人生が変わる お金の大事な話

プロローグ−お金を増やす能力は必ず伸ばせる

「お金を増やす能力は、運動神経と同じもの」

みなさんは「え、そんなはずないだろう」と感じるでしょう。
今から十数年前、僕の恩師ともいえる星さんからそんな言葉を聞いたとき、僕も「どういう意味なのだろう」と首をかしげたことを思い出します。
当時、僕は高校を中退して、渋谷の美容室で見習いとして働いていました。星さんはそこにお客さんとしてやって来て、僕によく含蓄のある話をしてくれました。

億万長者になるのは特別な人で、自分とは住む世界が違う、ラッキーな人――美容師見習いをしていた18歳の僕はそう思ってきました。しかし、起業を経て複数の会社を経営し、不動産投資による収入も得られるようになったいま、彼の言葉こそ真実だとわかってきたのです。
たとえば、マラソンで5キロ走れない人も、毎日練習すれば必ず10キロ以上走れるようになります。数メートルしか泳げない人だって、練習を積めば25メートルを泳げるようになるでしょう。
それはお金に関しても同じ。小さな失敗をくり返し、試行錯誤をくり返しながら、少しずつコツをつかんでいくものなのだと教わったのです。

僕自身はかつて、お金面での「運動神経」が全くない人間でした。
美容師見習いとして働き出したものの、徐々に自分の才能のなさに気づき、完全出来高制の営業マン、派遣社員、ゴミ収集車の運転手など職を転々としました。当時の年収は130万円から250万円ほど。築50年ほどの家賃4万円のアパートに暮らして、「もう少しお金があればいいのになあ……」といつも思っていました。
電気代にもこと欠くような貧乏生活も経験しましたが、貧乏よりも何よりもつらかったのは自分がやりたいことが見つからない、夢が見つからないことでした。

それが43歳のいま、夢を見つけて起業し自分のビジネスをもち、投資によって15億円の不動産を所有しています。これは28歳のときに始めた不動産投資によって、7年間で築いた資産です。僕は身をもって知りました。お金を増やすコツさえつかめば、大きな資産を作るのも可能だということを。
投資をするうえで最も重要なのは、テクニックなどではありません。それよりもお金を作り出すための考え方や姿勢、メンタル面での気づきが重要なのです。
僕は28歳のとき不動産投資を始めようと、がむしゃらに働いて700万円を貯めました。3年前、それを元手に、まず都内にワンルームマンションを買いました。その後は一棟もののアパートやマンションなどを購入。今では首都圏を中心に、10棟以上の不動産を所有するまでになりました。

投資家の中には、一流のマラソン選手や、プロゴルファーのように、生まれつきの才能と努力によって投資の世界で頂点に上りつめる人もいます。たとえば、ウォーレン・バフェット(フォーブス誌の長者番付で全米ナンバー1の資産を株式で稼いだ投資家)がそうでしょう。

フルマラソンを2時間10分以内で完走できる人はわずかでしょうが、10キロならばおおぜいの人が走れます。投資の世界も同じ。バフェットのような富豪はごく一握りですけれども、日本には1億円の資産を持っている人が100万人以上いるのです(日本の「億万長者」は2007年末時点で151万人。 注 三菱UFJメリルリンチPB証券・NTTデータ経営研究所による)。

この本は、僕が出会った助言者たち――美容室のオーナー、最初に起業をしたときのパートナー、それに師と仰ぐ星さんから教えてもらったこと、そして僕自身の経験から学んだことを書いたものです。僕は彼らのアドバイスをよく聞いて、実践することによって、豊かになることができました。そのエッセンスを多くの方にも知ってもらいたくて、本を書くことにしたのです。

読者のみなさんに一番に知ってほしいのは、お金を作り出すテクニックではありません。それよりも、お金を作り出す「考え方」や「発想」を身につけることのほうが大事だと思います。
僕が授けてもらった知恵や体験が、あなたの夢をかなえる力になれば幸いです。