四季報、短信、有報…会計情報はどの順序で見るのが正しい?

2019年3月4日

2月の中頃は新宿で株式投資スクール財務編の講師をつとめていましたが、その中であった質問として「会計情報はどの順番で見るのが良いですか?」
というものがありました。株式投資家が触れる会計情報としては、
・四季報
・決算短信
・有価証券報告書
があると思うのですが、今日はこの3つの情報について軽く整理して、私お勧めの情報への「触れ方」をお話ししたいと思います。

四季報

皆さんご存知会社四季報です。
全上場企業の重要な会計情報を非常にコンパクトにまとめたものです。会社の概要や財務数値、過去3年の業績はもとより、将来2年の見通し(予算)が抑えられるのは四季報ならではです。
内容は非常に読みやすくとっかかりとしてはいいでしょう。ただ全ての会社の決算をまとめてから発売されるので、情報としては少し遅め。目安としては3月決算の数値が6月15日くらいに発売されるイメージです。また情報としてはA5のさらに半分程度なので、ある程度会計に馴染んだ人には物足りなく感じるでしょう。
良い点:読みやすい 予算が見られる
悪い点:情報として遅い 上級者には物足りない。

決算短信

こちらいわゆる「短信」です。上記四季報の情報は基本的にこと「短信」の情報をもとに作成されています。
内容としては、最重要情報を載せた表紙、BS、PL、キャッシュ・フローや、会社の置かれた状況の概況説明があり、ページ数も30ページ程度となっています。そして短信の何よりのメリットはその情報発信の「早さ」。3月決算のものだと概ね5月15日には出そろいます。そしてこの短信、実は会計士目線で見ても情報としての悪い点が見当たりません。その点でも最もバランスのとれた会計情報だと思います。
良い点:情報として一番早い 四季報よりも情報が多い(BS、PL、キャッシュ・フロー)
悪い点:なし

有価証券報告書

有価証券報告書は上場企業にとって正式な決算書と言えます。会計士の監査を受けて、BS、PL、キャッシュ・フローはもちろん、それ以外の会社に関するあらゆる情報が網羅されているまさに「会社の健康診断書」と言えます。
ただそのページ数はゆうに100ページを超え、会社によっては200ページを超えます。初心者が読むにはだいぶハードルが高いと思います。そしてその発表日は3月決算の会社で概ね6月25日前後となり、非常に情報としては遅いものになります。
良い点:最も情報量が多い
悪い点:情報として非常に遅い 初心者には難しい

結果、私たちはどの順番で会計情報を見るべきか

結論から言いますと会計情報として一番おすすめなのは決算短信です。情報として一番バランスもとれており、そのスピードも十分だからです。
ただそんな短信であっても、30ページという情報量に抵抗がある方もいらっしゃると思いますので「入口」としては四季報が良いかなと思います。
まとめますと、
①入口:四季報
興味のある会社をチェックして、過去業績&将来予算を確認する
②吟味:決算短信
表紙、BS、PL、キャッシュ・フローを中心にチェック
③趣味:有価証券報告書
すでに保有している銘柄のことをより深く知りたくなったら暇な時に読む
くらいのイメージで良いかと思います。
会計は難しいというイメージがありますので、やはりその入口のハードルは常に下げておきたいですね。

この記事のライター

野瀬大樹

公認会計士・税理士。大手監査法人にて会計監査 、株式公開支援、財務調査、内部統制構築業務にかかわる。会計のプロとしての視点から家計のリストラに着手し、支出を1年で50%減らす。さらに自身の労働時間を年間1000時間減らす中で、所得の増加にも成功している。公認会計士協会主催の講習の講師も務め、小中学生に会計とお金の話をわかりやすく伝える授業には定評がある。著書に「20代、お金と仕事について今こそ真剣に考えないとやばいですよ!」(クロスメディア・パブリッシング) 、「自分でできる 個人事業主のための青色申告と節税がわかる本」(ソーテック社)などがある。

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