独立性と中立性が大きく異なる理由

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私たちファイナンシャルアカデミーは、「絶対的な中立性」にこだわっています。そのこだわりを、ファイナンシャルアカデミーの特徴として、学校案内パンフレットやWEBでも公表しています。

たまに受講生から「中立性とはなんですか?」という質問を受けることがあります。

少し分かりづらい表現ではありますが、「中立性」を辞書で調べると「ある特定の立場や意見にかたよらず、中正の位置にあること。」と書かれています。「中立性」の類語を調べると「公平性・偏りのなさ・フェア」などが出てきます。

まさに私が創立当初からこだわり続けて、かつ守り続けているのは、この偏りのない、公平でフェアな立場、つまり中立性を保った状態で、金融経済教育を提供するということです。これ一点に尽きるといっても過言ではありません。

一方で、「独立系」という言葉もよく耳にします。独立系FP事務所、独立系FPなど、ファイナンシャルプランナー(FP)の方が使っていることの多い言葉です。

「独立系」を類語で調べると「自営・フリーランス・自立」などが出てきます。
また、主に金融業界で独立系と言うと「銀行や他の証券会社など金融機関との資本関係がない会社」を指すことが多いです。逆に独立系でない場合は「銀行系証券会社」といったような表現をします。

この独立系という立場は、私たち生活者においてどのような影響を及ぼすのでしょうか?

独立系というのは、「証券会社や銀行等と資本関係がない」ことを指しますが、実は中立性とは根本的に異なります。

家計のアドバイスを行う独立系FPは、実際は銀行や証券会社、保険会社の金融商品販売代理店となっていることがほとんどです。

金融機関との資本関係はなくとも、金融機関から受け取る販売手数料が収入の一部となっているため、立場としては独立していても、中立性を保ちづらいという問題点があります。販売手数料の多い商品、懇意にしている金融機関の商品のほうを勧めたくなるのはある意味当然のことともいえます。

つまり、独立性によって私たち生活者のメリットとなることがあるとしたら、1つの金融機関だけでなく、複数の金融機関の金融商品の中から選べるということにすぎず、中立的な意見がもらえることがメリットではないということです。

金融商品の販売手数料をもらう立場では、中立性を保つことのできない経済的な構造がある。そこを私たち生活者が理解する必要があります。

一方で、中立性を保つ組織では、金融機関との資本関係もなく、かつ手数料収入もないため、公平で偏りのないフェアな情報を提供できます。ファイナンシャルアカデミーの場合、売上はすべて受講料で成り立っているため、当然ながら中立性を保った生活者にとって本当にメリットのある情報を提供することができるのです。

この、中立的と独立系。

少し見ただけではあまり違いがないように感じてしまうかもしれませんが、このように経済的な構造を考えると、全く違うということが理解できるようになります。

そして、このような「構造を理解する」ということ自体が、私たちが伝えている金融経済教育の知識のひとつです。単に金融商品を選ぶ目を磨くというだけではなく、本質を理解できる人を増やしたいという考えのもと、中立性にこだわりを持ちながら、これからも学校運営をしていきます。

著者プロフィール

泉正人

日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークでスクール運営を行い、義務教育で教わらない「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着を目指している。

『お金原論』(東洋経済新報社)、『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。

ファイナンシャルアカデミーグループ代表。
泉自身が講師を務める月額動画コンテンツ
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