お金持ち(上級国民)は法的にも有利なのか?

2019年9月8日

日本には本当に「上級国民」と言える人がいて、法的に有利な扱いを受けているのか? 「上級国民」の実際について、多くの法的問題を取り扱ってきた弁護士の意見を聞いてみた。
【ある20代女性より質問】
お金とか権力を持っている人は、法的にも有利に扱われると聞いたことが有ります。例えば、池袋の暴走事件を起こして犯人は、人を殺しているのに逮捕もされずにいます。今の日本には、現実に法的に優遇されている「上級国民」がいると考えて良いのでしょうか?弁護士さんに、実体験に基づいての意見をお聞きしたいです。

池袋暴走事件で浮上した「上級国民」というキーワード

「上級国民」という言葉が流行ったのは、池袋の暴走事件からですね。犯人はアクセルとブレーキを踏み間違えて、車を暴走させた上、死傷者を出しています。それでも逮捕されなかったのは、犯人が偉い官僚で「上級国民」だからだろうなどと言われているわけです。

似たような事件で、「一般国民」の扱いとの違いは?

ただ、交通事件をいくつも扱っている私の感覚からすると、池袋の事件で逮捕されなかったのは、それほどおかしなことではありません。というより、ごく普通のことです。
私が弁護した事件でも、単純に信号を見落として人をひき殺した、80歳の犯人は逮捕されませんでした。その人は、年金暮らしの「一般国民」です。助手席の彼女と話していて、単純な前方不注意で人をひき殺した青年も、逮捕されませんでした。彼もごく普通のサラリーマンです。
池袋の事件で、「上級国民」だから逮捕されなかったというのは、何か誤解があるように感じられます。一般的に逮捕までされるのは、お酒を飲んでいた場合、逃げた場合、プロのドライバーの場合などです。そうでなければ逮捕まで行かないほうが通常です。

「上級国民」の特権は本当にある?

それでは、「上級国民」の特権は全くないのかと言いますと、そうとも言い切れません。政治家や警察の上級幹部は、交通違反を見逃して貰えるという話はよく聞きます。他の弁護士から、交通違反で捕まったときに、「先生、しょうがないですね。次からは注意してください。」と見逃して貰った話を聞いたことが有ります。ちょっとした犯罪の場合、「上級国民」が有利に扱われることは本当にありそうです。

お金持ちは有利に扱われるのか

そもそも近代法は、おカネを持った市民階級が策定したものですから、お金持ちに有利に働くのは当然といえるでしょう。
お金持ちの場合は、法的に有利に扱われるというよりも、ごく普通に法律を適用すれば、そもそもお金を持っている人の方が有利になるように、法律が出来ていると考えるのが正しいと思います。お金を使って、弁護士その他の優秀な専門家を使えば、特別扱いをされることなく、公明正大に良い結果を期待できるのです。
他人のことを「上級国民」と言ってひがんでいるよりも、少し勉強するだけで今よりお金持ちになれるはずですから、すぐに取り組むべきだと思いますね。

この記事のライター

大山滋郎

横浜パートナー法律事務所代表弁護士(日本・ニューヨーク州弁護士)。日本企業に14年勤務した経験をもとに、会社の常識、一般人の見地で弁護士業務を行う。自らリスクをとる投資者の立場で不動産投資も積極的に行っている。月2回のメルマガ「企業の常識・弁護士の非常識」でも情報発信中。近著の「経営者の法律知識」はアマゾン音初心者向け法律書で売上1位。http://www.ypartner.com

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