アラフォーOLが
不動産投資デビュー
してみた。

【Story14】不動産投資家としての冬休みの宿題

不動産投資の知識不足への危機感

2018年の年末。約4ヶ月半の私の不動産投資活動は区分2件のオーナー、区分2件の売買契約終了という結果で締めくくられることとなった。

43歳と遅咲きの投資デビューだったので、活動スピードはかなり早めていた。したがって、図面や契約書類のチェックなどは走りながら学んできた。
ただ、初めて飛び込む世界。しかも大きなお金が動く失敗が許されない世界。腰を落ち着けて知識をつける必要もひしひしと感じていた。
とりわけ、どっぷり文系人間の私にとっては財務・会計などのジャンルの知識不足を痛感していた。

企業人として、基本的なPLやBSという財務指標の基礎知識はある。しかし、「減価償却」や「税金」など不動産投資独特の知識が不足しており、ここの知識を充足せぬまま物件を購入してしまった危なっかしさは常に感じていた。
さらには「ちょいとお小遣い稼ぎ」ではなく中長期の取り組みとして、不動産投資「事業」と捉えていたため、自ら経営者として数字を理解し、コントロールするレベルに到達したいとも思っていた。

その辺の「不動産の独自知識」と「事業者としてのマインドセット」を鍛えるべく、冬休みは自主課題としてこの分野の知識補強に充てることにした。
リアルに「冬休みの宿題」だ。

財務知識を集中強化

冬休み初日から、書籍での勉強と並行して「不動産投資スクール」の復習を始めた。
活動初期の頃に苦戦した「数字の肌触り感」を伴って解釈できない病を克服するためだ。(第3回参照
この課題については、スクールの講師の方の独特な例え話が私には非常にフィット感があり助けられた。
例えば減価償却の考え方だとこんな感じだ。「大学の医学部の授業料として1,500万円支払い医者になった人の初年度の年収が1,000万だとして、その人が果たして500万の損をしていることになるか」などの例え話だ。
「なるほどな〜」と私は猫を膝に乗せながら唸った。結局1,500万の学費はその人が医者で稼ぐ生涯賃金に効いてくるものなので、単年度で回収するものではない。毎年「ちょっとずつ知識を使っているよね」的な解釈で、一定の期間に分割して毎年計上・除却していくという考え方だ。

無論、除却の定義はモノによって様々なので、不動産特有の「建築構造の法定耐用年数」などをベースにして実際の確定申告や決算は申請をする必要がある。ただ、そこの実務に行き着く手前の「減価償却ってこういう概念のものなのだ」と、自分の脳みそなりに解釈することが私の場合は非常に重要らしい。そうでないと、触ったこともないものとお戯れをしているようなモヤモヤ感・不全感が残ってしまうのだ。

その他、「税金を支払ったあとは、善玉コレストロール(減価償却費)と悪玉コレステロール(融資の支払元金)の戦いで手残りキャッシュの額が変わる」など、スクールの講師は文系脳でも解釈しやすい絶妙の例えをしている。

こうした「脳内解釈」をベースにしながら、実際の物件ごとの数値を実践的に眺めていく。不動産はブツの買い物ではあるが、定価はない。ブツ価格以外にも先の「減価償却費」や「会社員収入も合算した税金」や「金融機関からの融資の金利や年数」など、実に様々な変数が加わり「最終結果」に到達する。

さらには、最終結果であるところのゴールも人それぞれだろう。「◯年後に売却益でいくら欲しい」や「あえて黒字幅を狭くしたい」など、自分なりのゴールに向けて先程の各種変数を入れ替えてシミュレーションをする。
冬休みはいくつか巷の検索サイトの物件で、収益シミュレーションを検証をしてみたが、大人のパズルのようでムズ楽しかった。
「そーゆーことか!」と納得するたびに膝の上の猫をわしゃわしゃと弄る回数も増えていった。

オトナの学びに思うこと

改めて考えると、40歳を過ぎてからここまでかっちりと「知らないことを学ぶ」という経験は初めてかもしれない。
社会人の新人の頃はビジネスマナーや用語を学んだ。その後は職種に合わせた知識やスキルを開発してきた。

しかし40才頃になると、自分の専門分野も固定されてきて、会社で新しい課題が下りてきても、だいたい「あ、2年前にやったあの案件の資料をちょいと加工しよう」や「お、前に知り合った◯◯さんがその道のプロだからブレストしに行こう」など、だいたい過去のキャリアの引き出しのどこかに似たような事例はあった。

しかし、不動産投資はまっさらの未知の荒野だったので、知識や経験の引き出し作りをゼロから始める必要があったのだ。
この4ヶ月半を振り返ると、自分の足らない知識にあうあう言いながら苦戦してきた。苦手な財務の本を読んでも、理解が追いつかない自分のポンコツ脳を恨んだりもしたし、仲介の人が使っている専門用語が分からず羞恥することもあった。
その一方で、この歳で新しい引き出しを増やしていく新鮮な感動があったのも事実だ。

人の幸福について数々の名言を残したドイツの哲学者ショウペンハウエルは「人間の幸福の二つの敵は苦痛と退屈である。」と言っている。
ブログタイトルにあるように、私は「アラフォーお局OL」だ。

アラフォーになってひーひー言って学びながら何とか「苦痛」という敵を乗り越えた暁には、新たな未知の世界が拓けるかもしれない。けれど、お局OLとして使い慣れた過去の利き手頼みで仕事生活を送っているだけでは、結局「退屈」という敵に遭遇することになったのかもしれない。

「熱湯かぬるま湯かの選択か」と、スクール講師の足元にも及ばない下手な例え話で、仄かにこの数ヶ月を振り返りつつ、私は2018年の活動を終えた。