【お金トレンド調査】「同一労働同一賃金」導入目前!全国の正規&非正規社員600名にホンネを調査。「お金の不安が減る」と答えた非正規社員はわずか8%

2020年3月13日

全国の20〜40代の正規雇用社員・非正規雇用社員に「働き方改革」に関する意識調査を実施

働き方改革の一環として2020年4月から新たに導入される「同一労働同一賃金」ルール。正規雇用労働者とパートタイムや派遣労働者などの非正規雇用労働者との不合理な待遇差解消を目指すとされていますが、正規、非正規雇用社員はそれぞれにこのルール導入についてどのように考えているのでしょうか。ファイナンシャルアカデミー(本社:東京都千代田区、代表:泉正人、以下当校)は、その実態を把握するため、全国の20〜40代の男女600名に「同一労働同一賃金に関する意識調査」を実施しました。

 

〈この調査からわかること〉

■ 同一労働同一賃金ルールを非正規雇用社員の約6割、そもそも「知らなかった」
■ 非正規社員、ルールが導入されても、自分の賃金は「変わらないだろう」が半数
■ 同一労働同一賃金でも、非正規社員「お金の不安が減った」は、わずか8%
   正規社員では「お金の不安が増えた」が3割
■ 同一労働同一賃金を機に投資への関心増。未経験者の4割弱「今後投資をしたい」

 

非正規雇用社員の約6割、同一労働同一賃金ルールを「知らなかった」

政府の働き方改革の一環として大企業を対象に、2020年4月より開始予定の「同一労働同一賃金」※。正規雇用社員と非正規雇用社員との待遇格差を解消しようとするこの取り組みについて知っているかどうかを尋ねたところ、正規雇用社員の53%、非正規雇用社員の41%が知っていたと回答。非正規雇用社員は賃金アップの可能性があるにも関わらず、実に約6割がルール導入をそもそも「知らない」という事実が明らかになりました。※中小企業へのルール導入は2021年4月からの予定

Q.2020年4月から順次導入される「同一労働同一賃金」ルールについて、知っていましたか?

 

非正規の約半数、ルールが導入されても「賃金は変わらないだろう」

「同一労働同一賃金ルールの導入により、 近い将来、自分の賃金がどうなると思いますか?」と尋ねたところ、非正規雇用社員の約半数が「変わらないと思う」と回答しました。今回のルール導入をきっかけに雇用形態に関わらず実力に応じた賃金が支払われるようになると言われていますが「増えると思う」と回答した人はわずか14%に留まり、反対に正規雇用社員においては2割強の人が「減ると思う」と回答。成果主義による自身の賃金ダウンを予想する人も一定数いることがわかりました。


Q.「同一労働同一賃金」ルールにより、 近い将来、自分の賃金がどうなると思いますか?

 

非正規のうち同一労働同一賃金で「お金の不安減った」はわずか8%

「同一労働同一賃金ルールにより、 将来のお金に対する不安はどうなりましたか?」と尋ねたところ、非正規雇用社員のうち、将来のお金の不安が「減った」と回答した人はわずか8%でした。一方、正規雇用社員においては、お金の不安が「増えた」という人が33%いることがわかりました。


Q.「同一労働同一賃金」ルールにより、 将来のお金の対する不安はどうなりましたか?

 

「お金の不安は変わらない」「お金の不安は増えた」の回答理由(一部)

■同一労働同一賃金になっても、お金の不安は「変わらない」
【正規雇用社員】
・なんとなく/30代男性
・会社から、同一労働同一賃金でも正社員の給料や待遇は減らさないと話があったから/20代女性
・会社からの賃金とは別に、資産形成に長年取り組んできているため/30代男性
・同一労働同一賃金の導入に関わらず、常に給料は減る可能性があるため/40代男性

【非正規雇用社員】
・自分の職種では、そもそも仕事内容を比較できる正社員が存在しないから/40代女性
・罰則がないので何も変わらなそう/30代女性
・すべての企業がこの制度を導入するとは思えないから/20代女性
・もともと賃金が変わるほどの仕事をしていないから/40代女性

■同一労働同一賃金により、お金の不安は「増えた」
【正規雇用社員】
・正社員の特権を廃止するような制度だと思うから/20代女性
・正社員の賃金が削減される可能性があると知ったから/30代男性
・体力の無い中小企業ほど非正規雇用の待遇改善をするために正社員の待遇を削る方向へ進みそうだから/20代女性

【非正規雇用社員】
・自分の能力に自信がない/20代女性
・正社員や派遣という概念がなくなるわけだからより一層競争社会になると思う/30代男性
・自分はサポートをするほうが好きなので、自分自身で成果を上げられるような仕事はしていないので/40代女性

 

お金の不安対策。正規6割、非正規8割が「資産運用はできていない」

将来のお金に対する不安解消策として考えられる資産運用への取り組み状況を把握するため、「現在、将来のための資産運用を行っていますか?」と尋ねたところ、正規雇用社員で6割強、非正規雇用社員で8割強が「行っていない」と回答しました。

Q.現在、将来のための資産運用を行っていますか?

 

同一労働同一賃金を機に、未経験者の4割弱が「今後投資を行いたい」​

前問で「資産運用を行っていない」と回答した人に、「同一労働同一賃金をきっかけに、 今後、将来のための資産運用を行いたいですか?」と尋ねたところ、正規雇用社員・非正規雇用社員ともに4割弱が「今後行いたい」と回答しました。一定数の人が投資未経験ながらも、従来型の年功序列による安定した賃金制度の崩壊を想定し、将来のお金への不安払拭のため自らの行動で将来のお金を準備する必要性を感じていると言えるでしょう。

Q.同一労働同一賃金ルールをきっかけに、 今後、将来のための資産運用を行いたいですか?

 

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従来型賃金制度の崩壊を、いかに早く自分ごととして認識できるか。
お金の不安は、自らの努力で解消する時代へ。

正規雇用社員と非正規雇用社員との不合理な待遇格差を解消しようとする同一労働同一賃金ルール。非正規雇用社員にとっては一見朗報に思えるこの取り組みに対して、当の本人である非正規雇用社員は、あまり待遇向上を期待していないことが今回の調査でわかりました。正規雇用社員と非正規雇用社員とでは仕事内容や労働条件がそもそも同一ではない、罰則規定が設けられていない中でどこまで勤務先が対応するのか疑問に感じる、というのが本音のようです。

その一方で、正規雇用社員の中には同一労働同一賃金ルール導入を機に、むしろお金の不安が増えたという人も少なからずいることがわかりました。社会全体が高齢化し、従来型の年功序列による賃金制度の維持が年々厳しくなる中、これまで以上に成果主義による評価制度が広がることに危機感を感じているようです。

昨年話題になった「老後2,000万円不足問題」でも指摘された通り、レールにさえ乗っていれば国や企業が個人の将来を全面的に保障する時代は終わりを告げようとしています。今後は、目の前の労働による収入確保とあわせて、2本目の収入源となりうる資産運用を行ったり、いかなる環境でも対応できるよう自分の価値を高める自己投資を行うなどして、「自らの人生の責任は、自らが担う」という意識を持つことが、一人一人に求められるのではないでしょうか

 

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■調査概要
調査テーマ :「働き方改革(同一労働同一賃金)に関する意識調査」
調査方法: インターネットによるアンケート調査
調査地域と対象: 全国の男女600名(正規雇用社員300名、非正規雇用社員300名)
年齢構成:20代 33.3%、30代 33.3%、40代 33.3%
調査実施日 :2020年2月19日(水)

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