10代の頃から大勢の前にでるのが恥ずかしくとても緊張をするので、絶対に表に出ない人生を歩もうと思っていました。
『50代、もう一度「ひとり時間」』を出版した時には、記念講演の打診を出版社から受けましたが、迷うことなく直ぐにお断りしました。理由は怖かったからです。
本来の好奇心旺盛の私は、心の底では出版エピソードを話してみたいなと思いました。
しかしもう一人の私は、そんな恐ろしいことはできないと思っていました。堂々と人前で話せる人が羨ましいけれど、私には一生かかってもないと思っていました。
そして、できないことを無理にする必要もないとも思っていました。
何でもエイヤーと始める私ですが、これだけはどうしようもない。私の一番ダメな部分でした。
それが「自分らしく生きる女性を応援したい」「好きなことが仕事になる道を応援したい」と起業を決意しました。
私は大きく変化したい、変わりたいと思ったのです。
これからは、どんどん人前に出て想いを伝えることが仕事となるのです。そのひとつセミナーが完成すると、大きく押し寄せる「漠然とした不安」。そのたびに、「ありのままの私で大丈夫」とつぶやいていました。
もうすぐセミナーを開催するというある日、書店で何気なく目に留まった一冊をパラパラとめくってみると、興味深い一文を見つけました。
何か新しいことを始めようとした時に起こる不安は、起きて当たり前。まだ見ぬ新しい世界。その変化に対抗するために「やめておいたほうがいいよ」と脳が警告している。自分の心地よい安全地帯に留めようとしている。外の危険を知らせる信号を発信している。そう単なる信号である。不安な気持ちはそのために起きる。そんな時には「今、脳が引き留めようとしているのだな」と認識すること。
というようなことが書いてありました。人の変化に対抗する機能をホメオスタシスというそうです。
「なんだ、そうだったのか」と。
押し寄せてくる不安はダメな私のせいではなかったのだ。ホメオスタシスのせいだったのかと。
それ以降、時々押し寄せてくる不安な気持ちに、「来た来た」「脳が抵抗している」と素直に感じるようにしました。するとだんだん不安の波が小さくなってくるのが分かりました。
セミナー当日、京都の京阪三条の駅に降り立つと気分はとても晴れやかでした。
セミナー会場までの15分ほど歩いていくことに。セミナーを終えた後の達成感。喜びの気分を具体的にイメージしながら歩きました。
未来を良いイメージで具体化することは不安を和らげる効果はてきめんでした。とてもワクワクしてきたのです。
セミナー開場まで1時間半、開放感あるお店でおひとり様ランチを楽しむことにしました。
とてもリラックスしている自分に、「もう大丈夫」と自信が生まれました。
バタバタと会場準備を終えて、いざ開場。
受講生の皆さんを笑顔でお迎えできて、ダメな私を一つ乗り越えることができたと実感しました。
「やっぱ無理かも…」と思う不安な気持ちは、あなたのせいじゃない。「ホメオスタシス」の仕業です。
そこをえいっと小さくても一歩前に進むと、ダメな自分がどんどん小さくなり、気が付けば大きく輝いているかもしれません。
【前回の記事はこちら】
自分のベースがその人生を引き寄せる