株式投資するなら、企業の決算発表は非常に重要です。しかし、決算発表と株価が具体的にどのような関係があるのか?が良く分からない人もいるでしょう。そこでこの記事では、決算発表と株価の関係性について詳しく解説します。
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企業の決算発表はいつ?
まずは、そもそも企業の決算発表はいつか?という点について解説します。決算期は何月に設定しても構いませんが、3月に設定している企業が多いです。そして、決算日から45日以内に決算発表する必要があります。
また、上場企業は四半期決算となっているので、1年を4期に分けて…つまり3か月に1回決算を公表します。たとえば、3月を本決算(1年の総括)にしている東京ガスの場合、以下が決算と決算発表のスケジュールです。
四半期決算にも注意
一般的には、本決算になる第4四半期が重要視されますが、第1四半期~第3四半期にも注意しましょう。というのも、第1四半期~第3四半期の結果が本決算に大きく影響するのであれば、株価も大きく反応するからです。
そのため、第1四半期~第4四半期は全て注目すべきです。まずは、企業ごとに決算期がいつなのか?決算発表はいつを予定しているのか?という点を、証券会社のホームページなどで確認しておきましょう。
決算書の中で見るべきは「財務3表」
次に、決算書の中で見るべき「財務3表」と呼ばれている以下について解説します。
・貸借対照表
・損益計算書
・キャッシュフロー計算書
貸借対照表
貸借対照表は企業の資産・負債・資本をまとめた資料です。貸借対照表は左右に分かれており、左側に資産、右側に負債と資本が記載されています。以下が貸借対照表のイメージです。
流動資産は1年以内に現金化が予定されている資産…たとえば現預金や受取手形などを指します。固定資産は1年を超えて企業が使用・保有する資産…たとえば不動産や機械などです。流動負債・固定負債は借入金などのことであり、資本とは資本金や利益余剰金になります。
貸借対照表のチェックポイントは色々とありますが、代表的なポイントは以下の通りです。
・自己資本比率:自己資本÷総資本(企業の安定性をチェック)
・流動比率:流動資産÷流動負債(短期的な安定性をチェック)
・固定比率:固定資産÷固定負債(長期的な安定性をチェック)
損益計算書
損益計算書は、企業の利益や損失が記載されている資料であり、具体的には以下のような項目が記載されています。貸借対照表が企業の資本状況が分かる資料であるのに対して、損益計算書は企業の利益・もうけが分かる資料です。
損益計算書もポイントは色々とありますが、たとえば以下がチェックポイントになります。
・営業利益率:営業利益÷売上高(本業でもうける強さ)
・ROA:当期純利益÷総資産(資産を効率よく利用できたか)
・ROE:当期純利益÷株主資本(資本を効率よく利用できたか)
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書とは、現金の流れが記載されている資料です。上述した、貸借対照表や損益計算書には載っていない「現金の流れ」をキャッシュフロー計算書ではチェックできます。
たとえば、A社が1,000万円で商品を仕入れてB社に2,000万円で売った場合、会計上は利益が1,000万円になります。しかし、B社が手形で支払ったことで、A社が現金を受け取るまで3か月かかったとしましょう。そうすると、会計上は1,000万円の利益ですが、手持ちの現金はマイナス1,000万円です。
このように、ほかの資料では分からないことも、キャッシュフロー計算書ではチェックできるため、キャッシュフロー計算書も重要な資料なのです。
決算発表後に株価が大きく変動!なにがおきている?
決算発表後に株価が大きく変動するケースは多いです。何が起きているかはケースバイケースですが、決算内容が期待以上だった場合・期待以下だった場合に株価は大きく動きます。
決算内容が期待以上だった場合
決算内容が期待以上だった場合、その企業への期待は大きくなり株価は上昇する傾向があります。たとえば、YouTubeの製作・マネジメントを行っているUUUMは、2020年5月期の連結業績予想を公開し株価が上昇しました。これは、営業利益が2ケタ増益になることを市場が好感したからです。
UUUMOは一例ですが、このように市場の予測よりも好調で、かつ将来性が期待できれば株価は大きく動きます。
決算内容が期待以下だった場合
たとえば、吉野家ホールディングスは2020年2月期の連結業績予想を、売上高が前期比6.2%増で営業利益が前期比34.6倍へ上方修正しました。しかし、決算発表後に株価は下がりました。これは、そもそも市場が見込んでいた営業利益に届かなかったことが原因です。
また、仮に「営業利益が2ケタ減」など、決算内容が悪くても株価が下がるとは限りません。というのも、市場がすでに営業利益が減少することを織り込んでいれば、決算発表前に株価は下がっているからです。
このように、株価が上昇するか下落するかは、単純に決算内容が良い・悪いだけでは判断できません。重要なのは、市場の予測とどのような違いがあったか?という点です。そのため、日々情報収集をして、市場動向をチェックしておく必要があります。
決算シーズンを乗り切るための心得
決算シーズンを乗り切る心得は以下の通りです。
・決算期と決算発表期をチェックする
・第4四半期すべての決算発表をチェックする
・財務3表を読み解き企業の将来性を予測する
・市場がどのように反応するかを常に確認する
決算発表は株価に大きな影響を与えますが、決算発表日だけではなく、その前後も株価は動きます。そのため、決算発表を基に市場の動向を常にチェックしておくことが重要です。