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出生数90万人割れへ 推計より2年早く

10月に「出生数90万人割れへ」と報道され、大きな話題を呼びました。
これは厚生労働省が発表した人口動態統計の19年1~7月の出生数(速報値)が前年同期比で5.9%減の51万8590人になったことを受けたものです。
このままいくと、19年の出生数は90万人を割る可能性が高いと推定したのです。

これまでの推計よりも2年早く90万人割れしてしまうことになり日本政府の想定を超える少子化によって、社会保障制度や経済成長に大きく影を落とすことは目に見えています。

今回の【ビジネスEYE】では、日本の将来を揺るがす出生数について考えてみましょう。
(参考:日本経済新聞/2019年10月7日)

1.では、どうすれば出生数は増えるのか

政府が、2015年に子育て支援の充実を経済政策「新3本の矢」に据えてから4年が過ぎました。
数々の対策を打っていく中で、具体的な数値目標が公言されたのはこの子育て支援に関する分野が初めてでかつ、戦後初めて出生率の目標を掲げたことで当時はずいぶんと話題になったことを思い出します。
結婚して子どもを産みたいと考える人の希望がかなった場合の割合を「希望出生率」といい政府はこの値を「1.8」と具体的な目標に定め保育所の整備や育児休業の推進などに取り組んできましたが効果は十分ではないと言われています。

それ以外にも男女雇用機会の均等、少子化対策女性活躍推進などの政策を推し進めてきました。
「男性と同じように働け!」と言ったかと思えば「子どもを産め!」と言いいよいよ最後は「活躍しろ!」と、女性に向けた施策をうってきたイメージが強いです。

しかしながら、希望出生率1.8を実現するには未婚者/既婚者がそれぞれ以下の条件を満たすことが必要になるそうです。
◆未婚者
・いずれ結婚するつもりの独身女性89.4%が全員結婚する
・独身女性が将来欲しい子どもの数2.12人を産む
◆既婚者
・夫婦手予定する子どもの数2.07人を産む
仕事に就くと子供が産みにくくなるし子供を産むと仕事に就きにくくなるように思える中で、この数値、達成できるのでしょうか。
答えは言わずもがなでしょう。

2.実現に向けてキーポイントになるのは

ポイントは、各企業や経営者の自助努力に尽きると思っています。
2000年代前半には、OECD(経済協力開発機構)諸国の合計特殊出生率と女性の労働参加率は1980年代以前は負の相関関係だったのに、80年代になってからは正の相関関係に転じたという論文が発表されました。

つまり「女性の労働力率が高まるほど出生率も高まる」という相関関係があったわけなのですがこれを「だったらもっと女性に働いてもらわないと!」という乱暴な議論が展開され女性活躍推進を進めてきたのだとすると、確実にうまくいかないと思います。あくまで「相関」であり、出生率の高まった「原因」が労働力率の上昇ではないからです。

その後、別の専門家が「仕事と育児の両立度」と「職の柔軟性による両立度」の2つによって正の相関関係が実現したのではないかと指摘していますがつまり、子供の面倒を見るための働きやすさと、仕事自体の勤めやすさ総じて柔軟な働き方を整えることが出生数や出生率を押し上げることに繋がる、というわけですね。

国を挙げて取り組んでいる働き方改革。社会保障制度や経済成長を支える環境整備の核とも言えますが国だけが声高に叫んでいても何も変わりません。
各企業や経営者が本気で取り組んで国や地方に協力する形を取らないことには何も始まらないでしょう。

もちろん、若者の可処分所得が少なくなっている点なども原因として考えられますが目の前で四苦八苦している働き方改革を実現させることが、各企業や経営者の急務なのではないでしょうか。

筆者も、経営者として日々本気度を試されているように感じています。

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著者プロフィール
中村 亨

コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング代表。公認会計士。
監査法人トーマツを経て会計事務所を開業。600社程のベンチャー企業の経営・財務に携わる。

2005 年に株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング(現日本クレアス税理士法人)を設立し、約100人のプロフェッショナル集団を築き上げる。著書に『「俯瞰」でわかる決算書』(ダイヤモンド社)、『不況でも利益を生み出す会計力』(東洋経済新報社)など。

日本ファイナンシャルアカデミー株式会社監査役、 一般社団法人金融学習協会理事。


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