東京は昔に比べて国際色豊かになり、多くの外国人が住んでいます。来年東京オリンピック・パラリンピックを開催したあとは更に増えていきそうですが、細かく見てみると、国籍によって住む場所にかなり特徴がみられます。自分が住む場合でも不動産投資をする場合でも、満足度を高めるためには場所ごとの特性を知っておくことは大事です。そこで、今回は東京23区の外国人の居住状況を調べてみました。
東京23区には50万人近い外国人が住んでいる
東京都には外国人が57万人弱住んでいて、そのうち48万人弱が区部に住んでいます。下記の表は東京23区の区ごとの外国人人口と前年比、外国人人口に占める区ごとの割合を表したものです。
区別の外国人人口と比率(単位:人)
資料:東京都の統計(令和元年10月1日現在)
23区は人口が増えていることもあり、外国人も前年に比べて2万人増えています。人口に対する外国人の比率は4.98%なので、23区では20人に1人が外国人となっています。
区ごとの状況をみてみると、外国人の人数が特に多いのは、新宿区42,466人、江戸川区37,426人、足立区33,431人等で、比率が高いのは新宿区12.15%、豊島区9.73%、荒川区8.76%等となっています。新宿区は人数で最も多く比率でも最も高いことから、外国人にとって住みやすい環境がかなり整っていると考えられます。
インド人は城東に集中・アメリカ人は城西に集中している
外国人全体では新宿に多く住んでいても、国籍・地域別にみると特徴的な傾向があります。例として国籍・地域別に最も人数の多い「中国」、2番目に多い「韓国」、そして大国の「米国」「インド」の区ごとの人口を表にしてみました。比率は外国人全体に占めるその国の割合で、比率の高い3区を赤字にしてあります。
資料:東京都の統計(令和元年10月1日現在)
東京23区に住む外国人のうち40.4%が中国人、16.7%が韓国人で、米国(3.3%)やインド(2.6%)等とは大きな差があります。
国別では、中国人はどこでも多いですが、中国人の比率が特に高いは板橋区(52.9%)・葛飾区(52.0%)・江東区(50.4%)で、この3区だけ50%を超えています。逆に渋谷区(20.0%)・港区(20.3%)・目黒区(20.4%)の3区は20%程度と低く、板橋区等の半分以下となっています。
韓国人は荒川区(25.8%)・新宿区(24.1%)・足立区(22.1%)で比率が比較的高く、豊島区(9.1%)や北区(10.5%)ではかなり低くなっています。
米国人は住む場所が比較的集中しており、港区(15.7%)・渋谷区(13.1%)・目黒区(10.8%)・世田谷区(7.9%)の4区で米国人の比率が特に高く、人数でみても23区全体の半数近くになります。この4区は全て23区の南西方向に位置しています。逆に足立区(0.9%)・江戸川区(0.9%)・荒川区(1.0%)・葛飾区(1.0%)等は米国人の比率がかなり低く、全て23区の北東エリアに位置しています。
インド人は米国人以上に集中しており、江戸川区(12.8%)と江東区(7.5%)で特に比率が高く、この2区に23区全体の57%のインド人が住んでいます。
この4か国の傾向を見ると、米国人の比率が特に高い港区・渋谷区・目黒区は中国人の比率が特に低い区と一致しています。最近の政治状況が関係しているとは思えませんが、住む場所の傾向はかなり異なっています。インド人が独自路線で江戸川区と隣の江東区に集中しているのは、インド人学校やインド人会の存在が大きく影響しているようです。
特定の国籍・地域の人が多く住むと、関連する施設も増えてきます。例えばインド人が多い地域ではインド人の嗜好に合わせたカレー屋さんや現地の食材を揃えたスーパーマーケットも増えます。そのようにして街の個性ができていきます。その個性が自分の考えに合う人もいれば合わない人もいるでしょう。不動産を考えるうえではその街の個性を事前に理解し、間違いのない選択をするようにしたいところです。