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2020年4月30日更新

実際の決算書を読もう「東京ドーム」

コロナウィルスの一件は欧州を覆い尽くし、日本でも都市封鎖になるのかどうかが議論になっています。こういう時、株式投資をしていると先行きが見えずに困りますよね。
それは企業も同じ。今日はそんな「先行きが見えない時」、決算短信ではどういうところを見るべきなのか…を考えてみましょう。今日例題材として使うのは「株式会社東京ドーム」です。
イベントに関連する銘柄であるためコロナウィルスの影響を受けやすい点に加え、この会社は1月決算のため出来立てほやほやの短信が手に入ったからです。
↓直近年度末の決算短信(2020年1月期 3月12日発表)
参照:株式会社東京ドーム「決算短期」

業績予想はなんと「不明」

業績事態はコロナウィルスの問題が顕在化していない1月末までのものなので売上も利益も微増。数字事態にそれほど悪い兆候は見られません。このコラムを見ている方なら1月決算のBSは1月31日時点のもの、PLは2月1日~1月31日までのものであることは理解していると思います。
でもこういった事態の中で投資対象を吟味する場合、知りたいのは「1月31日よりもあとの状況」なのではないでしょうか?
今日はそんな場合に、決算日(この場合1月31日)以降に何が起きているのか何か動きがないのかを確認する手段を探りたいと思います。
まずは、来期の業績予想です。これは皆さん従来より良く知っていますね。短信の1ページ目の一番下です。
しかし…今回この東京ドームの業績予想の箇所には以下のようなコメントが記載されています。
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2021年1月期の連結業績予想(2020年2月1日~2021年1月31日) 2021年1月期の連結業績予想につきましては、新型コロナウイルスによる影響を現段階において合理的に算定することが困難なことから未定としております。業績予想の開示が可能となった段階で、速やかに公表いたします。
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状況があまりに流動的で業績予想を立てることが難しいということですね。
先述の通り東京ドームはイベントなどで収益を上げるために、このコロナウィルスの騒動が収まるかどうかでその売上は一変します。そのため、収束のタイミングが全く読めないこの短信発表時時点の3月12日には「業績予想は不可能」と表明しているのです。
今回のような特殊な事態が生じている時はこういった記載になることもおさえておきたいですね。

決算日以降に起きた重大事項を記載する箇所「後発事象」

さて業績予想以外に、決算日以降の情報を記載する箇所が決算短信には存在します。それが22ページ目、記載されているページ数は20ページの「後発事象」というところです。
この「後発事象」は読んで字のごとく、「決算日の『後』で『発生』した重要な『事象』」という意味です。何か決算書の内容を一変させるような、大きな影響を与えるような事があったら、ここにその内容と影響額を記載するルールになっているのです。
今回は「該当事項はありません」となっています。
3月12日時点では、患者はそれほど増えておらずまたロックダウンなどの措置もとられていないので決算書に大きな影響を及ぼすようなことは生じていないということです。
しかし、もしも東京でのコロナウィルス患者数が急激に増えて、東京が3月初旬にロックダウン(都市封鎖)の処置などを採っていたとしたら、おそらくこの「後発事象」にその内容及び影響額が記載されていたことになるわけです。
今回のコロナウィルス騒動のような時期はこの「後発事象」に記載があるかどうかも是非チェックしたいですね。

それ以外の不確定要素がある場合は「偶発事象」

この「後発事象」と似たようなものに「偶発事象」というものがあります。
これは「決算後において実際に起こったこと」である「後発事象」とは異なり、決算発表の日までその内容や結果が「確定していない」ような事象のことです。
例えば何か大きな損害賠償訴訟を抱えて裁判の途中である場合、勝訴するか敗訴するかは神のみぞ知るわけであり、まだ判決が確定していない以上はその結果を決算書に反映することは不可能なわけです。
ただ、もしも全面敗訴しようものならば巨額の損害賠償が必要になる場合、そういった「未確定とはいえ影響が大きいこと」をキチンと知っておきたいというのが投資家の心情です。
そういった「未確定だが決算書に与える影響が大きい」事象がある場合、後発事象と同様「偶発事象」として後発事象の後にその内容及び影響額を記載することとなります。
今回のコロナウィルスはまさに「先が読めない」事態とも言えますので、少しでもよいので、この「偶発事象」にも何か記載がないかサラッと目を通しておくのも良いかもしれませんね。
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この記事のライター

野瀬大樹

公認会計士・税理士。大手監査法人にて会計監査 、株式公開支援、財務調査、内部統制構築業務にかかわる。会計のプロとしての視点から家計のリストラに着手し、支出を1年で50%減らす。さらに自身の労働時間を年間1000時間減らす中で、所得の増加にも成功している。公認会計士協会主催の講習の講師も務め、小中学生に会計とお金の話をわかりやすく伝える授業には定評がある。著書に「20代、お金と仕事について今こそ真剣に考えないとやばいですよ!」(クロスメディア・パブリッシング) 、「自分でできる 個人事業主のための青色申告と節税がわかる本」(ソーテック社)などがある。

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