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レノボにみる、M&Aによる「落穂拾い」経営

非成長分野でも残存者利益を享受している、あの有名企業の事例を紹介します。

パソコン世界最大手のレノボ・グループがM&A(合併・買収)や出資による「落穂拾い」経営で収益力を回復させています。
21日に発表された2018年10~12月期連結決算は、最終損益が黒字転換しました。
(参考:日本経済新聞/2019年2月22日)

今回の【ビジネスEYE】では、レノボにおける多角化の失敗から、残存者利益による回復までを見ていきましょう。


(1) スマートフォン(スマホ)事業への進出・失敗

レノボのパソコン事業は、現在も売上の7割を占めています。
「パソコン事業に依存し過ぎず、次の成長する世界を探さないといけない」(楊元慶会長兼CEO)ため、グーグルから「モトローラ」を買収し、14年にスマホ事業へ進出しましたが、アップル・サムスンの2強を崩すには至らず、2年後にはリストラ計画を始動させたそうです。

しかしながら、IBMの買収で世界の巨人への道を掴んだレノボは、この失敗をきっかけに、原点回帰として富士通のパソコン事業との統合を進めたとも言われています。


(2) 残り物には福がある-残存者利益確保による回復

レノボの世界パソコン出荷台数シェアは24.6%(18年10~12月期)、17年に米ヒューレットパッカード(HP)に奪われたトップの座を18年7~9月期に取り戻し、その座を固めることに成功しました。

急成長の反動が激しいスマホ市場(4%減)に比べると、パソコン市場の縮小スピードは緩やかです。
安定市場での残存者利益を狙って、レノボは買収や出資を続けてきました。
12年3月期にNECのパソコン事業と統合し、独メディオンを買収。
18年3月期には富士通とのパソコン事業統合を発表。と、「落穂拾いのようにシェアを積み重ねてきた」わけです。

世界のパソコン市場は日本勢などの撤退が相次ぎ、レノボとHPの2社で5割近いシェアを握っています。
中長期的な成長は見込めませんが、安定収益源となりつつあります。
ジャンフランコ・ランチ社長兼COOは「次の課題は成長」と発言。
経営においては「選択と集中」がキーワードですが、ライバルが自然に減っていくような非成長分野では「やめなければ勝ち」のような気もします。
楊会長の目指す「次の成長する世界」から新たな収益の源泉を生むのか、このまま「落穂拾い」を続けるのか。
レノボは、引き続き真価を問われる戦いを続けることとなるでしょう。


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著者プロフィール
中村 亨

コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング代表。公認会計士。
監査法人トーマツを経て会計事務所を開業。600社程のベンチャー企業の経営・財務に携わる。

2005 年に株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング(現日本クレアス税理士法人)を設立し、約100人のプロフェッショナル集団を築き上げる。著書に『「俯瞰」でわかる決算書』(ダイヤモンド社)、『不況でも利益を生み出す会計力』(東洋経済新報社)など。

日本ファイナンシャルアカデミー株式会社監査役、 一般社団法人金融学習協会理事。


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