確定拠出年金、20代は加入のタイミングに要注意

2018年6月27日更新

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ新聞記者、はるちゃんです。
今春に社会人になった皆さんは「確定拠出年金」(DC)という言葉を聞いたことがあると思います。
ざっくりと言えば、確定拠出年金法を根拠とする私的年金で、企業が掛け金を支払う「企業型」と、個人が支払う「個人型」(愛称iDeCo)の2種類があります。厚生労働省によると、企業型は今年5月現在、約743万人、個人型は約90万人がそれぞれ加入しています。
いずれにしても、掛け金の全額が所得控除の対象となる上、運用益は非課税となることから、お得な制度として証券会社など金融機関が加入を呼びかけています。
一方、政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は5月末、2040年度の社会保障給付費の推計を初めて公表しました。総額はなんと190兆円。18年度よりも68兆7,000億円も増加すると試算されています。このうち、年金は18年度比16兆5,000億円増の73兆2,000億円となっており、将来の年金はより一層目減りすることを暗示する結果になっています。
今春に社会人になった皆さんが定年退職する時、年金制度はどうなっているでしょうか?
制度維持のため、政府にはもっと行政改革などを行ってほしいところですが、おそらく退職する年齢は大幅に上がり、今まで以上の自助努力が求められている可能性が高いのではないでしょうか?だからこそ、私的年金の重要性が指摘され、早めの加入を呼びかける声が上がっているのです。

DCは私的年金、60歳まで引き出せない

とはいえ、私個人としては、20代の方はDCの加入に少し慎重になるべきだと思っています。制度としてお得であることは間違いありません。しかし、これはあくまで私的「年金」であり、貯金ではありません。一度、加入すると掛け金は、原則として60歳まで引き出せない点に注意が必要です。
まだ20代の皆さんは、まず結婚という大きな人生の転機を迎える方も多いでしょう。もし結婚しなくても、仕事を辞め、海外留学に行く方もいるかもしれません。起業を思い立つ方もいると思います。さまざまな可能性を秘めている若い皆さんは、「現金」が必要になる場面がたくさんあるはずです。
お得だからといって、DCに加入して限度額いっぱいを拠出してしまうと、それぞれの転機の際、手持ち資金が少なくて困ってしまうことになりかねません。将来に備えて貯金することは大事ですが、どの制度を使って貯金するか、慎重に判断するべきだと思います。

まずは日経平均の推移を注視、その後に加入の判断を

ちなみにDCは、単なる預貯金のほか、投資信託などの運用商品があります。ここでも注意が必要です。もしどうしてもDCに入りたいなら、まずは預貯金を選んでください。「運用益が非課税なんだから、投資信託でもうけた方がいいはずだ」という反論もあるでしょう。
そう思う方は今の日経平均株価や過去の推移を見ていますか?日経平均株価は今年1月、1991年11月以来約26年2カ月ぶりに2万4,000円台を回復しました。2月に急落しましたが、今はまた戻り歩調にあります。過去最高値の3万8,957円(1989年12月)には遠く及びませんが、2008年のリーマンショック以降、約10年間にわたって上昇基調にあったこともあり、日経平均と米株はいつ下落してもおかしくないと言われています。
仮に下落しなくても、現在の株価がそれなりの高値であることは意識しておいてください。はっきり言えば、株や投資信託は安いときに買わなければもうかりません。それは積み立て投資でも同じです。「積み立て投資ならば、いつ始めても同じ」という専門家の方もいます。長いスパンで考えれば、まさにその通りなのですが、底値で買った方がお得度が増すことは言うまでもありません。
よく「2020年の東京五輪の後に不況になる」なんて言われていますよね。若い皆さんは数年待ってからDCを始めても決して遅くはありません。いまから始めたら、高値づかみになる可能性が高いとわたしは思っています。仮に30歳で始めても、60歳まで30年間も運用できます。日経平均が底に近い時から始められれば、お得度もさらにアップします。今はちょっとだけ立ち止まり、株価を注視する。そして、タイミングを計った方がいいでしょう。
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この記事のライター

はるちゃん

ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格を持つ新聞記者。暮らしや投資のほか、教育やデジタル関係にも精通している。

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