
信用経済において非常に重視されるものが「契約」です。
「契約」とは、2人以上の当事者の合致によって成立する法律行為のことです。
そういきなり言われても、「?」と感じるかもしれません。でも、この契約という行為は、日々の私たちの生活の中で欠かすことができないものです。
日常生活で行われている「契約」
たとえば、私たちがよく利用するコンビニでも契約が見られます。
「1000円、お預かりします」
コンビニでお金を支払うと、店員さんからこんな言葉が返ってきますね。実は、この言葉も立派な「契約」です。その証拠に、お釣りがあるときには、1000円をいったんお店側が預かり、その後、お釣りを返すことになるため、「お預かりします」という表現を使っています。もしこのとき店員さんが、「ちょうだいします」と言ったならば、それは契約として辻褄が合わないことになります。

契約の成立には、契約書や押印は必ずしも必要ありません。
自分の「これください」という申し込みと、相手の「はい」という承諾によって、口頭による合意が形成され、契約が成立しています。
「契約」は、そのほかにも「電車に乗る」「クリーニングを頼む」「美容室で髪を切る」など、さまざまな場面で行われています。
「約束」と「契約」の違い
契約と似ているものに、「明日の15時に代官山のスタバで待ち合わせましょう」といった約束があります。
約束は、守られなかったとしても、道義的には非難することができますが、強制的に守らせることはできません。
一方で、契約は「法律的に拘束を受ける約束」ということができます。
一度契約が成立すれば、その内容に基づいて、当事者は自分の義務を果たす必要があるのです。
特別な事情がない限り、一方的に契約を破棄することはできません。契約違反になり、損害賠償などの制裁を加えられる可能性もあります。
私たちは日常生活の中で、多くの「契約」をしています。何気なくしていることでも、重要な「法的行為」であることを意識する必要があるのです。
契約における「自由の原則」とは?
契約には、下記表にあるように、「当事者は、合意によって自由に決定することができる」という「契約自由の原則」があります。
つまり、先ほども書いたとおり、契約とは当事者同士の合意があれば成立し、その内容や形式は問われないということです。
ただし、この原則は当事者同士の立場が対等な場合に限ります。
家主と借主など、明らかに立場の差があるような場合には、法律による修正が加えられています。
契約自由の原則
| ① 契約締結の自由 | 契約を結ぶか結ばないかを自由に決定できる | |
| ② 相手方選択の自由 | 契約の相手を自由に選んでよい | |
| ③ 契約内容の自由 | 商品、価格などの契約内容を自由に決められる | |
| ④ 契約方式の自由 | 口頭による契約でも契約書による契約でもよい |
契約は日々の生活に欠かせないもの
未成年者(20歳未満)が契約をする場合にも注意しましょう。「親権者(保護者など)の同意」が必要となってきます。親権者の同意がない契約は、成立したあとでも、未成年者本人や親権者が取り消すことができます。ただし、次のような未成年者の契約は取り消しできません。
・親権者から自由に使える小遣いとして渡されたお金の範囲で払った場合
・未成年者が結婚している場合
・身分証明書を偽造したり、親権者の同意があるとウソを言って契約した場合
契約は、私たちの日常生活に欠かすことのできないものです。
当然、仕事においても同じです。契約をおろそかにしていては、社会人として周囲の信頼を勝ち取ることはできません。「契約とは?」をいま一度考えてみてください。
仕事はつねに契約ありきだと意識しよう
ビジネスの場における「口約束」は信用の失墜に直結するミスにつながりかねません。契約はきちんと書面に残すことが大切です。