私は仕事柄年金のご相談を受けることが多いのですが「こんな金額じゃ生活できない」というようなことを言われてしまうことがよくあります。一方「他の人と比べたら少ないかもしれないけど、年金が出るだけありがたい」などと言われることもあります。色々な見方がある公的年金ですが、老後の大切な収入源には変わりありません。自分はいつから支給開始になるのか、ここでおさらいしておきましょう。後半は男性にとってちょっと怖いお話になりますが、ぜひお読みください。
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自分の公的年金は何歳から支給開始になるのか?
日本の公的年金は、生年月日によって支給開始年齢が以下のように決まっています。
※女性の共済年金部分の支給開始年齢は、男性と同じスケジュールになっています。
現在50代男性の場合、早い方でも63歳から報酬比例部分が支給開始、50代女性では早い方で60歳から報酬比例部分が支給開始になることがわかります。なお、報酬比例部分は65歳からもらえる老齢厚生年金とほぼ同じものであると考えてしまって構いません。老齢基礎年金はいわゆる国民年金のことで、全国民がもらえる年金のことです。上記の表からもわかる通り、男女ともに65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金がセットでもらえるようになります。どのご家庭でもそうなのですが、報酬比例部分の年金だけではとても生活費はまかないきれません。そのため、60歳で一度定年退職、その後65歳まで継続雇用などで働いて65歳からは仕事を辞めて公的年金で生活をする、というイメージが世間でもかなり浸透しつつあるのではないかと思います。この記事をお読みの皆様もほとんどの方が上記のようなイメージで将来設計を考えていらっしゃるかと思われます。しかし、将来そのイメージ通りにはいかないかもしれない、ということを想定していただきたい方がいらっしゃいます。そう、今この記事を読んでいる50代前半の男性の方! あなたのことです。
日本の年金は65歳から支給開始。それでも早い方?
現在の日本の法律では、男性で1961年4月2日以降生まれの方、女性で1966年4月2日以降生まれの方がひとまとめにされて65歳から支給開始となっています。実はこの65歳という年齢、諸外国に比べて早い方ではないかと言われています。以下に諸外国の支給開始年齢をいくつかまとめてみました。
※支給開始年齢は日本年金機構ホームページより抜粋
※平均寿命は世界銀行ホームページより抜粋
上記の表からもわかる通り、平均寿命世界一の日本が65歳から支給されるというのは早い方かもしれません。経済産業省でも『平均寿命の延びや諸外国における取組を鑑みれば、世界最長寿国の日本においても、企業労使や社会全体で高齢者の雇用環境の整備を進めることを条件に、年金支給開始年齢の段階的引き上げや、65歳までの支給開始年齢の引き上げスケジュールの前倒しについて検討する必要がある』との意見があり、65歳からさらに引き上げをする場合には『67歳』という具体的な年齢にもふれています。
日本は少子高齢化問題も長らく議論され続けていますので、このまま65歳支給であり続けるという見方は難しいかもしれません。
現在50代前半の男性は要注意? さらなる先延ばしの可能性も。
男性の場合2025年4月1日に65歳までの引き上げが完了します。仮に65歳からさらに先延ばしが始まるとしても、少なくとも2025年以降になるのではないかと思われます。現在59歳の男性は2025年に67歳になっています。現在50歳の男性は2025年に58歳になっています。さらなる先延ばし開始まで2年くらいの猶予をみたとしても、現在50代前半の男性の方はさらなる先延ばしに巻き込まれてしまう可能性が考えられます。なお、女性の場合は5年遅れの2030年に65歳までの引き上げが完了するので、現在50代の女性はあまり気にしなくてもよいかと思われます。
現在50代の男性はどうしたらいい?
現在の日本の法律では65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金のセットが受給できることになっています。そのため65歳から年金で老後の生活をしていくイメージで将来設計を立てている方がほとんどだと思います。今回のお話はあくまでも最悪のケースを想定していますので、必ずそうなってしまうわけではありません。しかし、将来どうなるかは誰にもわかりません。最悪のケースも想定し、65歳から年金が支給されない、されても一部支給という状態での将来設計もこの機会にぜひ一度お考えいただきたいと思います。年金が出るまでの生活費はどうするのか? 『働く』『節約で乗り切る』『貯蓄の取り崩しでしのぐ』『株や投資信託などの配当金を生活費の一部にあてるため今から勉強してみる』『不動産投資で家賃収入を得られるように今から勉強してみる』などなど色々な考えが浮かぶと思います。自分だったらどうするかな? ということをこの機会に少しだけでもよいので考えてみてください。妻や夫がいる場合、家族としてどのようにしていきたいか? なども話し合ってみるとなおよいでしょう。