ポイントを教える女性

【子どもの進学】入学金が予定していたより高かった!急な資金不足はどう補う?

2018年1月25日

ポイントを教える女性

受験もいよいよ大詰めを迎えるこの時期。見守る親の方も気が気じゃないですよね。子どもが一番に希望する進学先に決まることを願いつつ、親として気になるのは「入学金」の問題です。教育資金としてある程度は準備していたつもりが、実際は予定より多くお金が必要になりそう・・・・・・そんな場合の緊急支払い対策を整理しておきましょう。

かかるお金はこんなに違う!公立vs私立

「私立はお金がかかるから」。皆さんもよく耳にする話だと思います。実際のところはどれぐらい差があるのでしょうか。文部科学省の資料から、高校(全日制)と大学について、それぞれ公立と私立の金額の違いを比べてみましょう。

【高校の場合】

文部科学省の調査(平成28年度)によりますと、保護者が支出した1年間・子ども1人当たりの学習費の総額は、公立高校の場合45万1千円、私立高校の場合104万円となっており、私立高校は公立高校の2.3倍の経費がかかっています。このうち、学校給食費・学校外活動費を除く「学校教育費」に注目してみると、公立高校と私立高校では次のような差があります。

< 公立・私立高等学校(全日制)における学校教育費の内訳>

高校学費H28
出典:文部科学省『平成28年度子供の学習費調査の結果について』平成29年12月22日 図5-2
このように、公立高等学校(全日制)は各項目に対して大きな偏りなく支出されているのに対し、私立高等学校では授業料と学校納付金等(入学金、入学検定料、施設整備資金、学級費、PTA 会費、寄附金など)の占める割合が多いことが分かります。

【大学の場合】

文部科学省の資料によりますと、平成28年度では
国立大学:授業料 535,800円 入学料 282,000円
私立大学:授業料 877,735円 入学料 253,461円
という平均額が示されています。また私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査によれば、授業料・入学料の他にも施設設備費185,620円が係り、それらを 合計すれば131万6,816円となる調査結果が示されました(※国立大でも施設設備費が係る場合もあります)。
参考:国公私立大学の授業料等の推移
参考:平成28年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
やはり私立の方が多くの資金が必要と分かります。教育資金の準備は、早い時期から高めに見積もって貯めておくと安心です。ですが、実際は暮らしながら貯めていくことはなかなか容易ではなく、最低限の準備額しか用意できていない場合もあると思います。そのような場合でも、急な進路変更に慌てず済むように、緊急支払い対策を知っておきましょう。

奨学金と教育ローン

資金対策には奨学金や教育ローンなどの方法があります。それぞれの特徴を確認しましょう。

【奨学金】

奨学金制度には、
日本学生支援機構
・地方自治体
・民間の育英団体
・学校独自のもの
などがあります。奨学金制度にはさまざまなものがありますが、総して多くの人が利用しているのが貸与型の奨学金。特徴は、
・学生本人が借り、本人が返済する
・在学中は無利息
・卒業後から返済開始
・申込時期が決まっている
などの点が挙げられます。奨学金は、教育ローンを借りるより利息が低く、卒業まで継続的に学費の援助を受けたい場合に向いています。ただし、「奨学金」と名が付いていると感覚が薄れてしまいますが、お金を借りているということは借金と同じこと。毎月5万円を借りたとすれば、4年間では240万円を借りることになります。卒業後は必ず返還しなければなりませんから、返す時のことをよく考えて、借り過ぎに注意する必要があります。返済の必要がない給付型奨学金制度というのもあります。
ただし、世帯の所得状況、入学先大学、成績など、奨学金を提供する機関ごとにさまざまな条件が設定されています。これらの条件をしっかり確認することが必要です。

日本学生支援機構の奨学金は入学金対策にはできない

ここで注意したいのは、日本学生支援機構の奨学金は入学後(4月以降)に振り込まれることです。そのため、入学前に支払いが必要な「入学金」や「半年分の授業料」などの支払いには、この奨学金を頼ることができません。入学前に必要な資金を確保するには、別途教育ローンや学校貸与制度を利用しなければなりません。
日本学生支援機構では「入学時特別増額貸与」という制度も利用できますが、こちらも振り込みが「入学した月」となるため注意が必要です。後ほど入学時特別増額の項で詳しく説明します。

【教育ローン】

教育ローンには、
・日本政策金融公庫(国の教育ローン)
・民間の教育ローン
・組合の教育ローン
などがあります。教育ローンの特徴は、
・保護者が借り、保護者が返済する
・借りたときから利息が発生する
・借りた翌月から返済が始まる
・いつでも申し込み可
などの点が挙げられます。
日本政策金融公庫の教育ローンは、最高350万円までを固定金利で借りることができます。日本学生支援機構の奨学金との併用も可能です。受験前から申し込みが可能で、入学前の入学金の支払いなどにも利用することができます。また大学だけでなく、高等学校への進学時にも利用できます。詳しい利用条件はこちらからご確認ください。
参考:日本政策金融公庫(国の教育ローン)
国の教育ローンは民間の教育ローンより利息が低いので、条件が合えば優先して利用したい教育ローンです。ただし、連帯保証人の有無によっては利息とは別に保証料がかかります。トータルで判断して利用しましょう。

日本学生支援機構の入学時特別増額

日本学生支援機構の奨学金には、「入学時特別増額」という制度があります。これは、第一種奨学金(無利子)または第二種奨学金(有利子)に加えて、入学した月の分の奨学金の月額に一時金として増額して貸与する利息付の奨学金で、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」に申し込んだけれども利用できなかった世帯の学生・生徒を対象とする制度です(以外にも対象となる条件がありますので日本学生支援機構のHPをご確認ください)。
参考:日本学生支援機構
入学時特別増額は、入学した月の奨学金に10万円~50万円(10万円単位)で選択した金額を増額します(1回の貸与)。入学時特別増額のみの貸与はできません。注意したいのは、「入学前の貸与ではない」という点です。
このままでは入学前に必要になるお金には入学時特別増額を充てることができません。そこで、この時間差を埋める対策として『ろうきん』の入学時必要資金融資があります。

ろうきんの入学時必要資金融資

ろうきんの入学時必要資金融資は、入学時特別増額を予約した人を対象に、増額奨学金が交付されるまでの間、入学時に必要な資金を、交付される増額奨学金の範囲内で融資するものです。返済は、増額奨学金が交付される第1回奨学金交付時に、奨学金を返済原資として、利息を含めて一括返済します。詳しくは下記を参照してください。
参考:ろうきん『入学時必要資金融資』

学校独自の貸与制度

その他に、学校独自の貸与制度を利用する方法もあります。経済的に苦しい家庭を支援するために、入学金や授業料の「免除」や「減額」をする制度がある場合が多いので、希望校・予定校の奨学金制度を調べてみましょう。入学金の貸与を行なっている学校もあります。

早め早めに行動を!

これらの制度を実際に利用するには申し込みや手続きに時間がかかりますから、入学金の納付期限から逆算して準備に動かなければなりません。早め早めに調べて行動することが大切です。お金の問題で進学を諦めず、対応できる手段はないか探ってみてくださいね。

この記事のライター

横山沙織

ファイナンシャルプランナー/FPmama Friends認定 おこづかいセミナー講師。 「女性と子どもの自立」をテーマに活動するFP。自立とは“自分で考えて”“決めること”。女性と子どもの自立が明るい未来につながるという想いから「女性の自立=ライフプラン」「子どもの自立=おこづかい教育」を2本の柱として活動している。

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