前回のインタビュー「『恐る恐る不動産投資』著者・河上まりお氏が語る不動産業者との付き合い方」では、まりおさんの不動産投資をはじめるきっかけや、リフォーム業者のしくじりエピソードなどを教えてくれました。
今回はさらなる失敗談と、不動産投資に向いているタイプをズバリ聞いてみました。
税金と減価償却に無知だと怖い
まりお:税金や保険料の計算、できるようにしておいた方がいいです。不動産投資で収入が多くなると、支払う税金も高くなるので……。月に80万円の家賃収入があっても、諸々の返済が40万ほどあって、手元に残るのは40万ぐらいです。でもその返済は「経費」ではないので、ただ80万円収入が増えたということになってしまうんですよ。
所得で料金が変わるものって割と多くて。たとえば、俺は市営住宅に住んでいたんですけど、2万ぐらいの家賃が8万円に上ったり、子どもの保育料が2万円からガーンと4万に上がったりました。あと国民健康保険料も、自営なので年間80万ぐらいになって……これはさすがに高いなって。
でもいろいろな本を見ても、こうした不動産投資以外の税金や保険料について書いてある書籍って、あまりなくて。頭のいい人はそういうのも分かってるのかな~。俺は、あんまり考えられない方でした(苦笑)。
まりお:減価償却も重要だと思います。鉄筋コンクリートのようななかなか資産価値が減らない物件を運用するより、木造建築で資産がどんどんなくなっちゃう物件にした方がいいと思いました。
木造建築って耐用年数が20何年で、1年の減価償却費が結構多く取れるんです。それが経費として計上できて、結果自分の手取りになるので手元にお金が残りやすいっていうのがあると思います。※
逆に鉄筋コンクリートは、利益でにくいんじゃないかな……。試しに鉄筋コンクリートを運用している人の維持管理費の計算もしてみたんですよ。正確な額がわからない部分は想像して、「これぐらいかかってるんだろうな」って。たまに「家賃収入が年間で5000万ありますよ」って言う人がいるとスゲー人に見えるけど、たぶん鉄筋コンクリートの物件だったら全然利益出てないんじゃないかな。俺もやってみたことがあるので、わかるんです(汗)※
※)まりおさん個人の見解です。
マネラボ編集部: これだけ失敗をしても、不動産投資を続けるモチベーションはなんでしたか?
まりお: モチベーションは、ブログですね。ずっと漫画を描いていたので、「うわ、またいいネタできた……」と(笑)他にも空き部屋で友だちと鍋パーティをやったり、「泊っていいよ」って貸したり、おもしろかったですね。空室利用は大事ですし、他にもまだまだおもしろい稼ぎ方が不動産投資にはあると思っています。
不動産投資は○○な人におすすめ?!
マネラボ編集部: 不動産投資はどんな人が向いてると思いますか?
まりお: リスクを計算できる人がいいんじゃないですか。あと慎重型で、石橋叩いて渡る人のほうがいい。俺みたいに、「不動産欲しいから買っちゃえ!」みたいな勢いの人は、もう絶対だめ(笑)。100軒ぐらい見て、「これなら儲かるんじゃね?」じゃなくて、「確実にこれなら儲かるぞ!!」っていう物件が出てくるまで待てる人とか。
あと不動産投資の仲間でも怪しい人いっぱいいるので、騙されないように(笑)外見が「コワモテ」な人だとなおさらいいです!俺みたいに、業者にナメられないと思いますよ(笑)。
最後に、まりおさんの今は……
まりお: ちなみに今、物件持ってないんですよ。1回、デッカイ物件で失敗して、早く売っちゃったんで……。またやろうとは思うんですが、今は中断中です(苦笑)
書籍の発売から数年、変わらずの「しくじり先生」っぷりに不思議な安心感がありました。これからも等身大の姿で、全国の大家さんに笑いを届けてくれることを楽しみにしてます。
出典:Amazon『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った 恐る恐るの不動産投資』