中村亨のビジネスEYE

令和3年度税制改正大綱、2つの狙い

BUSINESS EYE

中村亨の「ビジネスEYE」です。

令和2年12月10日に与党は「令和3年度与党税制改正大綱」を決定しました。
今年度の狙い(特に減税措置関連)は、主に大きく2つに分かれると思われます。

1つ目はビジネスを変化させるための取り組み(デジタル化や脱炭素化、雇用促進など)を手厚く支援する内容と、中小企業やM&A(企業の合併買収など)の支援、つまりは「今後の企業の成長力の強化支援策」が挙げられます。

2つ目は新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた家計などを支援し、「ウィズコロナ・ポストコロナの経済再生策」の減税措置等となります。

今回のビジネスEYEでは、税制改正大綱のポイントをご紹介します。

今後の企業の成長力の強化支援策

主なポイントとして次の4つがあります。

【1】デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制

自動化設備やクラウドソフト導入などデジタル設備の投資による減税措置

【2】脱炭素化に向けた投資促進税制

省電力製品など生産工場への設備投資、あるいは工場の省エネ化など最新設備を導入した場合の減税措置

【3】雇用促進(賃上げ税制)の見直し

大企業は新規雇用者給与総額が対前期2%以上増加での税制適用、中小企業は全従業員給与総額が対前期1.5%以上増加での税制適用に見直し

【4】中小企業関連税制

M&A実施時の投資額の70%までを準備金として積み立てた場合、税務上損金算入を認める減税措置

デジタル化や脱炭素化といった、政府の重点政策を後押しするような施策が盛りこまれています。

ウィズコロナ・ポストコロナの経済再生策

主なものとして4点挙げます。

【1】2020年度末で期限切れを迎える予定だった中小企業向け軽減税率の特例

中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制などを延長

【2】住宅ローン控除の見直しや贈与税非課税措置の延長

・通常10年の住宅ローン控除を13年受けられる特例を2年間延長
・減税の対象物件を床面積50㎡以上から40㎡以上に緩和
・所得要件は合計所得3,000万円以下から一部1,000万円以下への改正
・住宅購入時の直系尊属からの贈与税非課税措置は2年間延長、据え置き

【3】エコカー減税の見直し

・自動車重量税のエコカー減税の燃費基準を厳格化(グリーン社会を推進)、及び2年の延長
・クリーンディーゼル車は優遇を縮小

【4】子育て支援

ベビーシッターや認可外保育所の費用への助成を非課税化

コロナ禍で落ち込んだ車や住宅の販売を盛る上げるための施策、また、若い子育て世代の負担を軽減するための施策が盛り込まれています。

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著者プロフィール

中村 亨

日本クレアス税理士法人コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングコーポレート・アドバイザーズM&A代表。公認会計士・税理士。

監査法人トーマツを経て会計事務所を開業。600社程のベンチャー企業の経営・財務に携わる。

2005年に株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングを設立し、約100人のプロフェッショナル集団を築き上げる。著書に『「俯瞰」でわかる決算書』(ダイヤモンド社)、『不況でも利益を生み出す会計力』(東洋経済新報社)など。