39歳男性、貯金500万円 :妻のマイホームへのこだわりが強すぎる。上手に折り合いをつけるには?
<質問> 妻がマイホーム購入を希望しています。「キッチンが狭くて料理に不自由」「賃貸マンションは汚くて狭い」「
幼稚園のママ友が持ち家」など、色々あるようですが、とにかくマイホームなしの人生は考えられないようです。私は、お金のこともあり、35年の住宅ローンを背負うのも怖いので…なかなか気が進まず、いつも議論が前にすすみません。上手に折り合いをつけるにはどうしたらいいでしょうか?私(夫39歳)、妻(38歳)、娘(5歳)、息子(3歳)の夫婦共働きで収入は約50万円/月、家賃(管理費込)は10万円/月です。
<回答> 「マイホームか賃貸か」は永遠のテーマ。それぞれの主張することも、よくわかります。
一生賃貸を続けるにしても、マイホームを購入するにしても、家賃やローン、諸費用の総額を合わせると、「どちらも約1億円以上かかる」と言われています。この大きな選択を失敗しないためにもしっかりと夫婦で歩み寄って進めたいところですよね。
もしかしたら奥さんは、理想や夢で頭がいっぱいになっているかもしれませんので、家族の夢や理想の面とお金の面をそれぞれ分けて考えておくことをおすすめします。なぜなら、お金の面で互いの共通認識ができれば、互いの意見が異なってきてもこの原点に戻ることができるから。そして、何よりも現実的にお金には上限があるからです。
今回、質問者さんはこの状況に「上手に折り合いをつけたい」と希望されていますので、まずは一度、「具体的にマイホームについて考えたいから、大切なお金について向き合ってみるのはどう?」と奥さんに提案してみるのはいかがでしょうか。大切なのは、歩み寄りの姿勢です。
そのうえで、伝えたいことが3つあります。
▷1. 家計に合った住居費から生活をイメージする
一般的に、住居費の比率は手取り収入全体の25%に抑えるとよいと言われています。質問者さんの場合は手取り収入が50万円なので、約12.5万円が適正な住居費割合です。比べて現在の家賃は10万円なので、現在のところ家計は健全といえるでしょう。ただしこれは共働き前提で手取り収入で算出しているため、「今後の働き方は?」「転職する、しない?」「収入は横ばい?下がらない?」など、二人の今後の働き方や収入の推移も意見を出し合いながら、紙に書き留めていってください。
・マイホーム購入の予算目安
毎月12.5万円を返済額とすると、約4,200万円の借入ができます。(金利は1.2%35年ローンと仮定)つまり、35年フルローンであれば、4,200万円の物件が購入できるということになります。(物件の1割かかる諸経費を除きますので、420万円は預貯金から捻出する必要があります。)
今の生活費よりも約2.5万円負担が増えることになるので、「外食費や娯楽費などを我慢することで毎月2.5万円削減し、住居費に回せるか」そんなイメージをもって、二人が送りたい生活のイメージをすり合わせてみるとよいでしょう。もし今の生活レベルを変えたくないというならば、現在の家賃10万円を毎月の返済額とすると約3,000万円の借入ができます。(金利は1.2%35年ローンと仮定)
この物件価格3,000万円〜4,200万円を上限に、奥さんが理想とするマイホームが叶うのか?という視点で話し合ってみるのはどうでしょうか。ここに先ほどの今後の収入の目安を照らしあせながら、長期に渡り問題なく支払いができそうか、掛け合わせて考えてみてください。
お金の目安が少しクリアになれば、質問者さんも少し前向きに議論が進められるかもしれませんよね。
▷2. 良い借金と悪い借金を知る
質問者さんは「住宅ローン」を背負うことに、負担感を感じているとのことでした。たしかに35年間、大きな借金を背負うには心理的な負担を感じることもよくわかります。「借金」という言葉はとてもネガティブな印象がありますよね。「借金はできるだけしたくない」と反射的に感じる人もいるかもしれません。正しいお金の知識を学ぶ機会のない私たち日本人は、特にその傾向が強いといわれています。しかし、借金は一概に「悪い」とは言い切れません。
なぜなら、借金には「悪い借金」と「良い借金」があるからです。
まず「悪い借金」とは、リターンが期待できなく、その「借金」が資産を増やすことにつながらない場合です。
例えば、高い飲食代やギャンブルのために借金をしたり、クレジットカードのリボ払いなどで高い金利をずっと払い続けるといった類いのものです。
「良い借金」とはどういうものでしょうか。それは、あえて「借金」をすることが長期的かつスピーディに資産を増やすことにつながり、人生を豊かにできる借金です。
では、住宅ローンは「良い借金」「悪い借金」どちらでしょうか?
それは、どちらにもなり得ます。マイホームは低金利ではありますが、物件によって資産を減らす、増やす、どちらにもなり得るからです。
つまり、資産価値の高い物件であれば、借金を背負うのではなく、資産を増やすことができるのです。
▷3. 大きな金額で冷静な判断ができるトレーニングをする
最後に伝えておきたいことがあります。話し合いの結果、マイホームを購入されるということになったときにも役立ちますし、知らないと大きな損になる可能性もあるので、押さえてておいてください。
それは、「大きな金額の前では冷静な判断ができなくなる」ということです。
小さな買い物をするときはきちんと比較検討して節約しているのに、キッチン収納棚に50万円、リビングの床材を無垢のフローリングにして80万円と膨れ上がっていき、「これから長く使うんだから、最初にきちんとやっておいたほうがいいんだ」とスパッと大胆に決断してしまう人が多いようです。
なぜかというと、私たちは普段の生活で、数十万円以上の大きな買い物をあまりしません。頻繁にないからこそ、その金額の価値をしっかりと把握することができず、間違った判断をしてしまいがちです。
これを回避するには、普段使わない金額の判断時に思考停止して非合理的な判断をしてしまうことを避けるためのトレーニングしかありません。たとえば、お財布に大きな金額を普段から入れること。50万円もお財布に入っていればどきどきそわそわの緊張感からスタートすると思いますが、1ヶ月もすれば大金を持っていることが当たり前の状況になるでしょう。
そうなれば「50万円ならこれくらいの価値がある」という肌感覚が身についた証拠です。スーパーでどのキャベツを買うか考えるときのように、大きなお金を使う時でもその価値と価格を正しく見極めて判断できるようになります。
このトレーニングを今行っておけば、しかるべきタイミングで、思考停止で誤った判断をしてしまうのを防ぐことができるでしょう。(ただし実践する時はあくまでも自己責任でお願いしますね)
マイホームを購入することは人生をより良くするための手段のひとつにすぎません。お互いに納得したうえで、人生のよい決断をされていくことを応援しています。