「1ヶ月無料お試し」に注意!いつの間にか有料会員に?

2019年6月20日更新

テレビコマーシャルなどで、「今なら新規契約から1ヶ月間は無料!」というような宣伝を見聞きしたことがあるでしょうか?
月額利用料のかかるサービスで多い新規顧客獲得方法なのですが、この「無料お試し」は人間の心理的に効果の高い宣伝手法なのです。
今回は、「無料お試し」というマーケティング手法について、人間の行動を心理面から研究する行動経済学の観点から紹介します。
行動経済学は、実際の人間の行動について何故そうした行動を取ったのかということを実践的に研究する分野であり、研究から得られた人間の特性を知っておくことは実生活でも役立ちます。
ぜひ最後まで読んでいただき、人間がどんなことに影響されやすいのか知ってください。

身に覚えのない支払い。その正体は?

クレジットカードの明細を確認してみたら、身に覚えのない支払いがあり、調べてみると、
2カ月前に「今なら1カ月間無料!」の宣伝にとびついて契約したエンターテインメント配信メディアの月額料が取られていた・・・といった経験はないでしょうか?
多くの方は「気に入らなかったら無料お試し期間が終わる前に解約すればお金はかからない」と考え契約しますが、実際に解約する人は多くはありません。
なぜそうなるのでしょうか?

「無料お試し期間」が終わると自動的に有料会員へ

「無料お試し期間」を新規顧客獲得に使っている場合、ほとんどのケースで何も手続きを行わなかった場合自動的に有料会員に切り替わり、月額料金が発生します。
ですので、解約手続きを忘れる、面倒な解約手続きを行いたくない場合、そのまま有料会員に自動的になってしまうのです。

なぜ企業はこのような手法を取るのか?

企業が「無料お試し期間」を利用した宣伝を行うのは、最終的には利益となるからです。
企業側からすれば、最初の1カ月が収入にならなくともその後何年間も月額料金の支払いが発生するのであれば、長期的には利益を得られますので、一見儲からなさそうな「無料お試し期間」を利用します。
もちろん有料会員になってもらわなくては利益どころか損失が発生してしまいますが、実際多くの企業がこの手法を使っていることからもわかりますが、この手法は有料会員に結びつきやすい手法となっています。
何故なら、無料お試し会員から有料会員に多くの方がなるのには、心理的な理由があるからです。
ここでは、無料お試し会員から有料会員になるその理由について行動経済学の観点から紹介します。

保有の心理効果

人間は自分の保有しているものを高く評価する傾向にあります。
例えば、愛車という言葉がありますが、同じ車でも自分の車は特別な価値があるように感じられるのです。
実際にこんな実験結果があります。
不特定多数の人を2つのグループに分け、Aグループにはマグカップを渡し、Bグループには何も渡しません。しばらくしてから、Aグループには「いくらならそのマグカップを売るか」という質問を、Bグループには「いくらならあのマグカップを買うか」という質問をしました。
その結果、Aグループが解答した売値はBグループが解答した買値より、かなり高額となり誤差とは言えないほどの差があったのです。
このように人間は一度手にしたものを高く評価し、手放すにはそれ以上の対価を求めます。これが、無料お試し期間で利用したサービスを解約できない理由の一つです。

アンカリング効果

アンカリング効果とは人は最初に見た数字などに強く影響されるという心理的効果です。
例えば、「映画見放題のサービス月額2,980円が今なら1カ月間無料」というふうに最初に本来の月額料金を提示されることで、それが無料になるというお得感が増します。
アンカリング効果はセールなどでよく使われており、例えば、値段表に値引き前の高い価格を記載して、その下にセール価格を表示しているものを見たことがないでしょうか?
これはあえて、値引き前の金額を記載してアンカリングすることで、お得感を増幅させているのです。

おとり効果

おとり効果とはあえて選ばれにくい選択肢を用意することで、その他の選択肢を魅力的に見えるようにするというものです。
例えば、新聞の販売方法で
①紙媒体のみ5,000円
②紙媒体+ネット閲覧5,000円
③ネット閲覧のみ4,000円
という選択肢があった場合明らかに①より②はお得です。
本来であれば、③のネット閲覧だけで十分かもしれないのに、②のお得感が大きくこういった選択肢の場合②が多く選ばれます。
無料お試し期間の手法で言えば、今から1週間以内の申し込みであれば2カ月間無料!とするなど、他の選択肢より明らかにお得な選択肢を用意することで、申し込みを後押しするといった手法です。

無料から有料に自動更新されるサービス

ここでは当初は無料ですが、その後自動的に有料になる代表的なサービス紹介します。
読んでいただき、ムダな費用を支払わないように注意してください。

TSUTAYAプレミアム

レンタルビデオ大手のTSUTAYAが行っている月額サービスです。
店舗のDVD・BDが借り放題の他、ネットでも動画が見られるサービスとなっています。
無料体験期間が終了すると自動的に有料となります。

Amazonプライム

映画他様々な動画を配信しており、独自の番組配信も行っている人気の動画配信サービスです。
Amazonの送料などの特典もあり、Amazonユーザーには人気のサービスですがこちらも無料期間が終了次第、自動的に有料となります。

スマホのデータ通信料増量キャンペーン

スマホ各社が行っている、データ通信料を増量するキャンペーンです。
無料期間がありお得ですが、無料期間が終了後は増量後のデータ通信料契約となりますので有料となります。

日経新聞試し読み

日経新聞が行っている購読サービスです。
無料期間がありますが、その後月額購読料が発生します。

マッチングアプリの課金

最近ではマッチングアプリにも無料お試し期間が利用されています。
期間や回数が限定されその間は無料で利用できますが、その後有料となります。

不本意な出費を防ぐためには

無料のはずが気付いたら会費を取られていた・・・という不本意な出費を防ぐためには、安易に無料お試しにのらないようにするということが大切です。
本当に自分にとって必要なサービスなのかを見極めた上で、申し込みを行うようにしましょう。
具体的には、「無料お試し期間が無くても申し込みをしたいか」という点で考えるようにしましょう。無料期間がないのなら、申し込みをしないというのであればそのサービスはあなたにとって必要ありません。
ムダな出費を防ぎ、有意義なことにお金を使うことで人生は豊かになります。様々な甘い言葉・誘惑に負けず自分にとって本当に大切なものにお金を使ってくださいね。

この記事のライター

森田賢一

FP2級資格を持つ30代男性会社員。10年以上の投資歴を持つ現役投資家。
10代から投資をはじめ、リーマンショックでは投資家としての心構えを鍛えられた。
株式を中心にETFやREITへの投資も行い、現在の運用資産は5,000万円。アーリーリタイヤを目指し投資の勉強は欠かさない。
ブログにて株式投資に関する情報を発信中
【ブログ】FP森田の株式投資ブログ/

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