これに当てはまっていたらiDeCoはやらない方がいい

2019年6月12日

2024年6月25日

老後資金を貯める方法としてiDeCoをおすすめする記事は多いですが、誰がやっても得する方法というわけではありません。iDeCoにはいくつかの注意点があります。そこをクリアできないと、メリットどころかデメリットとなってしまう場合があります。
あなたがiDeCoに向いているのか、ここでチェックをしてみましょう!

その1:貯金があまりない

iDeCo(個人型確定拠出年金)は基本60歳まで解約できません。解約するには、国民年金の保険料免除者、拠出期間が3年以下、または個人の資産が25万円以下などの厳しい条件に当てはまっていないと解約できないため、ほぼ解約はできないと思っていた方がよいでしょう。
iDeCoは20歳から加入できますから、早く始めると40年近く資金を拘束されることになります。途中で、「貯金が少なくなったから引き出そう」ということができないのです。
また、資金不足で掛金を出せないという場合も、拠出をストップすることは出来ますが、その際にも口座管理手数料は取られ続けるので、残高が目減りしていく事態となります。

その2:所得が少ない

iDeCoの3大メリットとして「掛金が全額所得控除」「運用益が非課税」「受け取り時の税制優遇」がありますが、その中でも最大のメリットである掛金の全額所得控除は、当然ながら、所得税を払っていない人には何のメリットにもなりません。また、所得が少ない人よりも多い人の方が、税率が高くなる分、所得控除の恩恵は大きくなるので、言い換えれば、所得が少ないとメリットも少なくなります。
そのため、専業主婦や、扶養内で働いている人にとっては、運用益が非課税くらいしかメリットがないため、そうであれば、いつでも引き出せて、口座管理手数料もなく、たくさんの商品から選べるつみたてNISAの方がよいでしょう。

その3:税金の軽減を受けている

住宅ローン控除やふるさと納税によって、税金の軽減をすでに受けている人は、iDeCoの掛金全額所得控除のメリットを最大限に活かせません。
掛金控除によって、課税所得の金額が減れば、住宅ローン控除の限度枠を最大限に使うことができなくなります。住宅ローン控除の場合、所得税から引ききれなかった場合、住民税から引くことができますが、住民税の控除額には上限が設けられており(※)、その上限を超えた金額は控除されずに無駄になってしまいます。
※前年分の所得税の課税所得金額の7%(上限13万6500円)(2014年~2021年までに入居した場合)
※2022年以降に居住を開始した場合は、前年度課税所得金額の5%(上限9万7,500円)
ふるさと納税の場合は、所得税が減ることで、還付・控除の限度額が下がるなどのデメリットが生じます。

その4:公的年金や退職金が多い

iDeCoのメリットの一つ、「受け取り時の税制優遇」が活かせないケースに気をつけましょう。
iDeCoは受取方法を年金にするか一時金にするか(金融機関によっては併用もできる)を選択することができます。年金を選択した場合は「公的年金等控除」、一時金を選択した場合は「退職所得控除」の対象となります。それぞれ非課税枠があり、その範囲に収まれば、税金がかかりません。しかし、会社の退職金が多い人や、厚生年金を多くもらえそうな人は、非課税枠を超えてしまい、課税されてしまいます。
年金と一時金を併用したり、受取りの時期をずらすなどの工夫によって避けることもできますので、これらに当てはまりそうな人は、会社の退職金制度を含めて、十分に検討しておきましょう。

その5:退職の予定がある

結婚、出産、起業などによって、退職する予定がある人は、iDeCoの加入は待った方がいいかもしれません。iDeCo自体は誰でも加入できるものなので、専業主婦になっても継続できます。しかし、所得がない状況となれば、掛金の所得控除のメリットはなくなります。
また、60歳まで掛金を拠出し続ける覚悟があればよいですが、途中で拠出をストップすると、手数料だけ取られることになります。
起業などで退職する場合も、iDeCoを解約して軍資金などにすることはできず、また収入が不安定な状況での掛金の拠出を考えると、iDeCo加入は待った方がよいでしょう。

その6:リスクを許容できない

iDeCoは運用を自分で行って、老後資金を作るための制度であるため、運用成績によっては、元本割れを起こすこともあります。iDeCoで購入できる投資信託はコストの安いインデックスファンドが多く選ばれていますが、それでも投資に絶対はありません。
こうしたリスクのある運用を避けたい場合は、元本確保型の定期預金などで運用をするとよいでしょう。しかし、この場合は、利息よりも手数料の方が高いという状況になり得ます。掛金の所得控除のメリットがある場合は、利用する価値がありますが、このメリットがあまりない場合は、積極的に運用して、手数料以上の運用益を出さないと損をすることになります。
ご自分で掛金を拠出し、運用方法を選択できるということは、その結果として受け取れる老後資金がいくらになるのかは、すべて自分次第ということです。こうしたリスクを許容できない人にはiDeCoは向いてないと言えます。
以上6つあげてみましたが、これらに当てはまっていたとしても、iDeCoのメリットの方が上回っていると判断できた場合は、始めてみてもいいと思います。しかし、少しでも不安があるなら、“iDeCoは一度始めたら途中でやめることができない”ため、加入を待った方がいいでしょう。
まずはメリットとデメリットをしっかりと理解するところから初めてみてくださいね。

この記事のライター

石倉博子

1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®認定者。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。

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