【お金トレンド調査】現役高校生の親230名に「成人年齢引き下げ&高校での投資教育」に関する意識を調査

2022年1月5日

18歳でのローン契約には8割弱が反対。高校での投資教育には9割が賛成。そこから見える課題とは?

2022年4月に18歳に引き下げられる成人年齢(成年年齢)。明治9年以来、約140年ぶりとなる今回の成人年齢の見直しは、特にお金に関する領域に大きな影響を与えることが予想されています。また同じく2022年4月より、高校の家庭科の授業で投資について取り扱うことも決定しています。
「10代のお金の当たり前」が大きく変わろうとする今、変化の最中にいる現役高校生を持つ親は、どのような想いを抱えているのでしょうか。総合マネースクールのファイナンシャルアカデミー(本社:東京都千代田区、代表:泉正人、以下当校)は、全国の現役高校生の親230名を対象に「成人年齢18歳引き下げと高校での金融経済教育に関する意識調査」を実施しましたのでお知らせします。

〈この調査でわかること〉
□  18歳から親の同意なしでのローン契約、8割弱の親が反対
□  18歳から親の同意なしでのクレジットカード所有、7割強の親が反対
□  高校での投資教育、約9割が賛成。「これからの時代に不可欠な知識」との声
□  実際にキャッシュレスでお年玉を渡す人は、いまだ1割
□  高校卒業までに子どもに身につけてほしいお金の知識は、
 「収支バランス」「クレジットカードの知識」「消費者トラブルの知識」が上位
□  今、親が学びたいお金の知識は「投資の知識」「ライフ&マネープラン」がトップ

※調査報告後に、専門家考察あり

■18歳成人。親の同意なしでのローン契約・クレカ所有に7割以上の親が反対
現役高校生を持つ全国の男女230名に、成人年齢引き下げで「18歳から親の同意なしでローン契約が行えること」について意見を尋ねたところ、「良いと思わない」が33%、「あまり良いと思わない」が44%と、否定的に捉える意見が77%となりました。また「18歳から親の同意なしでクレジットカードが持てること」については、「良いと思わない」が28%、「あまり良いと思わない」が45%と、こちらも全体の73%が否定的に捉えていることがわかりました。いずれも肯定派からは「もう判断できる、成人だから当然」、否定派からは「まだ未熟、収入がない、知識がない」といった声が聞かれました。

Q2.18歳から親の同意なしで「クレジットカードを所有できること」について
A. 良いと思う=7%、まあ良いと思う=20%、あまり良いとは思わない=45%、良いと思わない=28%

■高校での「投資の授業」、9割弱の親が賛成。これからの時代に不可欠との声
成人年齢18歳引き下げと同じタイミングで始まる、高校の家庭科での「資産形成に関する授業」について意見をが尋ねたところ、「良いと思う」が45%、「まあ良いと思う」が43%と、実に9割弱が肯定的に捉えていることがわかりました。肯定派の意見としては「投資はこれからの時代に不可欠な知識である」といった声がほとんどでした。

Q3.高校の家庭科の時間内での「資産形成に関する授業」について
A. 良いと思う=7%、まあ良いと思う=20%、あまり良いとは思わない=45%、良いと思わない=28%

■子どもに身につけてほしいお金の知識、親自身が学びたいお金の知識とは
Q3に関連して、高校卒業までに子どもに身につけてほしい「お金の知識」について尋ねたところ、最も多かった意見が「収支バランス(お金を使うときの計画性)」、ついで「クレジットカードの基礎知識」となりました。また親自身が学びたいと感じる「お金の知識」については、「投資の知識」「ライフ&マネープラン」が同率1位となりました。子どもに対しては実生活でまず困らない知識をつけてほしいと願い、親自身はこれまで教わることのなかった「投資の知識」や、老後2000万円不足問題でも明らかになった「生涯必要なお金に関する知識」について知りたいと感じていることが読み取れます。

〈専門家考察〉
■「成人年齢18歳引き下げ」から考える、新成人&親御さんに知ってほしい3つのこと

2022年4月に迫った成人年齢引き下げ。数ヶ月後に始まるこの現実を前に、高校生のお子さんを持つ親御さんは、多くの不安を抱えていることが今回の調査で明らかになりました。一方で家庭科の授業内で扱われ始める投資教育については大きな期待が寄せられていることもわかりました。これらの事実をもとに、これから成人を迎えようとする10代のみなさん、そしてその親御さんにぜひ知ってほしいお金のことを3つのポイントに絞ってお伝えします。

1. 社会は「信用」でまわっている
キャッシュレス化が進む現代。新成人にまず身につけてほしい能力の一つが「クレジットカードとの付き合い方」です。クレジットカードを所有できることは経済的信用がある証であり「クレジットヒストリー」と呼ばれる利用履歴に基づく信用情報は、現代社会を生きる上で非常に重要な存在。もしカードの支払いに遅延があった場合、大切な信用情報に傷がつき、将来ローンを組んだり、不動産を買うときに影響が出ることも。クレジットカード以外では、スマホの「割賦払い」も要注意。これも立派なローン契約であり、クレジットカード同様、返済遅延で信用情報に傷がつきます。「現代社会は信用でまわっている」という大原則を、まずはしっかり理解したいですね。

2. 「両面思考」で考える癖を
例えばクレジットカードの「リボ払い」。毎月の支払いが一定額になるため安心安全に見えますが、金利の大きさを考えると、正直おすすめできない支払い方法です。このようにお金の世界には一見よさそうに見えるものの、実は消費者にとって良いとは言えないサービスや商品がたくさん存在します。大切なのは消費者視点だけでなく、常にサービス提供者視点でも考えること。物事を両面から捉える癖をつけると、賢くお金と付き合えるようになりますよ。

3. 情報の「つまみ食い」には要注意!
今やお金の情報はSNSで簡単に手に入る時代。ですが、情報のつまみ食いの裏で、知識不足をついたお金のトラブルが多発しています。今後、高校の授業で投資の話を聞き、成人年齢引き下げにより18歳から親の同意なしで株式をはじめとした金融商品の購入が可能になります。投資自体はこれからの時代に必要なツールですし、関心を持つこと自体はとても良いと思うのですが、断片的な知識だけで踏み出すには危険な存在。決して情報を鵜呑みにすることなく、情報源が確かなものかを確認しつつ、同時に自分で良し悪しを判断できる力を身につけたいですね。

小野原 薫(おのはら かおる)
ファイナンシャルアカデミー認定講師・FP・相続診断士

大手証券会社でキャリアを積む中で、顧客目線の中立的な金融経済教育の必要性を強く感じ、ファイナンシャルアカデミーに参画。現在は、お金の教養スクールや投資信託スクールなどで教鞭を執るほか、高校への出張授業など若年層への金融経済教育普及にも尽力。わかりやすい解説が好評でテレビの情報番組や新聞のコラム執筆など、各種メディアでも活躍中。


〈調査概要〉

調査テーマ :「成人年齢18歳引き下げと高校での金融経済教育に関する意識調査」
調査方法  : インターネットによるアンケート調査
調査日   :2021年12月23日(木)
調査対象  :全国の高校生の子どもがいる男女230名
男女比   :男性 60%、女性 40% -年齢構成:40代 60%、50代 40%

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