年齢を重ねるということは、誰にとっても初めての経験です。
しかし、若ければ幸せなのかといえば、決してそうではない。二十代には二十代の、三十代には三十代の生きづらさがつきまとうものです。
五十代には五十代の、今だからわかる様々な人生の機微を大事にして生きていく方法があるようです。作詞家としても名高い吉元由美著『年を重ねるたびに美しくなる女性の理由』 より、年齢を受け入れる自然な生き方についてご紹介します。
意識のスイッチを変えて「怖れ」から脱却する
そして私は五十代を迎え、はや半ばを過ぎました。五十歳になったとき、身体のこと、これからの生き方、限りある時間のことが急に眼前に迫るように実感されて、立ち尽くすような気持ちになりました。「怖れ」を感じたのです。
<002ページより引用>
作詞家として多くのトップアーティストの作詞を手がけ、キャリアを重ねてきた著者。
二十代は自分が成長することで世界を広げ、三十代は迷いのトンネルの中を歩いているような日々だった。そして、四十代になると迷いがますます深まり、次々に難問を突きつけられているようであったといいます。
やがて、五十代も半ばを迎えて「怖れ」を感じるようになった著者。しかし、「怖れ」から生まれるものに喜びはなく、年齢を受け入れて誇りを持って歩む方が、創造的な生き方になることに気がつきます。
限りある時間をどう使い、心地よく過ごすのか。五十代は、改めて自分を整えて見直す年齢なのかもしれません。
五十代だからこそ見えるようになった世界があるはずであり、人生の後半戦に入ったからこそ、理解し味わえる境地もあることでしょう。
電気のスイッチを切り替えるように、意識のスイッチを変えていく。年齢を重ねるほどに、幸せで魅力的な女性になるためのメソッドが、本著には記されています。
ポジティブという言葉に踊らされない
ポジティブとはどういうことなのか。そこをわかっていないと、ポジティブという耳障りのいい言葉に踊らされることになるように思います。陥りやすいのが「ポジティブでなければ運はひらけない」という思い込みです。半ば強迫観念のようになってしまう。泣きたいのに無理に笑ってしまう。中略
感情と思考と行動の不調和は、とても不自然なことです。
<059ページより引用>
ポジティブに生きるというあり方は、ビジネスやライフスタイル、ありとあらゆる分野で礼賛されがちです。
著者は、自身のことをとても前向きで、ポジティブな人間である、しかし何度も落ち込み困難に陥りつつも、へこたれずに生きてきたと語っています。
しかし、四十代の初めのころは、家族のことで大変なことが起き、ポジティブになれずに虚しさと徒労感の中にいたのだとか。
自分を大切にする余裕がなく、軽くうつを患って薬を飲んでいたこともあったようです。ポジティブに生きるということは、「成功したい」「名誉名声がほしい」「お金を稼ぎたい」といった単なる欲からではなく、生きる喜びや生かされている意味を知りたいという気持ちからおこる思いでなければならない。
喜びがわきおこるような生き方をしているから、大事なときにポジティブな選択ができるのだと著者はいいます。ボジティブに生きるとは、ただただ闇雲に前を向くことではなく、ピンチに陥った困難の中で、いかに希望を見出して進んでいけるかということ。
その本当の意味を履き違えないようにしていかなくてはなりません。
五十代は「素敵ですね」が褒め言葉
五十代は、「若い」と言われるよりも、「素敵ですね」と言われるような人を目指した方がいいと著者は語ります。
年齢と外見だけの若さに縛られていると限界が来ますが、無理なく美容や健康に気をつけて、いい意味でアンチエイジングを意識している人は、何歳になっても生き生きとしているものです。
「若い」が褒め言葉ではなく、「素敵ですね」が似合う年頃。五十代は新しい大人の美しさを身につけていくときのようです。
タイトル:年を重ねるたびに美しくなる女性の理由
著者:吉元由美
発行:大和書房
定価:1404円(税込)