源泉徴収された税金は返ってくる?フリーランスが知っておきたい税金のこと

2019年9月13日

2024年10月31日

フリーランスのライターやイラストレーターなどは報酬という形で収入を得ている場合が多いと思います。その際、原稿料や作画料からいくらかの税金が引かれて振り込まれていませんか?
「ただでさえ、少ない金額なのにさらに税金が引かれるなんて…」と思ったあなた。その引かれた税金は返ってくるかもしれませんよ。

源泉徴収とは

ライターの原稿料、イラストレーターの作画料、講演者が得る講演料などは一般的に報酬という形で支払われます。クライアントが法人の場合、大抵は源泉徴収という方法で税金が引かれ、提示された金額より幾分少ない額が本人の口座に振り込まれます。
これは、所得に対して生じる所得税を、本人に代わって、報酬を支払う側があらかじめ天引きという形で徴収して国に納めているわけです。これを源泉所得税と言います。
所得税を計算するためには、まず課税所得を出さなければなりません。課税所得は、収入から経費と控除額を引いたものです。この課税所得に税率をかけて所得税の金額を出します。
控除には様々なものがあり、基礎控除、社会保険料控除、扶養控除、配偶者控除、医療費控除、雑損控除などがあります。
どの控除が適用され、経費がいくらであるのか、個々の事情について支払う側はわかりませんから、これらを無視して、報酬額をそのまま課税所得として、実際よりは多めになるであろう金額を徴収して納税しています。
源泉所得税は、100万円以下であれば、10.21%、100万円を超える場合は20.42%となります。
※10.21%は税率10%に復興特別所得税0.21%を加算したもの
たとえば、原稿料が3,000円(税込)であれば、3,000円×10.21%=306円(小数点以下切捨て)が徴収され、手取りは2,694円となります。
源泉所得税は、所得税の前払いにあたるため、1年間の総額が出て本来払うべき税金が確定したら、払い過ぎた税金は還付され、足りない分は徴収されます。サラリーマンであれば、会社が年末調整をしてくれますが、フリーランスの場合は、確定申告をして税金の過不足を調整します。

フリーランスの確定申告

確定申告と聞くと、条件反射で面倒くさいと思ってしまう人は多いでしょう。しかし、フリーランスで仕事をしていくのであれば、確定申告はしなければなりません。
確定申告をする必要がないケースは年間の所得が48万円以下の場合です。これは、すべての人に適用される基礎控除が48万円なので、これ以下であれば、税金を納める必要がないからです。
この場合の所得は、収入から経費と各種控除を引いた金額です。収入が48万円を超えても経費や控除額が多ければ、所得を48万円以下にすることができます。
年間の所得が48万円以下に収まり、確定申告をする必要のないケースでも、先述のように、源泉徴収をされていた場合は、確定申告をすることで、その納めた分の税金の還付を受けることができます。本来払う必要のない所得税を源泉徴収されていたわけですから、確定申告をして取り戻しましょう。たった10%と言えども、年間にするとまとまった額になるはずです。

白色申告?青色申告?

フリーランスとして継続して収入を得ている場合、その所得は事業所得に分類されます。
事業所得は「収入金額―必要経費」で求めることができます。また、本業以外で収入があった場合、たとえば、作家の人が講演をして、講演料が入った場合、その所得は雑所得となります。
事業所得の場合、確定申告をする際に、日々の取引を記帳し、その帳簿を保存していると青色申告という、いくつかの特典を受けられる制度が利用できます。一方、白色申告とは、こうした特典がないかわりに、簡易な帳簿付けで済みます。フリーランスとして始めたばかりで、まだ規模が小さい場合は、手間がかからない白色申告がよいかもしれません。ただし、白色申告であっても記帳は必要なので、今後、継続してやっていき、事業の規模も大きくしていきたいと考えている人は、最初から青色申告での記帳に挑戦しておいた方が、メリットがあるでしょう。
青色申告をする場合は、申告をするその年の3月15日までに、税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておかなければなりません。新たに業務を開始する場合には、業務開始から2ヵ月以内の提出が必要です。
青色申告をした場合のメリットは以下となります。
1.青色申告特別控除65万円が受けられる。
2.青色事業専従者給与(生計を一にする親族へ支払う給与)を必要経費にすることができる。
3.損益通算しても引ききれない損失(赤字)を翌年以降3年間繰り越すことができる。
4.少額減価償却資産(1個あたり30万円未満の資産)を使用開始した年度に一括で経費に計上できる。
この中では65万円の控除に目が行きますが、損失を翌年以降に繰り越せるというメリットは、新規で事業を始めた人にとっては大きいものです。フリーランスで生計を立てたいと思い立ったら最初はいろいろと初期投資が必要です。そのため最初の3年間くらいは赤字が続くことが考えられます。青色申告を選択していれば、その赤字を3年間繰り越すことができるのです。これによって所得税の節税ができます。
どんなスタイルで仕事をしても、一定の収入を得れば税金を取られます。会社員であれば、会社がすべてやってくれるため、特に意識をすることもないでしょう。しかし、フリーランスの場合は、自分でお金の動きを記録して、税金を納めなければなりません。会計の知識や税金について学ぶことは、フリーランスとしての成功するためのひとつの柱となるでしょう。

この記事のライター

石倉博子

1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®認定者。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。

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