
60代の暮らしは、50代までとはまったく違ってくるなどと、よく耳にします。体力的なことが、一番の変化なのかもしれません。それまでに、今までの暮らしをコンパクトにしておくことも大切でしょう。
そうはいっても、毎日の暮らしは、いくつになっても、楽しく自分らしく。こだわるところは、ずっとこだわって過ごしたいもの。
石黒智子著『60代シンプル・シックな暮らし方』 より、自分らしく、暮らしをラクにしていく考え方をご紹介します。
もっと暮らしをラクにする
50代と60代の暮らしはまったく違いました。50代は一日遠出をしても、その晩早めに床につけば、多少の筋肉痛が残っても翌日は普段どおり過ごせました。中略
60代になると、翌日に疲れが出てきます。体だけでなく、頭も働いてくれないのです
<10ページより引用>
キッチン道具や器、生活雑貨など、デザインや機能が優れた商品を見つけ出し、提案する名人として、さまざまな雑誌でコラムを展開してきた著者。
現在は、60代を迎え、「もっとラクしたい」と思いながら、暮らしのあれこれを工夫しているといいます。
50代と60代は違うということは、あちこちでよく聞く話です。メンタルの面ではおおらかに受け止めることができるようになっても、体はいうことをきかなくなってくる。
著者の場合は、50代までは疲れたといって横になって休むよりも、庭の手入れや小さな片付けで体をほぐした方が、早く回復したのだといいます。
しかし、60代になるとそうはいかない。翌日に疲れが出てきて、頭も働かないので、考えないとできない片付けは進まないのだとか。
「このままでは暮らしが成り立たない。どうにかしよう」と強く思ったのが、64歳の時だったといいます。
座っていても家の中を一望できる工夫
家を建てて35年。居間の使い方はずいぶん変わりました。1980年代、一般家庭にパソコンが入るなど私にはまったく想像ができなかった。中略
2000年当時、パソコンを置くためにデザインされた机がありませんでした。
<20ページより引用>
多数のエッセイ集を執筆してきた著者。最初は、原稿用紙に手書きをしていましたが、2000年代に入ると、自分用のパソコンを使うようになります。
その頃には、パソコンを置く美しいデザインの机がなかったといいます。台所の隅に置くことが前提のものは、実用的ではあっても家具としての美しさがない。
居間に置くには奥行きがあり過ぎて、資料を広げるには幅がないなど、市販のものには物足りなさがあったようです。
そこで、美しい木箱をインテリアショップで見つけて、その箱を4個並べて机にしてしまおうと著者は思い立ちます。板金製作所にステンレスを貼って作ってもらったのだとか。
その机は、A4のファイルがぴったり入る引き出しと、ダイニングチェアを使いまわせる高さが主婦に便利ということから、暮らしの手帖社が販売する家事机のモデルにもなったといいます。
そして、目の前には絵を入れない額をかけて。そうすることで、額がバックミラーの役割を果たし、机の後ろ側がよく見えるのだといいます。
仕事をしながら、家の様子を把握する一助に。これも、生活をラクにする一つの工夫であるといえそうです。
人それぞれラクは違う
たとえば、コーヒーにも、人それぞれのこだわりとラクがあると著者はいいます。
コーヒーは豆で買うよりもお店で挽いた方がラクだと感じる人もいれば、ハンドドリップよりもミル付きコーヒーメーカーの方がずっと簡単という感じ方もあります。中には、スティックのインスタントコーヒー派だという人もいるでしょう。
道具へのこだわり、大切にしている思い出のカップなどが人によって違うように、そのときの気分も含めてのラクを選択していく。
ある程度の年齢になってきたら、当たり前にしていたひと手間の見直しをしていくことが、ラクに暮らすコツなのかもしれません。
タイトル:60代シンプル・シックな暮らし方
著者:石黒智子
発行:SBクリエイティブ
定価:1620円(税込)
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