
ここで質問です。
「給与明細を見たことがありますか?」
もちろん「イエス」ですよね。
「では、給与明細を隅から隅まで読んだことがありますか?」
半分くらいの人はノーかもしれません。次が最後です。
「給与明細の内容についてすべてを理解していますか?」
いかがでしょうか。「ちょっと自信ないかも……」という人が多いのでは?
すでに説明した基本給や手当については理解できていても、保険料や税金については難しい言葉が頻出するので「よくわからない」で片付けてしまいがちです。
でも、「どうせ会社が払ってくれるんだから」といって、放っておいてはいけません。どのような保険料や税金を払っていて、それがどんな意味を持っているのかについてを把握しておかなければ、イザというときに窮地に陥ってしまうからです。
給与明細書を見てみよう!

「社会保険」ってなんのためにあるの?
まずは、「社会保険料」から見ていきましょう。
給料から差し引かれている社会保険とは、年をとったり、病に倒れたり、失業したときなどに、現金やサービスを給付することで生活を保障する制度です。
会社員の給料明細で見た場合、「健康保険」や「厚生年金」、「雇用保険」などがこれにあたります。
健康保険料は、4〜6月の給料をもとにして算出した「標準報酬月額」を基準に、一定の保険料率をかけた後、会社と個人で半分ずつ負担することになっています。
40歳以上になると「介護保険」への加入が義務づけられているので、介護保険料も上乗せされます。介護保険は、介護が必要となったときに、さまざまな医療・福祉サービスが受けられるよう保障するものです。
健康保険の役割は、病院にかかったときの窓口負担を軽くするほか、病気やケガを理由に長期間働けなくなった場合に支給される「傷病手当金」や1ヵ月の医療費が高額になったときに一定額を超えた分が払い戻される「高額療養費」があります。

厚生年金は、会社員が加入する公的年金制度です。健康保険と同じ仕組みで、標準報酬月額に対して一定の保険料率をかけた後、こちらも会社と個人で半分ずつ負担します。厚生年金は、長生きに備える「老齢年金」のほか、病気やケガで障害を負った場合の「障害年金」、家計を支える配偶者や親を亡くした場合の「遺族年金」としてもらうことができます。
また、年金には、厚生年金とは別の国民年金もあります。国民年金は厚生年金とは異なり、基本的に全額を自分で支払う必要があることに加え、老後にもらえる金額も少ないなどの不利な点が複数あります。

雇用保険については、会社がやや多めに負担します。失業した場合に「失業給付金」がもらえるほか、資格取得やスキルアップをしたいときには、「教育訓練給付金」の制度が利用できます。
税金にはどんなものがあるの?
税金は、所得税と住民税が天引きされます。どちらも給与(所得)に応じて納める額が決まる点では同じですが、住民税は前年の収入に対して翌年支払う仕組みになっているため、就職して1年目は支払いがありません。なお、所得税は国に納める国税で、住民税は地方自治体に納める地方税となっています。
そして、総支給額から税金、社会保険料などを引いた額(差し引き支給額)がいわゆる「手取り収入」になります。
会社員は守られている。積極的にチャレンジしよう
社会保険料や年金の面で会社員は優遇されています。だからこそ仕事に全力投球できるのです。そのことを胸に留めながら働いてください。