さて、今日は久しぶりに会計の「原点」に戻りたいと思います。
なぜかと言うと今日もお客様とのミーティングの中である買い物について
「これは資産なのか それとも費用なのか」
についての議論があったからです。
会計の世界ではあるお金を払ったとして、それが「資産」として貸借対照表に乗る場合と、「費用」として損益計算書の乗る場合があります。その違いは何なのでしょうか?
実は「資産」と「費用」はどちらも「お金を生みだすもの」
私はよく授業で「資産」とは「お金を生みだすもの」だと解説していますし、その説明は間違ってはいません。「資産」であるパソコンはそれを使って売上という名のお金を生みだすことになりますし、商品だってそれを売ることでお金に変えることができます。
しかし、一方で同じお金を払う「費用」も実は「お金を生みだすもの」なです。
例えば、商売のために払う広告宣伝費は、テレビCMやチラシを作ることで売上が増えて結果としてお金が入ってきます。また、従業員の人に毎月払うお給料も、それにより従業員が働いて売上を上げてくれるという流れになるのでこれもまた「お金」を生みだしている」と言えるのです。
「費用」になり損ねたものが「資産」?
では「資産」と「費用」は一体何が違いなのでしょうか?
簡単に言うと、
今年にお金を生みだしたものが「費用」
来年以降にお金を生みだすものが「資産」
という区分になります。
例えば商品で考えて見ましょう。
200の商品を買って、そのうち120が売れて倉庫から出て行ったとします。その場合、
売れた120⇒「費用」の「売上原価」として損益計算書へ
売れ残った80⇒「資産」の「商品」として貸借対照表へ
となります。
次に工場で考えてみましょう。
1000の工場を買って、すぐに稼働させて製品を販売し始めたとします。工場は有形固定資産ですから減価償却の対象となります。減価償却とは工場のように長く使うものを買った場合、その買った金額全体のうち「その年の売上に貢献した部分」を有形固定資産から切り分ける作業です。
例えば工場を10年使うのであれば、減価償却費は1000÷10年で100となるのです。
結果…
今年の減価償却分100⇒「費用」の「減価償却費」として損益計算書へ
残りの900⇒「資産」の「有形固定資産」として貸借対照表へ
となるのです。
最後に広告宣伝費で考えてみましょう。
100の広告費を払って、その100で2年間CMを打ってくれる場合を考えてください。その場合、
今年の分の50⇒「費用」の「広告宣伝費」として損益計算書へ
来年の分の残り50⇒「資産」の「前払費用」として貸借対照表へ
となります。
そう考えると実は「資産」というのは「今年の費用になり損ねたけど、来年以降に費用になるのもの一時保管」と考えることができるのです。
「資産」というと常にお金や不動産や株…というイメージを持ってしまいますが、この「費用になる前の一時保管」と言う視点も持つようにすると会計を見る目はワンランクアップするでしょう。
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