3分でわかる!塩漬け株の正しい扱い方
<質問> 友人に勧められ数年前に株を買ってみましたが、値下がりしてそのまま「塩漬け」状態です。この後どうすればいいのでしょうか?
<回答> 友人に勧められて購入したとき、どのような判断軸で購入したのかを覚えているでしょうか?
ファイナンシャルアカデミーの株式投資スクールで伝えていることの一つが、「買いの基準」を持って購入したうえで、「売りの基準」も設定することが大切ということです。
例えば、1,000円で買う場合、どのような基準で買うのか(買いの基準)を明確にしておきましょう。そのうえで、いくらになったら売るか(売りの基準)を決めるのです。想定通りに株価が高くなり1,500円で売却するとか、PERが20倍を超えたら売却するなど、買う時に決めておき、その通りに実行していくのです。もしくは想定に反して下がることもあるでしょう。その場合にも、800円になったら売却するとか、チャートで◯◯◯の売りシグナルがでたら売却するなど、買う時に決めておくのです。
▷そのためには、株を買う時に買いの基準に加えて、利益確定の際の売りの基準、損切りの際の売りの基準、の3つの基準が必要となるのです。
今回は、友人に勧められて購入したとのこと。おそらく買いの基準や売りの基準など設定されなかったのでしょう。そのため、今から売りの基準を作ることは難しく、別な判断軸が必要となります。
そんなときは、塩漬けになっている銘柄を改めて今の状態で分析を行い、自らの「買いの基準」に当てはまるかを見てみましょう。もし買いの基準に当てはまるのあれば保有し続けても良いでしょうが、買いの基準に当てはまらないようでしたら売却をするのが良いでしょう。
経済学では、サンクコストという言葉があります。
日本語では埋没費用といわれ、いわゆる埋もれたコストのことです。もう少し簡単に例えると、「すでに支出されていて、回収できない費用」のことです。
例えば、ある映画のチケットを2,000円で購入し、このチケットを紛失してしまった場合、再度チケットを購入してでも映画を見るべきか否か。悩みますよね。
チケットを購入したということは、購入時点では映画の価値を2,000円と同じか、それ以上と感じていたはずです。一方、紛失してしまったチケットの代金は回収できないのでサンクコスト(埋没費用)となります。そのため、2度目のチケット購入の判断においてはこれを判断に入れない方が合理的なのです。
つまり、再度2,000円のチケットを購入してでも、2,000円以上の価値がある映画を見るのが経済学的に合理的な選択となりますが、しかし人は「その映画に4,000円の価値があるかどうか」という基準で考えがちなのです。
このサンクコストは私たちの判断を間違った方向に持っていきがちです。株(などの対象)へ投資したお金、時間、想いなどから正確な価値を見誤り、必要以上にその対象の価値を大きく見てしまうのです。そのため、株価が下がっても、「まだ上がるのではないか?」と思ってしまったり、「株価は下がっているけど失敗は認めたくない」と間違った判断をしがちなのです。
このように間違った判断を避けるためにも、株式投資の知識をつけたうえで、買いの基準、売りの基準を持ち、合理的な判断ができるようになることが大切なのです。