奨学金制度は、学習意欲はあっても経済的に進学が難しい学生を支援し、安心して学べるよう学費や生活費などを給付または貸与する制度で、代表的なものが日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度です。
現在は、学生全体(大学中間部・大学院修士課程・大学院生)の約半数の人が奨学金を受給しています。
しかし、奨学金制度を受給するにあたり気になるのが返済額でしょう。
奨学金は卒業後の長期に渡り返還することになるため、その後の人生に大きな負担となる可能性もあります。
今回は、奨学金の返済額の相場や返済額を抑える方法などにフォーカスしてみました。
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大学4年間で借りた人の返済額の相場
日本学生支援機構の貸与型奨学金には、第一種奨学金と第二種奨学金の2種類があります。
第一種は無利息ですが、成績優秀で経済的に著しく修学困難な学生に貸与されるものです。
第二種の場合は第一種よりも緩やかな基準で選考されますが、利息(上限3%)が付きます。
さらに、第二種の奨学金にかかる利息は利率固定方式と利率見直し方式があります。
※・利率固定方式=返済完了まで同じ金利で返済する。
・利率見直し方式=5年ごとに利率が見直される(市場の金利動向に応じて変動する)。
いずれの場合も利率は最後に貸与された月(卒業する年の3月)に決定します。
返済額の相場は毎月の奨学金貸与金額と返済期間によって異なります。以下は利率固定方式・年利0.5%でシミュレーションした貸与金額別返済額です(入学時特別増額貸与奨学金なし・機関保証制度の利用なしで2019年4月貸与開始、2023年10月から返済の場合)
返済額を抑える方法
返済額を抑えるには、以下の2つの方法があります。
一括返済
奨学金の残高が返済可能な預金ができた場合や、親の退職金が借りられるまたは貰えたなどの場合は、一括返済をおすすめします。一括返済することで返済が終わるだけでなく、返済総額も利息分が減額されます。
繰り上げ返済
一括返済は無理でも、現在の返済額より多く返す余裕がある場合は、繰り上げ返済をおすすめします。繰り上げ返済によって返済期間の短縮になり利息の軽減効果があります。
また、奨学金制度は、地方自治体や大学でも実施されている場合があります。大学の奨学金制度は学費が免除される場合もあるので、事前にさまざまな奨学金制度の内容や金利を比較して自分に最も合った有利な奨学金制度を利用しましょう。
返済が困難な場合は?
返済が難しい場合は、以下の2つの制度に願い出ることが可能です。
減額返還制度
災害・傷病・失業・経済困難など返済困難な事情が発生した場合に願い出ることができます。
一定期間、当初の返済額を1/2または1/3に減額し、減額返還適用期間を延長する方法です。延滞している場合には願い出ることはできないため注意が必要です。
返済期限猶予制度
この制度も上記と同じ事情により返済が困難になった場合に願い出ることができます。
この制度は一定期間の返済をストップし、返済を先送りする方法です。
※奨学金は約束の期日までに返還しないと延滞金が発生します。また、連帯保証人や保証人へ請求書が送付されることになります。返済が難しい場合は早めに申請しましょう。
将来を見据えて計画を立てよう!
奨学金制度は学びたい学生にとって大変ありがたい制度ですが、貸与型奨学金の場合は卒業後から20年程度返済期間が続きます。
「金利も安いし、月に数万円程度なら大丈夫…」と安易に考え、多めに給付を受けることは避けましょう。
学生時代に経済的に楽をしても、社会人になってから自らの負担となって帰ってきます。
卒業から20年の間には、結婚や出産といったビッグイベントが多く待ち受けています。
将来のいつなんどき、大きなお金が必要になるかわかりません。
将来を見据えてしっかり計画を立て、なるべく未来の自分への負担を軽減させるよう、上手に奨学金制度を利用しましょう。
お金と上手に向き合うために