中村亨のビジネスEYE

行政手続98%がデジタル化・デジタル庁創設で期待されること

BUSINESS EYE

『2万2千ほどある行政手続きの98%超を2025年までにオンライン化する。』政府の規制改革推進会議が菅首相に提出した答申です。

デジタル改革の司令塔となる役割が期待される「デジタル庁」の創設を盛り込んだ「デジタル改革関連法」が5月に可決・成立して以来、デジタル化・DXがこれまで以上に喧伝されています。

今回のビジネスEYEでは、加速をつけるデジタル庁の動きを見てみましょう。(参考:日本経済新聞/2021年6月2日・6月11日)

コロナで露呈した日本のDXの遅れ

新型コロナウイルス禍は、日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れを際立たせました。

当初、罹患者の集計はFAXで行われていました。ワクチン予約は自治体が出す「紙の」接種券が無ければ予約できない。日本に入国するためには「紙の」検査証明書の提出を求められる。何をするにも紙のやり取りを求める行政の悪弊が、対応を鈍らせてきました。

ワクチン接種記録システムを活用し、国の接種証明書を発行する案が浮上しましたが、そのためには「マイナンバー法の改正が必要」。マイナンバー情報を扱えるのは税や社会保険などと法律で厳しく定められており、国は照会することさえ難しく、規制に阻まれた形となりました。

行政手続きのオンライン化とキャッシュレス

冒頭の答申ですが、幅広い分野でデジタル化を進めるよう提起しています。行政手続のうち、転入届の提出や失業給付の申請など、実際に対面をして本人確認を行う必要があるもの432種類を除いてオンラインにすると打ち出しています。

また、支払いのキャッシュレス対応も求めています。交通反則金など年間1万件以上の支払い件数がある手続きに関し、インターネットバンキングや窓口でのキャッシュレス払いへの対応を進めるとしています。

デジタル庁が進めるマイナンバーの活用促進

「デジタル改革関連法」の重点課題の一つに、マイナンバー法等の改正を含んだマイナンバーの利便性の抜本的向上・行政手続の効率化があります。

・電子証明書のスマートフォンへの搭載を可能とする
・転出届に関する情報を、転入地に事前通知する制度を設ける

2年以内の施行を予定しているこれらは、マイナンバーカード所持者にとって利便性の大きな向上となり期待されます。

行政手続の効率化で注目すべきは、「国家資格とマイナンバーの情報連携」です。医師・看護師・歯科衛生士 など社会保障関連の31の国家資格に対して、事務等におけるマイナンバーの利用及び情報提供が可能になります。

厚生労働省所轄の国家資格に限られていますが、今後はその対象が広くなることも予想されます。まだ発展途上の制度という認識を持たれる方も多いようですが、マイナンバーカードは今後のデジタル社会にとっては不可欠なものになるのは間違いないでしょう。

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国家資格とマイナンバーの連携については、日本クレアス税理士法人医療事業部のWebサイトでもご案内しています。当サイトでは、病院・診療所・歯科など、医療分野に従事している方に様々な情報を公開しています。ぜひ ご参考ください。

●〇●日本クレアス税理士法人医療事業部「国家資格とマイナンバー連携へ」
┗ https://ca-medical.jp/about/news/032/

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著者プロフィール

中村 亨

日本クレアス税理士法人コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングコーポレート・アドバイザーズM&A代表。公認会計士・税理士。

監査法人トーマツを経て会計事務所を開業。600社程のベンチャー企業の経営・財務に携わる。

2005年に株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングを設立し、約100人のプロフェッショナル集団を築き上げる。著書に『「俯瞰」でわかる決算書』(ダイヤモンド社)、『不況でも利益を生み出す会計力』(東洋経済新報社)など。