不動産投資的視点でみる「新駅誕生」の影響〜高輪ゲートウェイ駅開業〜

2020年5月4日

3月14日、山手線の品川~田町間に、30番目となるJR高輪ゲートウェイ駅が開業しました。29番目の国電・西日暮里駅の開業が1971年ですから、実に49年ぶりの新駅誕生です。
今回は、高輪ゲートウェイ駅が周辺エリアに与える変化、さらには不動産マーケットへの影響について取り上げます。

新駅のねらいは「車両基地跡の開発」

なぜJR東日本は、新駅を作ろうとしたのでしょう?もちろん品川~田町間が2.2km離れているのもありますが、一番のねらいは10-15ヘクタールにおよぶ「田町車両基地」の移設と再開発です。都内一等地でこれだけまとまった物件は、もう出ないといわれています。
跡地は、「グローバルゲートウェイ品川」エリアとして2024年に開業予定です。
田町~新駅~品川周辺は、JR各線(山手・京浜東北・横須賀・東海道)と国道15号を境に、西側の高輪エリアと東側の港南エリアに分断されています。
高輪エリアは、赤穂浪士預かりでも有名な泉岳寺や東禅寺などの古刹も多く、寺院の周辺には江戸時代より井伊・本田家などの大名屋敷が軒を構えた由緒あるエリアです。今では隣接する白金台エリアと共に超高級住宅街を形成しています。
一方で港南エリアは、明治20年代の地図を眺めるとまだ「海」だったことがわかります(さらに遡ると、鉄道敷設当初は海の上に線路が築堤されていたとか)。その後このエリアの埋め立てが急速に進み、広大な車両基地が整備され、さらに海岸側に下水処理場、倉庫、工場などが立ち並びはじめます。
そして最近では、芝浦のウオーターフロント地区を中心に教育施設・オフィス・マンション・商業施設の建設も進んでいます。
ちなみに分断された高輪・港南エリアを結ぶ貴重な連絡路として知られる「高輪架橋連絡路」は、かつて水路だったとされています。
第1街区~第6街区で構成される「グローバルゲートウェイ品川」は、この広大な埋立地を整備するだけではありません。2027年の完成をめざす第5・6街区は、品川駅に新設される北口と連結します。コクヨ・三菱重工・マイクロソフトなど近年大企業本社の集積がすすむ品川エリアの職住近接地区として、注目が集まっています。
同時に2027年は、東京-大阪間を約1時間で結ぶリニア開業の年でもあります。つまり「グローバルゲートウェイ品川」は、リニアの起点・品川駅大改造と連携し、汐留から品川までにまたがる港南エリア一帯の街づくりを視野に入れているのです。

周辺不動産市場へのインパクトは?

過去5年間、東京都区部の公示地価上昇率は19%です。(国土交通省『変動率及び平均価格の時系列推移表』より)一方で、新駅周辺が所在する港区の地価は同期間に39%上昇、商業地に限れば47%に達しています。
さらに絞ってグローバルゲート付近に限ると、芝浦地区・港南中付近のマンション一帯で51%の上昇を見せています。品川駅北口付近の商業地エリアも48%の上昇です。さらに浜松町・汐留駅東口エリアも、50%前後上昇しています。(国土交通省『不動産取引価格情報検索』より)
つまり不動産マーケットは、「グローバルゲートウェイ品川」プロジェクトを含めた港南エリア一帯の再開発を高く評価しているといえるでしょう。逆にいえば、港南エリアの公示地価には、シナジーも含めた再開発効果がすでに織り込まれているわけです。ではもう一段の地価上昇にむけては、一体何が必要なのでしょうか?
開発主体であるJR東日本が新駅開業や「グローバルゲートウェイ品川」の開発で見据えているのが、高輪と港南の一体化したまちづくり、由緒ある「町」と新興の「街」の融合です。ただし東西一体化ビジョンは、それほど簡単な話ではありません。
国道15号の札ノ辻交差点から品川駅前まで、港南エリアと高輪エリアは現在ほぼ完全に分断されています。唯一両エリアをつないでいるのが、品川駅から北側1kmに位置する「高輪橋架道橋」です。狭く、暗く、頭上を走る列車のごう音が鳴り響き、車が屋根をこすりそうになるほど低いガード下が、延々と230メートルも続きます。
当然、JR東日本もこのままで済ますつもりはありません。現在計画されている連絡道は、泉岳寺北口と港南をつなぐ「第二東西連絡通路」、新駅と高輪をつなぐ「新駅東側連絡通路」、そしてもっとも品川寄りの環状4号の延伸です。
連絡道の完成はまだまだ先、連動した一体化まちづくりは青写真すらこれからです。市場関係者の多くは、まちづくりの成否をまだ見極めかねています。だからこそ今のうちに物件を仕込んでおく…との考え方も成り立つのです。近い将来、もしかすると大化けするかもしれません。
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この記事のライター

森田卓也

事業会社で、財務・人事・生産戦略などを歴任。FP・税理士資格あり。財務での想い出は税務調査窓口、こわもての調査官とコップ酒片手に議論した日が懐かしい。コラムを通じて、税金逃れではなく正しい節税を多くの人に広めていきたい。

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