なぜ人は投資に失敗するのか?行動ファイナンスから学ぶ

2019年1月12日

行動ファイナンスとは、行動経済学の1分野であり、心理学から派生した学問です。「人は誰もが合理的な選択をする」という考え方が出発点の経済学とは異なり、「人間はときに不合理な行動をする」という考え方を出発点にしています。 行動ファイナンスはこの「不合理な行動」から、人間が陥りがちなワナを解明し、なぜ間違った判断をしてしまうのかを解明する学問です。 
投資の世界では、損が膨れ上がっているにもかかわらず、中々損切りができずに塩漬け状態になっている人、逆に利益はまだ伸びるのに、下がることを考えてすぐに利益を確定してしまう人が多くいます。
なぜこうした事象は起こるのでしょうか?その疑問に、人の心理に基づいた行動ファイナンスの理論が答えてくれます。 

プロスペクト理論

行動ファイナンスにおける代表的な理論の1つに「プロスペクト理論」があります。
プロスペクト(prospect)とは「見通し、見込み、予想」といった意味があり、プロスペクト理論とは、人がリスクを負ったとき、どのような意思決定を行うのかを示す理論となります。
 
アメリカの心理学者で行動経済学者でもあるダニエル・カーネマンは、このプロスペクト理論を提唱した1人でノーベル経済学賞を受賞しています。 ダニエル・カーネマンが説明するには、プロスペクト理論には3つの認知的な特徴があり、その特徴の11つが金銭的な結果を評価する際に、重要な役割を果たすと述べています。 

特徴① 参照点依存性

従来の経済学の考え方では、AさんとBさんの2人が同額の資産を保有していれば、AさんもBさんもその資産への満足度は同じという考え方をします。
一方の行動ファイナンスでの考え方では、現在は同額の資産であってもAさんは昨日までその倍の資産を保有しており、Bさんはゼロからその資産を築いたという仮定も含めてみます。 
この仮定で、Aさんは出発点から損をしており、Bさんは得をしています。この損得をはかる基準を「参照点」といいます。 
参照点依存性とは、この参照点を基準に人は相場を見てしまうため、買ったときよりも低いから持ち続けようという塩漬け行動や、買った時よりも少し高いから利益を確定してしまおうとする、といった自分基準で考えてしまいます。 

特徴② 感応度逓減性

投資額が大きくなるにつれて、その損益の受け止め方が鈍感になって行くことを感応度逓減性といいます。
たとえば1万円を投資し、それが0円になると大きく損をしたと考えます。しかし、101万円が100万円に減ったとしても、同じ1万円の損失であってもその痛みはさほど大きくないと考えられています。
 

特徴③ 損失回避性

損失回避性とは、人の心理は利益を得ることよりも、損失を回避する傾向が強いことをいいます。これは人類の進化、種の保存の原則に由来し、初めて目にする食料を「食べ物」と認識するよりも「毒」だと認識し、リスクを避ける傾向にあるためとも言われています。 
投資初心者が持つ投資が怖いという先入観も、自分のお金をリスクにさらすことを避けたい損失回避性の本能から来る恐怖だということが分かります。1度得た利益をすぐに確定してしまう傾向も、また下がるリスクにさらしたくないという損失回避性から来ています。 
行動ファイナンス
参照点依存性、感心度逓減性、損失回避性は全て人の心理的要因です。保持しているポジションがマイナスの場合、損切りをするかの判断はこのプロスペクト理論の3つの特徴に該当するのか、それとは別の経済情勢など自分の心理とは関係のないことが要因なのかを見極められるようにしましょう。
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この記事のライター

楽生暮

ファイナンシャルプランニング技能士2級、AFP(日本FP協会認定)
金融・保険業界を経験後、現在はフリーでFPに関するライター業やメディカルハーブ、マヤ暦占星術の講師業を行う2児の母。自身でも株やFX、つみたてNISAなどの資産運用を行いながら、「楽しく生きて暮らす」をテーマに子育てや資産運用を書いたノンジャンルのブログも運営中。複数の収入の柱を持つことを提案し、実行している。

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