と寡婦(寡夫)控除の見直し

令和4年の主な改正点

今年の年末調整では、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書に加え、次の書類も電子データによる提出が可能となります。

  1. 社会保険料控除証明書
  2. 小規模企業共済等掛金控除証明(払込証明書) ※iDeCoなど
【就業規則セミナー】業績がUPする!就業規則作成のポイント
━ 会社を成長させるルールブックとは ━
11月10日(木)14:00-15:30
https://ca-sr.com/news/seminar/rule-2022/

令和5年から変わる新たな改正点

1.国外居住親族にかかる扶養控除の見直し

30歳以上70歳未満の非居住者で、以下のいずれにも該当しない場合、令和5年1月1日以降、扶養控除の対象から除外されます。

  • 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
  • 障害者
  • 扶養控除の適用を受けようとする居住者から、その年において、生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者

これまで国外居住親族の扶養判定にあたり送金金額の条件はありませんでした。今後は30歳以上70歳未満で送金金額が少ない人は、一定の生活能力があると考え、控除の対象から除外となります。
なお、扶養親族が16歳以上30歳未満または70歳以上の場合の要件に変更はありません。

2.住民税に関する事項

扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」に「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄が新設されます。変更の背景として、扶養親族等の所得要件の判定にあたり、所得税は「退職所得を含む」のに対し、住民税は「退職所得を含めない」取扱いをしているためです。
新しい様式については以下の国税庁のHPにてご確認ください。
参考:国税庁令和5年分給与所得の扶養控除等(異動)申告書

不動産小口化商品を活用した相続対策

BUSINESS EYE

こんにちは、中村亨です。

少ない資金で優良な不動産を購入できる不動産小口化商品が相続対策として注目されています。相続または生前贈与では現金を持つよりも不動産に資産の組み換えをするほうが税金の負担は抑えられます。今回のビジネスEYEでは、この不動産小口化商品を活用した相続対策を取り上げます。

不動産小口化商品とは

1棟数十億円する高額な都心のオフィスビルなど、単独で購入することが難しい好立地の優良物件を100万円から1,000万円に細分化(小口化)にした金融商品です。 小口化されているため自身の予算に合わせて不動産の持ち分(権利)を購入することができ、持ち分に応じた不動産収入を受け取れます。

不動産小口化商品:3つのメリット

1.相続税対策として活用

不動産の相続税評価額は不動産購入時の価格よりも低くなることが一般的です。その理由は、土地は時価の8割とされる『路線価』で評価され、建物は建築費の50%~70%とされる『固定資産税評価』で評価されるため、トータルの評価額が購入価格よりも下がります。

現金はその額面にそのまま相続税が掛かりますが、現金資産を不動産小口化商品に変えるだけで不動産評価として評価方法が切り替わるため、節税効果が発揮されます。

2.争族対策として活用

自宅や投資用物件など現物の不動産を分割する場合、相続人が複数存在すると財産を同じ価値で均等に分割することは困難なため、遺産を巡る争いが起こることもあります。

不動産小口化商品では、例えば10口1,000万円の不動産小口を購入していた場合、 長男に5口、次男に5口と均等に分割することが出来ます。また、同じ不動産を分割するため評価などの優劣もなく、同じ価値のものを購入した口数に応じて、相続人に分割でき「争族」の解決方法の一つとして活用できます。

3.安定収益として活用可能

不動産小口化商品の年間利回りは、2%~3%と低額ですが、通常の不動産と同様に口数に応じた不動産収入を受け取れます。

また、投資用の不動産を所有すると新規入居者募集、入金管理、物件の維持管理やクレーム対応など不動産経営に掛かる手間などが発生しますが、不動産小口化商品は運営会社がすべて対応するため、不動産所有で発生する手間がかからずに不動産収入を得られます。

不動産小口化商品:4つのデメリット

1.不動産の価格変動リスク

不動産小口化商品には償還期間が設定されており、購入後10年から15年以内で、対象不動産を第三者へ売却することになります。そのため、不動産市況によっては購入時よりも価格が低くなる価格変動リスクが生じてしまいます。ただ都心の一等地に投資するので比較的安定した資産価値は維持されます。

2.収益の変動リスク

通常の不動産同様に賃貸人が退去した場合には、予定の利回りが得られないリスクが発生します。リスクを抑えるには不動産を運営する企業の実績確認が肝要です。

3.融資を活用した購入ができない

通常は投資対象の不動産を担保に融資を受けて、購入する流れになりますが、不動産小口化商品の場合は単独所有の不動産ではないため、融資を受けての購入はできません。現金による支払いが必要になります。

4.損益通算出来ない

小口化商品は不動産収入が発生しますので、不動産所得として確定申告が必要です。青色申告特別控除などの税制優遇措置が適応可能ですが、発生した損失に関しては、通常の不動産所得のように損益通算を行えないので要注意。

こんな方に活用をおすすめします。

1.相続対策を考えている

冒頭の現物不動産を所有する場合と同じ効果を得ることが出来、相続税の圧縮効果を得られます。 また、口数に応じた所有形態に代わるため、同等の資産価値で分割できます。

2.まとまった資金をお持ちの方

年間の投資利回りは2%~3%と、そこまで高くはありませんが定期預金と比べると高い利回りで運用益を受け取れます。収益変動リスクはありますが、株式以外の運用方法として分散投資を行えます。

3.不動産経営に手間を感じている方

不動産小口化商品は、販売会社が一括して不動産の管理をするため、現物の不動産を所有することで発生する様々な手間が掛かりません。購入後は不動産収入を受け取るだけです。

不動産小口化商品は相続対策の活用方法として今後も増加するでしょう。ただ、不動産投資の側面もあるため、購入時はエリアや借り手の確認が大切です。現金活用を考えられている方や、不動産など資産の組み換えを検討されている方は、この機会に一度、結い財産サポートまでご相談ください(無料)。

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