財政的に破綻したり、通貨の暴落などによって国の経済状態が麻痺することを国家破綻といい、国債が返済できないデフォルト状態に陥ります。
ロシアに見る国家の破綻
借金が返せなくなると企業や個人が破産することがあるように、国も破綻することがあります。国が破綻・破産するというのは、その国のお金に価値がなくなり、投資したいと思う人がいなくなってしまう状況のことです。例えば最近では、1998年にロシアで、2002年にアルゼンチンで財政破綻が起こりました。
ロシアの破綻の流れは以下の通りです。ソ連解体後のロシアでは、92年から急激な経済改革が開始されましたが、ハイパーインフレに見舞われるなど多くの混乱が生じました。その後インフレが鎮静化し、回復の兆しが見られたものの、97年のアジア経済危機の影響を受け、98年に金融危機が発生しました。
それまでロシア政府は国内の資金不足を補うため次々と国債を発行していましたが、ロシア経済への不安が高まるにつれ、ロシア国債の価値は下がり、その金利は100%を超えるほどに急上昇。ロシアは借金を返せる見込みがなくなり、それまでロシアを支援してきたIMF(国際通貨基金)からお金を借りることもできなくなったため、「しばらく借金は返せません」とデフォルト*宣言をして、お手上げになったというわけです。
【用語解説】デフォルト
債務不履行。つまり借金を返せなくなること。国の場合は、国債の償還や利払いを停止することを意味する。
デフォルトは大きな混乱を呼ぶ
ロシア国債を持ち続けていても、将来本当にロシアがお金を返してくれるかはわからなくなり、そんな不確かなロシア国債を欲しいという人がいなくなった結果、ロシア国債の価値は急激に下がりました。世界中で多くの人が持っていたロシア国債は、ただの紙切れになってしまったのです。ロシア国債を大量に保有していたLTCMという世界最大級のヘッジファンドも破綻し、世界経済は世界恐慌にすらなりかけました。
その後ロシアがどうなったかというと、やはりIMFによって救われました。IMFがロシアのための再建策を作成し、それに従って政策を実施したのです。そして、1999年に国際石油価格が高騰したことや、ルーブル切り下げの効果で国内の産業が復調し始めたことなどを背景に、経済は成長に転じました。現在はBRICsの一角として注目されるまでに至っています。
アルゼンチンでも2002年に、政府が対外債務約20兆円の利払い停止を宣言しました。事実上の破産宣告です。アルゼンチンの国民生活は一変し、ひどい不況や極端なインフレに見舞われ、貧困は拡大し、失業者も増加しました。アルゼンチンのデフォルトの際もIMFが介入し、混乱は最小限で抑えられ、現在は成長に向かっています。
2020年、リーマンショック並の経済混乱を乗り切るには・・・
現在、世界の金融・証券市場が、2008年のリーマン・ショック時を彷彿とさせる混乱に見舞われています。今回は過去の歴史から国家レベルのについて解説しました。これら国の破綻は当然、個人の経済にも大きな影響を及ぼします。
大きな経済のうねりをきちんと捉えるための知識を「経済入門スクール」で身につけ、いざという経済危機の際に、自分自身で資産を守るために備えることをおすすめします。