会社員の夫を亡くした妻のセーフティネット「中高齢寡婦加算」

2017年11月15日更新

会社員である夫が死亡した場合、妻には遺族厚生年金(報酬比例部分)が支給されます。
妻に対する遺族厚生年金には妻の収入要件(年収850万円未満)はあるものの、年齢要件はなく支給されます。ただし、夫の死亡当時、子のいない30歳未満の妻に対する遺族厚生年金は5年間の支給のみ(30歳未満でも子がいる妻は、再婚などの受給権を失う事由がなければ実質的に一生涯支給されます)。
妻に対する遺族厚生年金は、「30歳未満の子のない妻(若く子がない妻)」「子がいる30歳以上の妻・30歳以上の妻」では少々異なります。
さらに、遺族厚生年金を受給できる妻には、要件を満たせば65歳に達するまで「中高齢寡婦加算(ちゅうこうれいかふかさん)」という年金が支給されますが、この年金も「若く子のない妻」「その他」で少々異なります。
今回は遺族厚生年金の中高齢寡婦加算(以下、中高齢寡婦加算)について解説します。

妻が「40歳以上」「40歳未満」で要件が違う
夫が「今会社員」「昔会社員」で要件が違う

中高齢寡婦加算は、死亡した夫が「死亡当時、会社員等」(以下、短期要件)である場合と「死亡当時、会社員等でない」(例:自営業)(以下、長期要件)で少し要件が異なります。
短期要件の場合、遺族厚生年金の受給要件を満たす妻が、夫の死亡当時
①40歳以上65歳未満である
または
②40歳未満であるが、18歳到達年度末までの子がいる(40歳到達時に18歳到達年度末までの子がいる)
のいずれかの要件を満たす場合に支給されます。
反対から言えば、夫の死亡当時「40歳未満で子がない妻」には支給されません。
さらに長期要件の場合、上記の要件のほかに、死亡した夫が原則として、過去に20年以上厚生年金に加入していたことが要件となります。つまり、会社員等の期間が20年未満である場合には支給されません。
なお、中高齢寡婦加算の金額(平成29年度価額)は一律584,500円となります。

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支給期間は40歳以上65歳に達するまで。
ただし遺族基礎年金支給中は停止。

中高齢寡婦加算は、40歳以上65歳に達するまで支給されます。
受給要件を満たす場合、前記①の場合は、死亡直後から65歳に達するまで支給されますが、前記②の場合は、一番下の子が18歳到達年度末に達するまで(遺族基礎年金の支給が終了するまで)は支給停止となり、遺族基礎年金の支給終了後、65歳に達するまでの支給となります。
ちなみに、子のある妻が受給する遺族基礎年金(平成29年度価額)は、
子が1人の場合、1,003,600円
子が2人の場合、1,227,900円
子が3人の場合、1,302,700円
遺族基礎年金と中高齢寡婦加算の両方をもらえると、遺族としてはとっても助かるのですが、「両方の受給要件を満たす期間は、金額が多い遺族基礎年金を支給するので、中高齢寡婦加算は支給しません」という仕組みになっています。この点が少し残念ですね。
中高齢寡婦加算は、一番下の子が高校を卒業した後に支給されるため、大学の授業料と比較して考えると、国立大学の授業料(標準額)は535,800円とほぼ同じ水準。
つまり、一番下の子の国立大学授業料相当額を手当てすることができると考えることができ、その後は、ご自身の「生活費の足し」にすると考えることができます。
年間約60万円は決して多い金額ではありませんが、最長で40歳以上65歳未満の25年支給されるため、支給額は最大約1,500万円と大きな金額になります。
中高齢寡婦加算の受給要件と支給期間、支給額を頭の片隅において、生命保険を見直してみてはいかがでしょうか?

この記事のライター

益山真一

ファイナンシャルアカデミー認定講師。「お金の教養スクール」で教壇にたつ。家計改善を得意とするファイナンシャルプランナー。國學院大學経済学部の非常勤講師も勤め、研修・セミナーの実績も多数。経済、景気等への感度が高く、株式投資では18ヶ月連続増益の経験もある。

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