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お宝発掘できる眼力とは マネー・ボール〔完全版〕

著者:マイケル・ルイス
出版社: 早川書房; 完全版 (2013/4/10)

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こんな人、こんなシーンにおすすめ

  • 一通り知識は学んだけれども、実戦の投資ではなかなか利益が出ない人
  • 本や新聞、ニュースの情報に右往左往してしまい、投資方針が確立できない人

アメリカン・ドリームともいえる大リーグの逆転劇

年俸何十億円を稼ぐスター選手たちが活躍するアメリカ・大リーグの世界において、オークランド・アスレチックスは資金不足のため有力選手を獲得することが出来ず、チームの成績は下位を低迷していた。
そんな中、新たに就任したゼネラル・マネージャーのビリー・ビーン氏は、画期的な手法によって大リーグ首位に迫る強豪チームへと変貌させた!
というノンフィクション(実話)ですが、このビリー・ビーン氏の手法がそのまま、株式投資や不動産投資に応用できるのです。

自分なりの基準がないと宝は探し出せない

まず、ビリー・ビーン氏の手法について解説しましょう。

ビリー・ビーン氏は選手をスカウトするに当たって、他の球団が重視するような
「本塁打数、打率」(打者の場合)、「防御率」(ピッチャーの場合)
などで選手を選ぶことを止めました。

そういう基準は他の球団も採用しているため、選手の価格(移籍金や契約金、年俸など)が釣り上がってしまい、割に合わなくなってしまうからです。

ビリー・ビーン氏は代わりに、他の球団が採用していない基準、
例えば
打者なら・・・「四球(フォア・ボール)」を選ぶ選球眼
これを「第二の打率」と呼びます。

第二の打率では、ヒットだけでなく、四球や盗塁によって出塁したものもカウントします。要は出塁でき、得点に貢献できるのであればヒットでなくても構わない、と割り切るわけです。

投手なら・・・防御率ではなく、「第二の防御率」

防御率(1回あたりの失点数)で評価されていた投手の成績を、第二の防御率(三振÷四球、つまり三振を1個とるのにどれだけ四球を必要としたか。野手の守備力によって左右される防御率よりも、純粋に投手だけの能力によって左右されるため。)

で評価します。

そうすると、従来の「打率」や「防御率」の評価では「ありふれた選手」「たいしたことのない成績」と見なされていた選手が、実は潜在的な能力を秘めていたことが分かり、それを「割安な買い物」として激安価格で獲得できるわけです。

その「割安な価格」で獲得した選手で組成されたチームは案の定、好成績を収め、オークランド・アスレチックスは人気球団となり、所属する選手の知名度も上がっていきます。

すると、以前は激安価格だった選手にも高値がつけられ、高額な移籍金で他のチームに売り渡すことが可能になります。

その資金(いわば売却益)を使って、チームの本格的な増強にも乗り出すことができる、というわけです。

以上の一連の流れを、不動産投資に置き換えてみましょう。

一目見て「一流選手」と分かるような好立地・築浅・美麗の物件は、「お金持ち投資家」に任せましょう。
資金の限られている駆け出しの投資家は、他の人が嫌うような「難アリ」物件だったとしても、実は誰も気付いていない長所(第二の打率、第二の防御率のようなもの)をもつ物件を発見して、格安で購入ですれば良いのです。

数年間、その物件を高利回りで運用することができれば、その成績を元にお金持ち投資家に転売してキャピタルゲインを獲得することも出来ますし、もちろんそのまま保有することもできるでしょう。

株式投資の世界においても同様です。

天才トレーダーと言われるヘッジ・ファンドのオーナー、ジョン・W・ヘンリー氏は、上記のオークランド・アスレチックスの手法を真似てボストン・レッドソックスを買収し、見事メジャーリーグで優勝を飾るまでに成長させました。

それは、ジョン・ヘンリー氏が株式投資(を含む様々な金融取引)の世界において、まさしくビリー・ビーン氏が取り組んでいた手法を日常的に行っていたので、非常に馴染みの深いやり方だったのです。

ジョン・W・ヘンリー氏いわく、
「投資の世界では、意味のある指標を見つけ出さなければ良いトレーダーとは言えない。」

他の人が使っている指標、たとえばPERやPBR、チャートの分析手法を何も考えずにそのまま使うのでは差別化になりません。
そこに自分なりのエッセンス、ひねりを加えていく。

まさに、四球や三振など、野球を知っている人なら誰でも知っているようなごくありふれた指標をどのように組み合わせるかによって、それまでにない新しい指標、新しい概念、ビリー・ビーン氏にとっての「第二の打率」「第二の防御率」のようなものを生み出すことができるのです。

それによって、他の人が見向きもしない、放置された「お宝物件」「お宝銘柄」を発掘し、利益に換えることができます。

投資の世界でも、野球の世界でも通用する、物事の「真理」を教えてくれる本です。

書籍の評者

束田 光陽
ファイナンシャルアカデミー認定講師 ・不動産投資家

サラリーマン生活に不安を感じ不動産投資を開始。現在の年間家賃収入は3,000万円以上。その実績と経験を基にした講演は抜群の説得力。『束田講師の落語のような授業を話を聞くために通っている』という受講生は多い。

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束田 光陽