インベスト・トレード・コレクション

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資産運用を後押しする流れが、続いています。
「貯蓄から投資へ」のスローガンに始まり、新NISA、資産所得倍増プラン、高校生への金融経済教育の導入、更には会社が従業員に向けた職域金融教育の流れまで、この数年で資産運用立国に向けた大きな波が一気に押し寄せてきているのです。

でも、どんな資産運用の手法を取るのが良いかは、意外と知られていません。
「新NISAから始めれば良い」「長期分散投資が良い」「応援したい会社の株を買うのが良い」など、様々な情報が拡散しています。なにが正しいのか、混乱する人も多いでしょう。

資産運用で成果を出すためには(失敗しないためには)、まず手法の違いを理解することから始めるのが良いでしょう。

資産運用には、大きく分けて3つの手法があります。
それが、「インベスト」「トレード」「コレクション」です。

「インベスト」は、将来の価値にお金を投じる手法です。
具体的には、ファンダメンタルズに基づいた企業の評価や、長期的な成長性を重視して、将来価値の高まる投資先(株式や不動産)に投資を行う手法です。ウォーレン・バフェットのようなバリュー投資家のアプローチに近い手法です。

「トレード」は、価格変動にお金を投じる手法です。
こちらは短期間の価格変動を利用して利益を得るための手法を指し、テクニカル分析や市場心理をベースに、短期的な売買を繰り返し利益を上げていく手法です。ロング・ショート戦略や、デイトレーダー・スイングトレーダーに近い手法です。

「コレクション」は、自分のが好きなモノを保有する手法です。
自分の応援したい会社の株を保有したり、ブランド立地にある不動産を保有したり、好きなモノを買い集める要素の強い手法です。自分が好きなブランドや興味を持っている技術を持つ企業の株を持ち続けたり、ESG投資などもこの手法にあたり、利益を優先する投資としての側面よりも、コレクターとしての側面が強い特徴があります。

このような3つの手法の違いを知った上で、自分はどの投資が向いているのか(どの投資をやっているのか)を認識し、資産運用を行わないと、判断や戦略を間違って大きな損失を被ってしまうのです。

政府が主導して資産運用を後押しする流れは、少子高齢化による年金支給額の減少や、所得の上がりづらい構造を持つ日本では、私たちにとってとても良い流れかと思います。しかし、興味喚起だけを行って、無知な状態で資産運用を行う国民を増やし続けることはとても危険で、持続的な資産運用立国の実現は難しいものとなるでしょう。

これからは、興味喚起とあわせて、一人ひとりのお金の教養を高めていくことが大切で、まさに、金融経済教育が必要とされる時代が訪れると、強く感じています。

著者プロフィール

泉正人

日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークでスクール運営を行い、義務教育で教わらない「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着を目指している。

『お金原論』(東洋経済新報社)、『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。

ファイナンシャルアカデミーグループ代表。
泉自身が講師を務める月額動画コンテンツ
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