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損金計上だけではない『30万円特例』を利用した保険の活用

中村亨の「ビジネスEYE」です。

2019年に法人向け生命保険に関する損金計上の取扱いについて大きな改正がありました。
「節税効果」があるとして一種のブームともなっていましたが、駆け込みの決算対策で保険を活用された経営者の方は多かったのではないでしょうか。

この改正により生命保険を節税対策として利用することが難しくなったと思われている中、改正後でも全額損金計上可能な『30万円特例』の保険活用が注目されています。

今回のビジネスEYEでは、法人保険の30万円特例についてお伝えします。

 

■保険料30万円特例とは?

法人が定期保険やガン・医療などの第三分野の保険に加入した際、一定の条件に該当した場合で、年間保険料が30万円以下の保険契約に関しては、【全額を損金として処理】する事が出来る特例です。

この特例に該当する条件は2パターンあります。

【A】次の①と②を充足する場合

①保険料の支払期間が5年、10年当の短期払込みの保険で、解約返戻金が無いもの、もしくは解約返戻金がわずかな定期保険または第三分野保険
②被保険者1人当たりの年間保険料が30万円以下

【B】次の③と④を充足する場合

③解約返礼率が50%超~70%以下の定期保険または、第三分野保険
④被保険者1人当たりの年間保険料が30万円以下

■この特例を利用した保険の活用方法

1.経営者の保障

終身保障の第三分野保険に加入し短期払いで支払期間を終えた後、退職金と一緒に保険の現物支給を行います。
保険の権利が個人に移りますので、勇退以降は一生涯の保障を得ることが出来ます。

現在は、第三分野の保険は、医療保険だけでなく、がん保険や認知症保険など様々な種類があり選択肢が広がっています。

2.従業員の福利厚生

解約返戻率70%以下で保険料30万円以下の定期保険を、従業員を被保険者として加入することで、従業員の万が一の保障と勇退時の退職金積立の両方を賄えます。

保険契約者が法人の為、解約返戻金や死亡保険金等の受取りは法人で、死亡保険金の一部は遺族に、一部は会社の運転資金に活用する事も可能となります。

また、早期の退職者への退職金が、退職金規定に沿ったものでなければ、従業員に支払わずに、解約した返戻金を全額法人の運転資金へ活用する事も出来ます。

■保険活用の注意点

ただし、この30万円特例を活用する際には3つ注意が必要です。

①被保険者1人当たり年間保険料を30万円以内に抑える必要がある

(例1)同年にA社がん保険20万円、B社医療保険20万円の保険契約を行った場合。
 →A社、B社ともに損金扱いになりません。

この特例は1契約ごとに取り扱う訳ではなく、被保険者1人当たりを基準としています。
このケースは社長がA社、B社で合計40万円の保険に加入した事となり、30万円特例から除外される結果となります。

(例2)前年A社定期保険29万円に加入し、翌年B社定期保険に10万円加入した場合。
 →初年度は29万円損金算入されますが、2年目から全額損金算入されません。

A社を契約した初年度は30万円以下なので全額損金となりますが、B社を契約した時点で先程の例と同様に、A社加入の保険料と通算され保険料が、30万円を超過する為、A社分を含めて損金扱いから除外されます。

★このケースの怖いところは、改正後の保険契約はすべて保険料が通算される点です。加入時には過去の保険契約を確認する事が必要です。

 

②法人税の実効税率が30%超でなければメリットを受けられない。

解約返戻率が70%以下の場合、戻ってこないお金が最低でも30%あるわけですから、法人税の実効税率が30%超でなければ節税メリットを受けられないことになります。

仮に従業員10人がこの保険に加入した場合、年間300万円の損金を作る事が出来ますが、法人税率が低い場合には、節税メリットはわずかな金額だけです。

 

③医療保険の見舞金、退職金緒支給する場合には規定が必要。

保険加入に関して規制はありませんが、法人契約の保険金や給付金は、法人が受取人になります。
法人が受取った保険金等を被保険者へ支給する場合には、見舞金や退職金の支払いは、規定がなければ損金に計上することが出来ません。また、『見舞金』に関しては、『社会通念上妥当な金額』の損金処理が可能なので、福利厚生等で活用する際は規定作成や支給金額に注意が必要です。

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保険の税制改正が入ったことで、今までの節税を主とした販売方法から、万が一の保障や従業員の福利厚生など保険本来の販売方法に変わり始めています。

全額損金と言う言葉の響きは魅力的ですが、会社にとって本当にメリットがあるかどうかの見極めが重要です。
保険加入の検討にはぜひ、プロのプランナーにご相談ください。

日本クレアス財産サポートでは、お客様とともに現在の保険契約のリスクの洗い出しを行い、最適な契約内容のご提案を行います。

現在加入している保険の見直しや、今後の保険の取り扱いについてお悩みの際には、お気軽にお声がけいただければと思います。

<問合せ先>
日本クレアス財産サポート
電話:03-3593-3263
お問い合わせフォーム:https://creas-zaisan.com/free-consultation-form/

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著者プロフィール
中村 亨

コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング代表。公認会計士。
監査法人トーマツを経て会計事務所を開業。600社程のベンチャー企業の経営・財務に携わる。

2005 年に株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング(現日本クレアス税理士法人)を設立し、約100人のプロフェッショナル集団を築き上げる。著書に『「俯瞰」でわかる決算書』(ダイヤモンド社)、『不況でも利益を生み出す会計力』(東洋経済新報社)など。

日本ファイナンシャルアカデミー株式会社監査役、 一般社団法人金融学習協会理事。


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