金融庁が要望しているNISA恒久化が見送られそうです。
政府は毎年税制改正に向けての会議を行っていますが、来年度の改正案として金融庁が要望していたNISA恒久化を政府は見送る方針とのこと。
NISA恒久化が見送られたことで、NISA制度は今後どうなっていくのでしょうか?
今回は今後のNISAについて紹介します。
現状のNISA制度
現行のNISA制度は年間上限120万円を5年間非課税で運用できるというもので、2023年までの時限措置となっています。
NISA制度は金融庁が投資を普及させるために導入した制度であり、NISAを活用して得た利益は全て非課税という投資家にとって大きなメリットのある制度です。
通常の課税口座の場合、利益に対して20.315%の税金が徴収されますが、NISAを活用すれば税金は0円となります。
売却益の他、配当金にかかる税金も非課税となりますので、積極的に運用益を狙う投資家から安定した配当を狙う投資家まで幅広い投資家にメリットがあるのがNISAです。
NISA恒久化見送り
現在の制度では2023年にNISAは終了してしまいます。
金融庁は投資をより普及させるために、NISA制度を現在の2023年までという限られた期間ではなく、恒久化するように要望を出していました。
恒久化が認められれば、NISA制度は永続的に利用できますので更に利便性が高まり、利用者も増加することが期待されます。
ちなみにNISA制度のモデルであるイギリスの少額投資非課税制度であるISAは恒久化が既にされており、毎年積立を継続していけば1億円の非課税運用枠を得ることも可能です。
しかし、日本ではNISAの恒久化は税収の低下を招くことなどからなかなか認められず、今年も見送りとなりました。
今回この要望が見送られたことで、NISA制度が2023年で終了する可能性が高まりました。
まだ、2023年まで期間がありますので金融庁は今後もNISA恒久化に向けて要望を出していくと思われますが、今回のニュースは投資環境にとってマイナスです。
NISA恒久化が見送られた理由として、NISA制度が富裕層への優遇措置だという指摘があるとのことですので、今後も現行のNISA制度のまま恒久化される可能性は低いかも知れません。
実際、制度設計を見直す方向でも検討がされているようです。
つみたてNISAは期限延長か
NISAの恒久化は見送られましたが、一方でつみたてNISAに関しては期限を延長する方向で議論が進められるようです。
つみたてNISAの非課税運用期間は20年で、期限終了は2037年までとなっていますので、今年つみたてNISAを始めた人は2037年までの19年間しか積立投資ができません。
この問題を解消するためにつみたてNISAを開始した時期に関係なく20年の積立投資期間が確保できるように議論がされるとのことです。
2037年の40万円分の非課税枠は20年間(2056年まで)非課税で保有することができます。
ただ、積立のできる期間は2037年までの19年間であり、積立可能金額が40万円×20年=800万円に比べて、40万円×19年=760万円と少なくなります。
つみたてNISAは金融庁が認めた投資信託などしか運用が行えません。
年間投資上限額は40万円と通常のNISAの120万に比べて低く設定されていますが、非課税運用期間は通常NISAの4倍の20年と長期間です。
政府としては富裕層優遇との指摘があるNISAよりつみたてNISAの方を軸に投資環境を整えていきたいのかも知れませんね。
NISA継続の可能性はあるが、終了することを前提として投資計画を立てよう
NISA制度は2023年までは継続しますので、今回恒久化が見送られても今後恒久化が認められれば2023年以降も継続して利用ができます。
そのため、今回のNISA恒久化見送り=NISA終了ではありません。
ですが、今回恒久化が見送られたことでNISAの恒久化が遠のいたことは確かです。
不確かな期待を頼りに投資を行うことは危険を招きますので、現行のNISA制度は2023年に終了するという前提で投資をしましょう。
参照:Yahoo!ニュース「NISAの恒久化を見送りへ」
金融庁「つみたてNISAの概要」
大和総研 2019年9月30日付「金融庁、NISA の延長・恒久化を継続要望」
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