世の中は猫ブームです。
猫を飼う世帯が、犬を飼う世帯を超えたというニュースを昨年聴いたように思います。
ただ、犬は登録が必要のようですが、猫はそんなことがないので、実際にはもっと多いのかもしれません。
でも、僕はブームと言う表現には、抵抗を感じます。なんか人間の身勝手さを感じるからです。
そう言えば、以前シベリアンハスキーをよく見ましたが、近ごろはさっぱり見掛けません。
また、僕が幼少のころ、スピッツを飼っている家庭が多かったですが、いまでは本当に見なくなりました。
また、僕はペットショップが好きではなく、見ないように通り過ぎるようにしています。
なぜなら、犬と猫は、僕にとって飼い主とペットの関係を超えた存在と感じるからです。
幼少の頃の後悔 ある犬の思い出
ベストセラーになっている「定年後 50才からの生き方、終わり方」楠木新著を読むと、
楠木氏が10年余り取材してきた会社員から転身した人たちや中高年になってもイキイキと組織で活躍している人たちから、小さい頃のことが大切と実感したと書かれています。
つまり子供の頃、好きで好きで仕方なかったことが、中高年以降や定年後のステップのカギになるということです。
僕には、小学校3年から4年に掛けて、いまでも後悔しているある野良犬との思い出があります。当時昭和40年の初め頃は、まだ街に普通に野良犬がいました。
一匹で歩いている犬もいれば、群れている場合もあり、野犬に襲われるという事件もあったくらいです。
そんな頃、我が家に一匹の白い犬がいつくようになりました。
僕と妹はシロと呼んでよく一緒に遊びました。
そんなある日、近所のガキ大将が、あの犬は、狂犬病だから追っ払おうと言い出しました。
そしてシロに向かって石を投げ始めました。そして、お前も投げろと僕に迫ってきました。
僕は泣きながら、小さな石をホイと投げました。
その時のシロの僕を見る哀しいまなざしは今でも忘れられません。
それからしばらくたって母から、シロが死んだらしいと聞きました。
僕は、泣くことも忘れてしばらくボンヤリ立ち尽くしていました。
訳アリの猫たちを引き取ることに
動物好きの僕ですが、そんなシロとの辛い思い出があり、成人になるまで犬や猫を飼うことはありませんでした。
しかし、結婚して6年ほどたったある日、住んでいるマンションで小さな事件がありました。同じマンションに住む小学生が、どこからか子猫を拾ってきたのです。
当時そのマンションはペット禁止で、当然その小学生の親は飼うことを反対しました。
結局、その小学生はマンションの屋上にその子猫を置き去りにしたのです。
それを知った私の妻が、小学生を叱りつけ、あわやカラスに襲われそうになっていた子猫を保護し、成り行きで我が家で飼うことになりました。
3人の子供たちは大喜びでみゅうと名付けました。
三毛猫のメスで、私もこの出会いに喜んで、猫との生活が始まりました。
しかも、その後マンションでは条件付きでペットがOKにもなりました。
それから19年、みゅうは現在も我が家で元気に暮らしています。
それだけではありません。その4年後には白黒のオス猫がやってきました。
妻の知り合い知り合いのお米屋さんが拾ったけど飼えないと困っているところを妻がうちで引き取るわ、ともらってきたのです。
お米屋さんから来たのでコメと名付けました。
次はその10年後、妻の友人が夫のDVで子供たちと猫と一緒に逃げ出し、でもさすがに避難先では猫が飼えないので、我が家で引き取ることになりました。
アビシニアンのメスでマルという名前です。
その後、残念ながらコメは、私たち家族に素敵な思い出を残して昨年14才で病死しました。
あらたな子猫の里親になる
そして去年、コメがいなくなって寂しい思いをしている時に、長女が猫の里親探しの話をもってきました。渋谷の動物病院で2匹の子猫を保護して、里親を探していたのです。
娘から画像を見せてもらうと、愛嬌のある顔をしています。
キジトラのオスでした。
その時で生後5か月。さっそく妻と長女を3人で渋谷まで見に行きました。
人懐っこい愛嬌のある猫で僕らはすぐ気に入りました。
1か月後、僕は電車でゲージを持って引き取りに行きました。
それが僕とよしおの出会いです。
最後に
よしおはちょっと太めですが元気いっぱいの子猫、と言っても4.5キロと大きいですが、私になついて背中に飛び乗ったり、夜寝るときは「よしお寝るよ」というと私よりも早くベッドに走っていたりと、よしおが来てからは、また三匹の猫との生活が始まりました。
よしおは、2017年5月生まれ。僕が定年の年に生まれました。
寿命から行けば、14、5年生きるでしょう。
僕はその頃75才。後期高齢者になります。
でも、それまでよしおと一緒に生きる楽しみがあります。
そしてよしおといると幼少の頃のシロとのつらい思い出が癒されるように感じます。
だから猫はブームと呼ぶべきものではない、一緒に定年後を生きる仲間だと思うのです。