中村亨のビジネスEYE

月次支援給付金(東京都・自治体独自の上乗せ給付)について

BUSINESS EYE

2021年4月以降に、緊急事態宣言の影響により売上高の減少した企業に対して、国の月次支援金制度が実施されていますが、東京都は国の月次支援金に上乗せの形となる
独自の「東京都中小企業者等月次支援給付金」の給付をすると6月7日に発表しました。

国の支援金から支給対象を拡大させた、独自の支援金は他の自治体にもありますが、今回はこの東京都が発表した独自の月次支援給付金についてご紹介いたします。

給付の対象

給付対象となるのは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置によって飲食店などの休業や時短営業の影響を受けた、「東京都内に本店・本社を設けている」中小企業、酒類販売事業者、及び「東京都内に住所を有する」個人事業者です。

つまり東京都内に「支店・店舗・従たる事務所」などを設けていても、法人である場合には登記簿上の本店所在地が東京でない場合は給付の対象外となります。個人の場合は住所が東京都内になければこちらも給付対象外となってしまいますのでご注意ください。

また、複数の店舗があっても、店舗ごとに受給できるわけではありません。国支援金と同様に「事業者単位」で支給されることにご留意ください。

給付の要件

東京都の月次支援金の対象は分かりやすく分解すると次の2つのパターンとなります。(図解を参照)

1.国支援金に加算して支給

国支援金の要件を満たし、受給している場合(4・5・6月売上高50%以上減少)の給付金額の上限は、法人が最大5万円/月、個人事業者が最大2.5万円/月となります。

※酒類販売事業者で国の月次支援金を受給している場合は、さらに上限額が増え、法人は最大20万円/月、個人事業者は最大10万円/月となります。

2.国対象外を都独自に支給

4・5・6月売上高が「50%以上減少」していないため国の月次支援金が申請できなかった者であっても、「30%以上減少」している場合の給付金額の上限は、法人は最大10万円/月、個人事業者は最大5万円/月となります。

出典:「東京中小企業者等月次支援給付金 申請受付要領 4・5・6月分」

※ほかに休業要請等に伴う協力金や支援金等を受給していないこと、今後も事業を継続する意思があることなどが要件となっています。

申請期間

申請の受付期間は2021年7月1日から10月31日までとなっています。4・5・6月分を1回にまとめて申請することも可能です。

今回の対象月は4・5・6月となっておりますが、7月現在においても緊急事態宣言が発出しており、国支援金も対象となっていることから、都の月次支援給付金についても7月以降も対象となる可能性は十分ありえます。

申請方法

国支援金を申請した者については、国に提出したものを流用できるため申請の簡素化が図れます。申請方法については「オンライン申請」と「郵送申請」の選択が可能ですが、オンライン申請の場合、2回目以降は必要書類の一部を省略できるため、さらに手続きを簡略化することが可能です。

※2021年7月20日現在の情報をもとに作成しております。今後、内容に変更が生じる場合がありますので、下記のURL「東京都中小企業者等月次支援給付金」のホームページをご確認ください。(https://tokyogetsuji.metro.tokyo.lg.jp/assets/downloads/guidelines.pdf

今回は東京都の月次支援金をご紹介いたしましたが、国の支援金から支給対象を拡大させた自治体独自の支援金は他の自治体にもあります。それぞれの自治体で支給期間や支給対象が異なりますので、各自治体のホームページで最新情報をご確認ください。

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著者プロフィール

中村 亨

日本クレアス税理士法人コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングコーポレート・アドバイザーズM&A代表。公認会計士・税理士。

監査法人トーマツを経て会計事務所を開業。600社程のベンチャー企業の経営・財務に携わる。

2005年に株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングを設立し、約100人のプロフェッショナル集団を築き上げる。著書に『「俯瞰」でわかる決算書』(ダイヤモンド社)、『不況でも利益を生み出す会計力』(東洋経済新報社)など。