老後資金2,000万円問題のその後

投稿日:

2019年6月に話題になった、老後資金に2,000万円が不足するという金融庁の報告書問題。
メディアを通じて、様々な議論が行われました。

この話題をきっかけに、ファイナンシャルアカデミーの受講生も2割増加。たくさんの人が、自らのお金のことを考えるきっかけになったと思います。

でも、残念ながら考えただけでは老後の資金は増えません。行動に移さないと、資金の量というのは変わらないのです。実際に、老後の資金不足に対して行動まで起こした人はどれくらいいるのでしょうか。

老後資金2,000万円問題のことを耳にした人が国民の70%だと仮定して、約8,000万人。この中で老後のお金の事を考える必要のある15歳〜65歳までの人口60%(総務省統計局)となると、4,800万人が、なにかしら老後のお金のことを考え、そして行動に移しているのが理想です。

個人株主数2,000万人の日本で、仮に15歳〜65歳までの60%が証券口座を持っているとしたら、1,200万人。4,800万人との差である3,600万人が、証券口座を持っておらず、投資に関わったことがない、と想定できます。

では、老後資金2,000万円が話題になったあと、一般的な株式投資(やNISAなど)を始めてみようと、行動に移した人がどれくらいいるでしょうか。

老後のお金の対策について、様々な手段での対策がありますが、その1つの基準は、証券口座の口座増加数(≒新規口座開設数)から見ることができます。
たとえば、総証券口座数約180万件のマネックス証券を例に見てみると、2019年6−7月の2ヶ月間で5,572件の証券口座の増加があったことがわかります(ちなみに、2018年同期間は11,938件、2017年同期間は10,186件)。

他にも、総証券口座数約110万件のカブドットコム証券では、2019年6−7月の2ヶ月間で5,414件の証券口座が新規に開設されています(ちなみに、2018年同期間は5,709件、2017年同期間は8,305件)。

証券会社のシェア率から考えると、おそらく老後資金2,000万円問題が話題になってからの2ヶ月で、約10万件の証券口座の増加があったことがわかります。証券口座を持っていない人が3,600万人いるこの市場で、この数字はあまりにも少ないと感じています。

義務教育でも、社会に出てからも、なかなか触れることのない投資。
人はだれでも、知らないことについては怖いと感じるので、最初の一歩を踏み出すのがなかなか難しいものです。でも、老後資金2,000万円が必要となったことが明確になった今、一人ひとりが自らの将来のため、自らのお金と向き合い、アクションを起こしていくしかありません。

ファイナンシャルアカデミーでの「お金の勉強」は、一人ひとりがお金について考える、ということからスタートします。自らのお金に向き合い、お金にも働いてもらう方法を考え、実行し、そして資産を築いていく方法を学びます。
でも、お金の事をずっと考え続ける必要がないのが、この「お金の勉強」のおもしろいところです。
お金に向き合い、資産を築いた先には、「お金のことを考えなくてよくなる自由」があるのです。判断軸がお金ではなくなり、自由や好き嫌いで判断できるライフスタイルを作っていくことができるのです。

そんなお金の勉強、老後資金2,000万問題をきっかけに、もっとたくさんの人に広げていきたいと思います。

著者プロフィール

泉正人

日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークでスクール運営を行い、義務教育で教わらない「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着を目指している。

『お金原論』(東洋経済新報社)、『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。

ファイナンシャルアカデミーグループ代表。
泉自身が講師を務める月額動画コンテンツ
「IZUMI塾ONLINE」はこちら