お小遣い帳から考える「財務会計」と「管理会計」

2019年1月1日

以前このコーナーで「会計は何故必要か」についてお話ししました。
一つは「自分の儲け」を知るため、もう一つが「他人の儲け」を知るため……です。そう、会計は基本的に「儲け」を計算するためのものなのですが、大きく分けて「自分の儲け」と「他人の儲け」があるのです。
今日はそんな「自分の儲け」「他人の儲け」について少しお話ししたいと思います。

自分の儲けを計算する、それが「管理会計」

人は扱うお金が大きくなると、自分が儲かっているのかそうじゃないのかがわかりにくくなります。
節約や蓄財の第一歩として推奨されるのが「お小遣い帳」や「家計簿」を付けることなのは、まさにこれが原因で、人は自分の儲けを把握して初めてお金持ちへの道をスタートすることができるのです。
そんな「自分の儲けを知る」ことを「管理会計」と言います。自分自身を知る、まさに「管理」ですね。
この「管理会計」には大きな特徴があります。それは「ルールが存在しない」という点です。
自分自身のために記録を付けているのが管理会計である以上、そのやり方は自分がやりやすいようにやればよいです。小遣い帳や家計簿をつけるのが面倒なのであれば、極端な話レシートをホチキスでとめておくノートだけでも立派な「管理会計」になるのです。

他人の儲けを計算する、それが「財務会計」

一方の「他人の儲け」について考えてみましょう。
皆さんが他人の儲けを計算する場合、一番わかりやすいのは株式投資でしょうか。ユニクロとしまむらのどちらが儲かってるかを調べたいときには皆さん両社の「決算書」を見ることになると思います。
このような決算書含めた「他人の儲け」を表現したものを「財務会計」と言います。
この「財務会計」には「管理会計」と真逆の特徴があります。それはそれを作るためのルールが滅茶苦茶厳しいという点です。今までこのコラムでお話ししてきた会計の特徴やルールはほんの序の口で、実際の決算書を作る際には膨大なルールに従い厳しく作る必要があります。場合によっては会計士の監査という厳しい検査も受ける必要があるのです。
どうしてこんなに厳しいのか?それはもう簡単ですね。「他人の儲け」を見る以上、見る側の立場ではその会社のことをよく知らないので事前に事細かにルールを定めておく必要があるのです。また上記のようにユニクロとしまむらの儲けのどちらが多いかを調べるのであれば、その作り方のルールが同じでないとフェアではないですよね。片方が1年の売上なのに、片方が1か月の売上しか書いてないのであればそもそも比べることができないのです。
このように「財務会計」はルールが非常に厳しくできています。作る側としても大変ですね。
この話をするとたまに「いやうちの小遣い帳は厳しいですよ」という意見がでます。
奥様から、事細かに小遣い帳のルールを定められて1円単位で毎日細かく作っている男性の方からの意見です。
確かにに世の中にはそういうこともあるのですがよく考えてください。その小遣い帳は誰のために作っているのですか?その場合、その小遣い帳は男性のためではなく、奥様の命令で奥様のために作っている…つまり他人の儲けをチェックするために作っていることになります。
そうなるともうその小遣い帳は管理会計ではく立派な財務会計なのです。ルールが厳しく厳格であるのも当たり前なのです。
何か世の中の「儲け」を見るときはそれが「管理会計」なのか「財務会計」なのかを考える視点は面白いので是非試してみてください。
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この記事のライター

野瀬大樹

公認会計士・税理士。大手監査法人にて会計監査 、株式公開支援、財務調査、内部統制構築業務にかかわる。会計のプロとしての視点から家計のリストラに着手し、支出を1年で50%減らす。さらに自身の労働時間を年間1000時間減らす中で、所得の増加にも成功している。公認会計士協会主催の講習の講師も務め、小中学生に会計とお金の話をわかりやすく伝える授業には定評がある。著書に「20代、お金と仕事について今こそ真剣に考えないとやばいですよ!」(クロスメディア・パブリッシング) 、「自分でできる 個人事業主のための青色申告と節税がわかる本」(ソーテック社)などがある。

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