
社会人になって数年が経つと、会社の先輩や同僚などから、住宅の購入話がチラホラ出てきます。そこで、モノは試しと住宅展示場に行く人も少なくないでしょう。
住宅展示場では、住宅販売の営業マンがあなたを見つけると、熱心に営業をしてきます。軽い気持ちで見学に来ただけなのに……。
「実は、まだ貯金もあまりできていない状態なんです」
そう呟くあなたの言葉を制して、数千万円もする住宅の購入を勧めてきます。
「全然大丈夫ですよ!頭金はご両親に少し協力してもらえれば、来年には一国一城の主になれますよ。とにかく見積もりだけでもいかがです?」

なぜ、貯金がなくても数千万円という家が買えるのでしょうか。数百万円の車に関してもまったく同じことがいえます。
それは、みなさんも知ってのとおり、ローンがあるからです。
では、このローンがどうやって成り立っているのかを考えたことがありますか?
その答えは「信用経済」にあります。
信用経済とは、「信用」を商品の媒介の手段とする経済の形態のこと。普段私たちが現金でやり取りをしている「貨幣経済」の対となるものです。
私たちがクレジットカードで商品を買えるのも、住宅ローンを使って多額のお金を借りられるのも、「信用」があるからです。
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信用の4C(Capital、Capacity、Control、Character)
信用経済において、みなさんは、自分がどれだけ信用されているかをご存じでしょうか?
たとえば、持っているだけでステータスが証明されるプラチナカード。果たして、みなさんはカード会社の審査を通過することができるでしょうか。
信用の基準となる4つのC
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Capital
資産返済が困難な状態に陥った場合に、それをカバーする資産(担保)を持っているかどうか
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Capacity
返済能力給料などの定期収入があり、借りたお金を返済していける支払能力があるかどうか
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Control
自己管理お金の管理ができ、計画的に返済できるかどうか
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Character
人間性契約を正しく理解し、約束どおり返済してくれるかどうか
その判断基準となるものが、上図の「4つのC」です。基本的には、そのうちのどれかひとつでも欠けると、信用を失うことになると考えてください。
「買える」と「買ってもいい」は同じではない
たとえば、カード社会のアメリカでは、クレジットカードの支払い履歴が重視され、この履歴によって住宅ローンの返済能力が判断されたり、金利が変わったり、あるいは就職・転職にも影響することがあるようです。

日本にもアメリカのようなカード社会、信用社会が到来してきています。
2015年10月から国によるマイナンバー制度が始まりましたが、これにより信用経済の重みはいっそう増す可能性があります。
そのときのためにも、「4つのC」を磨いて、信用を築いておくことが大切です。
信用経済においてもっとも重要なのは「契約を守ること」ですので、まずは「借りたお金をきちんと返す」といった基本的なことを忘れないでください。その積み重ね、つまり長年の実績によって信用が信用を生むことになります。
信用はカンタンに失われてしまう
人間関係と同じで、信用を築くのは難しく、失うのは簡単です。
クレジットカードなら、返済期日に銀行から引き落としできないことが一度でもあれば、その人の信用に傷がつく可能性があります。
また、特典目当てに短期間に何枚ものカードをつくったり、カードをつくったのにまったく利用しなかったりすることも信用を失う原因になりかねません。
クレジットカードの入会・退会・入金遅延などの情報は、個人信用情報機関に登録され、カード会社間で共有されています。
信用履歴によっては、限度額が制限されたり、キャッシングを断られたり、新たにカードがつくれなくなったりします。
「信用」を高めることをつねに意識しよう
信用される人は信用を呼び込む一方で、信用がない人は、何をしても信用されません。社会人1年目は信用を築く重要な時期なのです。