ビジネスで契約書を交わす本当の意味 トラブル回避の真髄を法のプロが語る

2017年2月24日

「これから一緒にビジネスしませんか?」
「出資はこの程度の金額からで」
「あと、ローン実行までお金入れてくれる?これは返ってくるお金だから大丈夫」

こういう話、体験したこと、聞いたことありませんか。
こういう話、のるべきか、のらざるべきか、どうしよう。
ビジネスの未来を話す彼の瞳は真剣そう。話す内容もまともそう。
自分だって手元のお金がうまく世の中をめぐってくれればうれしい。
そうだ、契約書を作っておけばきっと大丈夫。
だって、きっと返しますっていう彼のサインが残るんだから。
契約書さえしっかり作っておけば……。
初めまして。弁護士の波戸岡光太と申します。
私は取引や契約のトラブルを予防・解決する弁護士として、東京港区のオフィスを拠点に、日々ご依頼者様のお力添えをしています。
このたび、マネラボにてお役立ちコラムを連載することになりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、私はいつも契約書が大切であることを訴えており、日々、契約書作成やリーガルチェック、契約上のトラブル解決に当たっています。
その私が、あえてこの初回コラムにてお伝えしたいことは、
契約書があれば“本当に”大丈夫なのか」ということです。
先日も、数年ぶりの友人が突然連絡してきて、「明日契約するので、契約書を見てほしい。内容は金銭貸借契約。明日お金を渡す」とのご相談。
見ると、一応それなりに契約書の体裁は整っています。
なので、契約書チェックだけを頼まれた私は「契約書上は問題ないですよ」と回答しても間違いではありませんでした。
けれど疑問がふつふつわいてきます。
そもそも本当にこの契約は守られるのか?
破られたときに、きちんと相手と連絡が取れて、強制執行できる財産があるのか?
明日中にお金を入れなければいけない事情ってなんだ?
私は、友人に質問しました。
相手とのお付き合いはいつからか、どこで知り合ったのか、
どういうやりとりがあったのか、彼の語る未来への裏付けは何か、
そんな成功するはずの人が、なぜ今、あなたからお金を借りるのか……。
友人は、私に回答してくれました。
回答しながら、友人は思い起こし、ふりかえり、考え、そして契約を踏みとどまりました。
どういうことか。
人や会社と取引をし、契約書を結ぶに至るまでの手順はこうです。3段階です。
まず、①そもそもその相手つまり「人」を信用できるか、ということ。
次に、②その相手とのコミュニケーションがとれ、考えや意思が「一致」したか、ということ。
最後に、③その一致した内容が、契約書つまり「書面」に形として残せたか、ということ。
①人が信用できて、②考えが一致して、はじめて③契約書の出番となります。
①親亀(信用)、②子亀(一致)、③孫亀(契約書)、といったところでしょうか。
信用できない人は、専門用語を多用してこちらを分かった気にさせます。
何となくこちらを焦る気持ちにさせます。
そして平気で契約書を無視します。連絡が取れなくなります。
差し押さえる財産もどこに何があるかわかりません。
反対に信用できる人は、誰にでも伝わる言葉を使いメリットもデメリットも話します。
なぜそのビジネスをしているのか自分の言葉で説明できます。
そして約束を守ります。契約書も守ります。
そういう人との取引において、契約書は真の力を発揮します
人の記憶は時間と共に薄らぐもの。人の言葉は空気を伝う途中で揺れるもの。
思い違いは起こるもの。
でも、そんな約束をカタチにしておくことで、もし「どういう約束だったっけ」という事態が起きても、「ほら、ここに書いてある」と契約書を示すことができます。
相手にも、裁判所にも、示すことができます。
これこそ自分を守ってくれる契約書。鬼に金棒です。
ぜひ信用できる人と、契約書を交わしてください
契約書があれば“きっと”大丈夫です。
次回の記事はこちら▶『なぜ契約は守らなければならないのか』

この記事のライター

波戸岡光太

弁護士。アクト法律事務所。
「困っている人を助けたい」-少年時代からの熱い思いを胸に、2007年に弁護士となる。経営者とビジネスパーソンをもりたてるパートナーとして、契約トラブルや債権回収問題の予防・解決を中心に取り組む。
経営者向けコーチングスキルも兼ね備え、依頼者と伴走しつねに最高の解決を目指す。
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル7階
http://www.hatooka.jp

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