弁護士が教える「クーリングオフはいつまでできる?」「ずっとできることもある?」

2018年3月23日

「買ってから8日以上たっちゃったから、今さらクーリングオフはできないよね……。」
Aさんは送られてきた商品を目の前に、軽くため息をついています。
先日、友人の紹介でイケメン男性と出会ったAさん、カフェで話しているうちに、アンチエイジングにいいとか、デトックス効果があるなどと言われて、とあるサプリメントをたっぷり購入してしまいました。
けれど家に帰ってしばらく考えてみたら、あんなに買うんじゃなかったとちょっと後悔の念がわいてきました。
それでもせっかく買ったんだし、どうしようかと迷っているうちに日がたってしまったというわけです。
説明書には「8日以内であればクーリングオフができます」と書いてあります。
だとすると、今日はもう10日目。万事休すか……
いや、ちょっと待ってください!というのが、今日のブログの内容です。
クーリングオフは、「頭を冷やす」という意味で、契約をした後でも、よくよく考えたらやめておけばよかったというときに、一方的に解除することができる権利です。
訪問販売や電話勧誘販売、エステ契約や語学教室など、一定の契約で認められています。
参考:国民生活センター
クーリングオフができる期間は、8日間とか20日間ですが、今回、皆様に注目してほしいのは、「いつから」日にちを数え始めるのかということです。
それは契約をした日ではありません。
「法定書面」を受け取った日から日数を数え始めます。法定書面という「法で定めた事項をちゃんと書いてある書面」を受け取って初めて、8日間とか20日間のカウントダウンがスタートします。
ということは、もし受け取った書面に不備がある場合、それは「法定書面」ではないので、カウントダウンはスタートしない、つまりいつまでもクーリングオフができることになるのです。
ですので、8日間を過ぎてしまいあきらめかけた方は、今一度、業者からもらった書面を見てみましょう。もしかしたら漏れのある書面かもしれません。
では「法定書面」とはどんな書面か。どんなことが書いてなければいけないのでしょう。
以下にチェックリストを掲げてみます。
□事業者の氏名・名称、住所、電話番号、法人代表者名
□契約申込・締結を担当した者の氏名
□商品名、商品の商標または製造者名
□商品の型式、権利・役務(サービス)の種類
□商品の数量
□商品・権利の代金、役務の対価
□代金・対価の支払方法・支払時期
□商品の引渡時期・権利の移転時期・役務の提供時期
□クーリングオフの要件・効果
・書面受領日から8日間は書面により、撤回・解除ができること、
その効力は書面を発した日に発生すること、
違約金等を請求できないこと、
既払金は速やかに返還することなどを、赤枠・赤字・8ポイントの活字で記載
□契約の申込み・締結の年月日
ぜひチェックしてみてください。
実はまだクーリングオフできる契約があるかもしれませんね。このことは、これから起業する方や経営者の方も要チェックです。
8日間を過ぎたからもう大丈夫と安心してたのに、忘れた頃にクーリングオフされてはたまったものではありません。いい商品やいいサービスを提供するのと同じように、しっかりした契約書や法定書面を作っておくようにしましょう。
というわけで、今回はクーリングオフで意外に盲点になりがちな「法定書面」についてのお話でした(^^)

この記事のライター

波戸岡光太

弁護士(アクト法律事務所)。「困っている人を助けたい」-少年時代からの熱い思いを胸に、2007年に弁護士となる。経営者とビジネスパーソンをもりたてるパートナーとして、契約トラブルや債権回収問題の予防・解決を中心に取り組む。
経営者向けコーチングスキルも兼ね備え、依頼者と伴走しつねに最高の解決を目指す。
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
http://www.hatooka.jp

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