仮想通貨やブロックチェーンの話題をよく耳にします。しかし、まだまだ自分とは関係がないように感じている人が多いでしょう。10年以内にやってくるといわれるキャッシュレス社会において、損しない基礎知識を身につけておきたいものです。
松田学著『いま知っておきたい「みらいのお金」の話』より、これからの仮想通貨の考え方をご紹介します。
仮想通貨は自由なみらいのお金
「仮想通貨って、そもそもなんなんだ?」今、ようやく通貨としての仮想通貨にスポットライトが当たるようになったのです。テクノロジーによって生まれる新しい通貨が「みらいのお金」です。
5ページより引用
著者は元・衆議院議員であり、元・財務官僚です。現在は、松田政策研究所代表などを務めながら、東京大学大学院客員教授としてサイバーセキュリティの研究に従事しています。
本著は、「マツダ」という専門家と「トシ」「カナ」という若者と三人による会話形式で進められています。
今、使われているお札や小銭とは違う、情報技術によって生まれた新しい通貨を「みらいのお金」と呼ぶのだとマツダは二人に解説します。みらいのお金を使えるようになると、暮らしが便利になり、仕事の仕方や生き方までガラッと変わるのだとか。10年もしないうちにそんな時代がやってくるのだとマツダはいいます。
仮想通貨とは、誰でも発行できる自由なお金であり、誰にも支配されずに独立した人生を送るためのパスポート。しかし、私たちが通貨を作って大勢の人に使ってもらうためには、信用してもらうということが欠かせないといいます。
SNSなどで個人がメディア化し、仮想通貨によって個人が銀行のようになる。そして、趣味や共感がお金に変わる時代がやってくる。
仮想通貨によって、誰もが新しい経済圏を作る時代が近づいているのかもしれません。
新しい価値観で小さな経済圏をつくる
カナコインをたくさんの人に使ってもらうには、何度も言うように通貨そのものの信用と、カナちゃん自身の信用が必要だ。通貨そのものはブロックチエーンの技術があるから、偽造や不正のないものとして信用が担保されるよね。問題はカナちゃんの信用だ。
215ページより引用
カナはマツダにいろいろと教えてもらううちに、今の自分自身がみらいのお金をうまく使う方法がないかと考えるようになります。
SNSが発達したとはいえ、一般の個人が大勢の人の信用を得るのは、やはり大変なことです。まずは、自分を既に信用してくれている人たちに使ってもらえばいいのだとマツダはアドバイスします。
たとえば、家族内において家庭内通貨カナコインを作ったとします。いわゆる肩たたき券のようなものをビットコインにしたり、家族が納得してくれたら撮った写真をカナコインで交換するのも良いでしょう。
カナコインを媒介にして、家庭内のいろいろな仕事に価値がつけられていく。通貨と交換されるサービスが回るようになるということは、カナコインの経済圏ができあがると言い換えられるでしょう。家庭に限らず、既に信用がある範囲、たとえば社内通貨や学校内通貨なども想定できそうです。
円では価値がつけられなかったものに価値をつけることができる。新しい価値が生まれて、それに基づいた小さな経済圏を作れるのがみらいのお金であるといえそうです。
お金はマルチメディアへ
日常的に使うには、まだまだ使い勝手がよくない仮想通貨ですが、これから1種類の仮想通貨を全世界で使うということはないとマツダは予想しています。
いろいろな組織や個人がそれぞれ通貨を発行。もしかすると、私たちは何種類もの仮想通貨を使い分けていく時代がくるのかもしれません。それは、現在のポイントの使い分けに近い感覚であるのだとか。
みらいのお金は価値を媒介するメディアとして、何種類もの情報を媒介するマルチメディアへと進化していくのかもしれません。
タイトル:いま知っておきたい「みらいのお金」の話
著者:松田学
発行:アスコム
定価:1,500円(税抜)
お金と上手に向き合うために