公的年金等の非課税枠と効果的な活用法は?

2019年10月13日

皆さんは自分が何歳から国の年金をもらえるかご存じでしょうか?
受給資格を満たすことを前提条件として、性別と生年月日によって若干異なりますが原則として、昭和36年4月2日以降生まれの男性、昭和41年4月2日以降生まれの女性は65歳からの支給となります。
言い換えれば、多くの人は65歳に達するまで国の年金をもらえません。
65歳に達するまで国の年金をもらえない人が多い中、65歳に達するまで、国や企業の年金を受け取る場合に所得税、住民税(所得割)、社会保険料がかからない枠があることをご存じでしょうか?今回は、65歳まで年金に税金がかからない枠とその活用法についてご説明します。

65歳までは年間60万円、65歳以降は年間110万円

国や企業から受け取る老齢給付(年金)を「公的年金等」といい、所得税や住民税がかからない枠が設けられています。
この枠を「公的年金等控除」といいます。毎年、一生涯活用できますので、有効に活用したいものです。
この公的年金等控除は公的年金等の収入金額と年齢によって異なります。
公的年金等控除(原則 2020年以降の所得税、2021年度以降の住民税)

65歳に達するまでは年間60万円、65歳に達した年以後は年間110万円までは、所得税、住民税(所得割)、社会保険料がかかりません。この枠を使わない手はありません。
ただし、先ほどお伝えしたとおり、多くの人は65歳に達するまで国の年金をもらえませんので、何もしなければ、年間60万円の非課税枠が無駄になってしまいます。
では、国の年金を65歳よりも早く、例えば60歳からもらえばよいかというとそうとも限りません。65歳からもらう年金を60歳からもらうと30%減額され、その減額された割合の年金を一生涯受給することになるので、基本的にお勧めできません。
ご提案したいのは3つの「自分年金」を作る制度の活用です。

その1.iDeCo(個人型確定拠出年金) 支払って節税、増やして非課税


会社員、自営業者、公務員、専業主婦、学生等、60歳未満の多くの人が利用できます。
10年以上加入すれば、60歳からもらえますので、50歳未満の人が加入すると60歳から受給できます。60歳から65歳に達するまで、60万円×5年=300万円の年金を受け取っても税金、社会保険の負担は増えません。
掛金も所得控除の対象となり、所得税・住民税の負担が減りますし、運用益も非課税ですので、毎月の掛金を納付できる余裕がある人は是非、お勧めします。

その2.自営業は国民年金基金も、特にⅤ型は要注目


自営業の人で国民年金第1号被保険者として保険料を全額納付している人は国民年金基金も利用できます。積立型の年金制度であり、掛金はiDeCoと合わせて月額68,000円まで、支払った全額が所得控除の対象となるため、支払う期間中も所得税・住民税の節税効果があります。一生涯の終身年金または一定期間の確定年金を組み合わせて契約しますが、
50歳0カ月以下の人であれば、60歳から受給できるⅢ型(15年)、Ⅳ型(10年)、Ⅴ型(5年)の3タイプの確定年金も選択できます。
特にⅤ型は掛金も安く、60歳から65歳に達するまでの5年のみ受給するタイプであり、65歳に達するまでの公的年金等控除を有効に活用するにはお勧めです。

その3.小規模企業の役員・自営業は小規模企業共済も


小規模企業(従業員数20人以下、商業・サービス業は5人以下)の役員や個人事業主であれば、退職金作りのための制度である小規模企業共済も利用できます。
掛金は毎月7万円まで、支払った全額が所得控除の対象となり、所得税・住民税の負担が軽減される点は前述の2つと同じです。
分割受取りのためには、共済金(分割受取分)が300万円以上あること、受取期間が10年または15年であることなど、少しハードルが高いのですが、言い換えれば、300万円の共済金であれば、300万円÷10年=30万円/年、300万円÷15年=20万円/年と公的年金等控除の範囲内ですので税金がかかりませんし、
600万円(60万円×10年)、900万円(60万円×15年)まで分割受取りを選択しても、65歳に達するまでは所得税、住民税、社会保険の負担には影響しません。
働く、資産を運用する等、収入の額面を増やすためにできることに取り組むことが最優先。特に60歳以降は、60歳までに比べて急激に収入が減る時期ですので、収入の手取額を減らさないためにも、税制や社会保険も効果的に活用したいものです。
その1つの方法として、公的年金等控除の効果的活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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この記事のライター

益山真一

ファイナンシャルアカデミー認定講師。「お金の教養スクール」で教壇にたつ。家計改善を得意とするファイナンシャルプランナー。國學院大學経済学部の非常勤講師も勤め、研修・セミナーの実績も多数。経済、景気等への感度が高く、株式投資では18ヶ月連続増益の経験もある。

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